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丘の上の大きな木の下で  作者: 菓子カンの中


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よく見かけるなーろっぱな世界です。

「おはようございまぁす!」

「よろしくおねがいします!」

「おはようさん、今日もよろしくな」


 元気な子供の声が聞こえたら、『丘の獣屋(けものや)』の一日が始まる。

 近くには二本の街道が交差する大きな街。その街をぐるりと覆う防壁の外にある、大きな木の生えた小高い丘の上には、騎獣と愛玩獣のみを扱う使役獣の店が建っている。


 野生の魔獣なぞを捕獲して家畜化、繁殖させる一方、その売買も頻繁ではないが商っている。三代目のくすんだ金髪の青年が店主であり、住み込みで黒髪の男が一人、先代の頃から調教師として雇用されている。戦闘用の強力な個体を取り扱わないので、日中の作業に孤児院から子供二人程の手伝いをお願いしている。

 子供達には朝昼の食事、お守り作りに使える使役獣の抜けた歯や毛等と、月に四度ある定休日前に少額の小遣いを、労働の対価に提供している。


「じゃあ、朝飯にするぞ。今日はちょいと良い燻製肉が入った麦粥だ」

「おぉ〜!」

「お肉だ!やった!」


 食べ盛りには朝から肉でも苦にならない様で、店主が持ってきた鍋を前に歓声が上がる。調教師の中年男、ヴァルターには重いらしく、自身の椀には少なめによそっている。

 店主のフレードは子供達より多い食事をぺろりと平らげた後、自作してあった柑橘の蜜漬けを湯で割り子供達に出してやった。


「飲みながらでいいからよく聞いておけよ。先ずはリック、お前さんは騎獣舎の敷き藁をヴァルターと替える」

「はい!替えた後の藁はこの前と一緒で良い?」

 元気な焦げ茶の髪の少年が、飲み物の甘さにクリクリとした目を輝かせながら返事をした。

「良いですか、だ。今のうちにもう少し言い方を身に付けろ」

「わかった。……わかりました?」


 ヴァルターが正解と頭を撫でてやりながら、細かい決まり事を復唱させているのを横目に、次の子にフレードが指示を出す。

「エリカは僕と一緒に、ちっちゃい奴らの飼育箱の掃除をしよう」

「わかりました!」

 灰茶のおさげの女の子が、こちらは卒なく返事をした。先祖の誰かにエルフか何かがいたのか、少しだけ尖った耳の先が可愛らしい。


 孤児院の子供達は将来の独り立ちのために、こうやって色々な手伝いをこなしながら技術なりを身に付けなければ、行く末は悲惨なものになりかねない。

 この街の指導者は、この店のように孤児達に仕事を斡旋し、孤児院の大人の手を赤子や幼児に集中させ、大きな子達へ技術や満足な食事を与えられる様、店には見返りとして税の軽減を認める仕組みを作っているのである。

 審査は、子供を酷使しないようにと面倒な手続き等もあり厳重だが、中々に好評な仕組みではある。


「すんませーん、ギルドから日雇いの依頼で来ました!宜しくお願いします!」

 居住部と廊下で続きになっている店の外から声がかけられ、フレードが返事をしながら扉を開け、茶髪と赤毛の只人族に見える二人組に向かう。

「おはようございます。受諾書を見せてもらっても?……はい、確認しました。力仕事が多いけれど、依頼料の他に昼食も出すからその分、頑張ってもらうね」


 先月、今まで離れに住み込みで働いてもらっていた一家が、隣の港町に離れて住む彼等の祖母の足の骨折を期に引っ越してしまい、一気に四人も人手が減ってしまった。

 その不足分を補うのに、労働者ギルドに求人も出しつつ日雇いも受け入れているのがこの店の現状である。


 冒険者ギルドで、良い依頼を受けられなかったり怪我等の訳ありの者が、労働者ギルドの日雇いにこうして参加する事もよくある。今日はそこそこ丁寧な口調であるのを見るに、ハズレではなさそうだ。時々強さと傲慢さを履き違えた様な奴もいて、そんな時は役に立たない事が大半であり力技でお引き取り願い、却って手間も時間もかかる。


 店主と同じ様な歳周りの二十歳前であろう青年が二人、今日の助っ人だ。防壁の外であることを考慮してか、軽装ながら一応の武器の携帯である。店との続きの廊下に面した掃除用具などを入れてある小部屋に通され、空いている棚に武器や荷物を置くよう指示される。荷物が小さいので、大部分は宿にでも置いて来ているのだろう。


「貴重品やらは簡易の鍵付きの、この扉横の戸棚に入れて欲しい。……以前盗ったの何だの言われてね。邪魔かもしれないが、鍵は首に掛けておいて」

「……できました。店主さんも大変そうだ。」

「何から始めたらいい?」


 そりゃあ色々大変さ、と苦笑いをしつつ、子供達に食器を下げて食休みを取っておくように言い、青年達を外の放牧場に案内しつつ簡単に自己紹介をしておく。

「店主のフレードだ。引っ越しで人が辞めちゃってね、人手がとにかく足りないんだ」

「俺がエルマー、こっちの赤毛がフランツだ。組んでるもう一人が腕を折って、冒険者を休業中。そいつは宿屋で留守番だ」

「あらら、そりゃあそちらさんも大変だ。男三人で組んでるの?」

「いいや。一人はフランツの妹だ。幼馴染ってやつで……」


 建物の裏庭と家庭菜園を抜け、放牧場に近づくにつれて獣臭さが酷くなるが、二人は平気そうだ。糞尿の臭いがどうしても駄目なら他の仕事も選べたはずなので、織り込み済みなのだろう。


「女の子一人で留守番させるくらいなら、昼から連れてきても良いけれど。ご飯も出すし」

「本当か!?」

 食い気味でフランツが迫ってきた。宿とはいえ、負傷している心配からか鬼気迫る形相になっている。

「声大きいよ……。店に人が来たら、笛を吹いて教えてくれると有り難いんだ。店番だね。それなら怪我にも響かないでしょう?熱が出ていたりするなら無理にとは言わないけれど」


 交換条件を出したら納得だったようで、二人共いい笑顔で礼を言った。


 不定期更新です。宜しくお願いします。

 子供はかわいい。歯医者で泣いてる声が聞こえて、心の中で応援した。歯医者さんは大変だろうが、大人じゃ泣けないから、今のうちにいっぱい泣いておくと良いと思う。

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