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商品レビューで構成されたホラーです  作者: くぐつけいれん
10/33

商品名:たのしい知識シリーズ33(考察)

レビュワー:りりこママ

評価:★★☆☆☆

タイトル: 子供用に購入

本文:明らかに意図したような誤字。気味の悪い文字がいくつもありました。所々あるえんつきって何ですか。付録の御内符も本格的すぎて子供向けとは思えません。訂正したものか返金処理は可能なのでしょうか?

※15人のお客様がこのレビューが役に立ったと考えています。



さて御冥福レビュー群を追っているなかでひとつ気になるものを見つけました。この方は一般レビュアーですが本書『たのしい知識シリーズ33 おまじないやうらないお守りの作り方』について、いくつか不満の声を上げています。


僕はそのレビューの文面に引っ掛かりを覚えて、すぐに手元の本書を読み返してみました。


やはりそうです。レビューで触れている『明らかに意図した誤字』『気味の悪い文字』などの気になる要素はひとつも見当たりません。


そもそも出版物というものは編集者の管理の元、何度も校正を行った上で世に出されるものです。わずかな取りこぼしはあるかもしれませんが幾つも誤字があるというのは不可解です。


レビューで触れられている『付録の御内符』が本格的過ぎて子供向きではないという意見についても確認しました。


ご存知ない方に、御内符について簡単に説明すると、これは御守りの中身のことです。

寺社仏閣で購入するきとができる御守りですが、あらの多くは袋状になっていてなかに御内府がはいっています。

神仏の絵や霊威を表す図形、呪文、お経などの写しが記述された型紙のようなものが一般的ですね。


ただ本書の付録としてあるのは、そういった本格的なものではなく、子供向けにアレンジされたディフォルメの神様のキャラクターイラストと(ここにお願いを書いてね)という文字が添えられただけの用紙でした。


このレビュワーりりこママさんが根拠の無い言いがかりをつけている可能性は否定できませんが、指摘内容が具体的過ぎるように思えます。


なんとなく私がmamasonで購入した書籍の奥付けを確認したところ第二版とありました。


書籍というものは同一の商品であっても重版がかかり新しく刷られる過程で内容の一部が差し替えされることがあります。恐らくは『誤字』や『気味の悪い文字』『本格的な御内符』はその過程で訂正されてしまった可能性があります。


ならば初版を、と。ネットオークションを何件か当たりましたが検索に引っかかりません。その後、色々と手を尽くしましたが初版の書籍を手に入れることは叶わずレビュー内容の真偽の確認には至りませんでした。



レビュワー:にしむらよう

評価:★★★★★

タイトル: ご冥福を申し上げます。

本文:4月19日(雨)。よねやまゆうこ。東台駅高架下、第二コインパーキング。破水。えんつき様、有難うございました。

※171人のお客様がこのレビューが役に立ったと考えています。



さて手がかりが途絶えてしまった以上、調べようがありません。

故にこれら御冥福レビューがどのようにして生まれるに至ったのかについての経緯や原因を見つけることは叶いません。


ですのでここからの話は完全に筆者の憶測となってしまうことをお許し下さい。


そもそもおまじないとは何でしょうか。

お手元の辞書で調べてみると分かるかと思いますが、おまじないというのは「神仏やその他不可思議なものの威力を借りて、災いや病気などを起こしたり、また除いたりする」行為を指します。


漢字で「御呪い(おまじない)」とも書き、呪術、つまりは(のろ)いを意味します。


もしかしたら『たのしい知識シリーズ33 おまじないやうらないお守りの作り方』の初版には、他人を呪うことのできる本格的な呪術の手順が記されていたのではないでしょうか。

そしてその手順のひとつが『mamasonの商品ページに御冥福レビューを書く』というものだったのではないかと僕は考えています。


レビューにある『ご冥福を申し上げます。』という言葉には当初から違和感がありました。

一見、故人を悼み、遺族を思いやってかける言葉を連想させるようではありますが明らかに誤用。例えば『火蓋が切って落とされる』『喝采を叫ぶ』のような間違った使い方です。


正しくは言葉は「お悔やみ申し上げます」かもしくは「ご冥福をお祈りします」。


けれどもレビュワーの誰もが『ご冥福を申し上げます。』という言葉を記述しており正しい表現を使っている者は一人もいません。だとするとこの言葉はこちらが想定する『故人を悼み、遺族を思いやってかける言葉』ではないのかもしれません。


レビュワー:厄寄せ大志

評価:★★★★★

タイトル: ご冥福を申し上げます。

本文:⬛︎槻工業(有)社長取締役⬛︎村満。本社加工製造工場油圧式プレス機。せんべい。御守りのおかげです。ご冥福を申し上げます。

※175人のお客様がこのレビューが役に立ったと考えています。


レビュワー:留守番成人

評価:★★★★★

タイトル: ご冥福を申し上げます。

本文:1月23日(曇)。クラスメイト。K件F市、四母藤沢マンション(跡地)90■号室。首吊り。有難うございました。

※255人のお客様がこのレビューが役に立ったと考えています。



仮に『ご冥福を申し上げます。』という言葉が正しいとするならば、そこにはどのような意味があるのでしょうか。


まず御冥福の『冥』は「光がなく暗い場所」を指し、即ち「死後の世界」という意味があります。そして『冥福』とは「故人の死後の幸せ」。


続いて『申し上げる』は「言う」の謙譲語で、自分の行為をへりくだって相手を立てる敬語表現です。


従ってこの「御冥福を申し上げます」に正しい言葉の意味があるとして無理くりにでも意味を組み上げると、それは「呪った相手が死んだことを目上の誰かに報告している」というニュアンスになるのでしょう。


では目上の誰かとは誰か。


皆さんは『御礼参り』という言葉を御存じでしょうか。


神社仏閣に願を掛け、成就した際、礼拝や布施を行うこと。つまり神様仏様にありがとうのお礼を伝える行為です。志望校に合格した受験生が、願掛けをした神社にもう一度足を運ぶ話はよく耳にします。


実は同じしきたりが呪いにもあるそうです。


確かに呪いを叶えてくれるーー災いや病気などを起こしたりするほどの恐ろしい存在がいたとして、こちらの望みだけを叶えてもらって一方的に終わりにするだけで済まされるはずがありませんよね。

最低限きちんとした感謝の意を伝えなければ自身も呪われても文句は言えないでしょう。


御冥福レビューはある種の御礼参り。呪いを成就させてくれた存在に感謝を伝えることで厄が及ぶのを避ける行為ではないかと思うのです。


そう考えるとレビュワーが一様に同じ様式で気味の悪い文章をあげていることも、「ありがとう」など感謝の言葉を多く見かけることも辻褄が合います。


つまり目上の誰かとは語るまでもなく呪いを成就させてくれた存在です。とどのつまり『御冥福を申し上げます』こそが御礼の言葉なのです。


さて色々と書き連ねてしまいましたがあくまで素人の憶測であることをどうぞ御留意下さい。先にも述べましたが、ここまでの仮説は何一つ根拠のないもので正しいのかどうかは分かりません。


ただ。ただ付け加えることがあるとすればこの妄想じみた仮説が的を射ているとするとひとつの恐ろしい事実に繋がります。

それはレビューの数だけ呪いが成就しているということ。


レビュワー:MAMAZONカスタマー

評価:★★★★★

タイトル: 多謝

本文:6月2日(晴)。⬛︎中医師。下仏子駅前大通りひよどり病院跡地。飛び降り。失踪。合掌。万歳。有難うございまし

た。

※150人のお客様がこのレビューが役に立ったと考えています。


レビュワー:ro-nin

評価:★★★★★

タイトル: ご冥福を申し上げます。

本文:12月9日(快晴)。小■聡(48)。元担任。石畑峠バス停留所。多分呼吸器不全。コキューコキューいいながらずっとこっちを見てやがった。ざまあ。えんつきさま有難うございました。

※185人のお客様がこのレビューが役に立ったと考えています。


僕はレビューにある見当がつきそうな地名をたぐって当時の地方新聞やネット記事を図書館であさってみました。最初こそすべてを調べ上げてみせようと意気込んでいましたが途中で、気分が悪くなってしまい止めました。


何故なら調べれば調べるほどに、レビューに掲載されている条件に類似している死亡記事が出てきたからです。


今日もまたレビューが更新されています。目上の誰かへの御礼参りはいまもまだ後をたたないようです。


挿絵(By みてみん)

このところコメント欄で誹謗中傷を行う人が急増しております。心無い投稿はおやめください!

花███子という人物には一切の心当たりがありません!

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