表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人喰い少女  作者: マロ
8/9

第8話 牛飼い娘スカイ

「それで、スカイ様。昨日話していた()()とは何ですか?」

 メーアは、昨日マヤの話していた()()のことが気になりスカイに尋ねていた。

「ん? あー、()()のことね! 実は昨日──」

 そう言うと、スカイは()()について話し出した。



「えっ? マッサージ……ですか?」

「そうそう! マッサージ! でも今回はオイルマッサージだけどね。いつも(おにく)食べたら、マヤとお互いにマッサージしあいっこしてるんだ~!」


(……か、可愛い)


 無邪気で嬉しそうな顔をして話すスカイの姿を見たメーアは不覚にも頬を赤らめ意識してしまった。

(何と言えば良いのだろうか……動物的な可愛さ、的な?!)

「ん? メーア、顔を背けてどうしたの?」

 メーアの気持ちなどお構いなしにズカズカと顔を覗き込むで来るご主人様。

「な、何でもないっ! ──ですっ」

「え〜、それ絶対何かあるやつ〜!」

「ほんとに何でもないからっ! ──ですっ」

(スカイ様と居るとたまに堅苦しい敬語が外れて、感情的になって語尾に「ですっ」と付けてしまう。これから注意しないと──)

「そ〜お〜?」

 訝しげな視線を送りながらも、スカイは頬を紅く染める可愛いメイドから離れた。

「みんな〜、餌の時間だよ〜っ!」

 スカイは牧場にいる牛たちに大きな声で呼び掛け始める。

(いつもあんな感じならいいのに……)

「よしよし、みんな仲良く食べるんだよ〜〜」

 牧草がたくさん積まれた山に集まる牛たちを見ながら、スカイはみんなの健康チェックを行う。

「よしっ、異常なしっ! みんな〜、食べ終わったら遊んで来ていいよ〜」

 その声を聞いた牛たちは食べ終わったものから、再度牧場に散り散りになった。

「スカイ“様”いつも牧場のお世話をされているのですか?」

「メーアがここに来てからずっと思ってたんだけど、そのスカイ“様”っていうのを止めてくれないかな」

「えっ?」

「その様付けする呼び方、私嫌いなんだよね〜〜」

「し、しかし、奥様が……」

「もー、ダメだよ〜メーア? メイドは主の言う事をちゃんと聞かなきゃ。それが例え、お母さんの言い付けだとし・て・も。そうじゃないと──」

 その瞬間、メーアの口元にふわっと柔らかい感触が襲った。

「こんな風に襲われちゃうから、ねっ?」

「〜〜〜〜〜!!!!」

 スカイはメーアに有無を言わさずに、いきなり接吻したのだ。しかも、堂々と唇に。

「えっ……えっ……えっ?」

 一体何が起きたのか理解が追い付いていないメーアの耳元でスカイは色っぽく告げる。

「もし、このことをお母さんに告げ口しなかったら、もっと愉しいこと教えてあ・げ・る♡」

「ほぁっ……!」

 そうして、スカイはメーアの耳を甘噛して、せっせと家へ戻って行った。

 暴力を振るわれ、メイドにされ、あまつさえファーストキスまで奪われた憐れな少女を牧場にただ一人残して…………。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ