第2話 お散歩
「今日もお外、気持ちいいな〜」
スカイは、視界いっぱいにお花が広がる野原に来ていた。
「風が……気持ちいい……」
四メートル近い木の下で、風を感じながら腕を頭に乗せて仰向けに寝ていた。
「今日のごはんも楽しみだなーっ!!」
スカイは目を瞑り、晩ご飯のことを考える。
すると、スカイは途端に勢いよく飛び起きた。
「そうだ! 王都の街に行こうっ!」
目的は口に出さず、我ながら良い考えだと思いながら、心の中でひらめきを実行すべくスキップして向かった。
◆
「わあっー、今日も王都の街中は賑やかだね〜」
スカイは視線をあっちへとこっちへと向けて、無邪気な子どもの目をキラキラさせていた。
「よぅっ! スカイちゃん、今日は俺の店に何か用かな?」
店主のおじさんはスカイに目線を合わせるようにして体を傾ける。
「おじさん! えっとね、そこの細いお魚と横にある大きなお魚を一つ、頂戴ッ!!」
「あいよ! ちょっと待ってな、すぐ用意するからっ!! ──へい、お待ちっ!!」
「あれ? おじさん、お魚さん四つあるよ?」
「それは俺からの奢りだ! いつも俺の店の魚を買ってくれているお礼だよ!」
店主は可愛い少女に真っ白い歯を見せつけながら大きく笑う。
「ありがと、おじちゃん!!」
ニコニコとスカイは子供らしい笑顔を見せる。
「うわっ! スカイちゃんの可愛さにやられちまったぜ!!」
「もう、おじさん! スカイはそこまで眩しくないよっ!!」
「ワリイ、ワリイ。スカイちゃんを見てるとからからいたくなっちまうんだよ」
「おじさん、キライ! もう知らないっ!! ぷんっ」
スカイは顔を背け、ほっぺたをぷっくりと膨らませる。
「ありゃりゃ、スカイちゃんに嫌われちまったよ。トホホッ」
「ウソウソ、おじさんそんなに悲しまないで!」
「ほぅ……よかった。スカイちゃんに嫌われなくて。嫌われたらおじちゃん、これから先何を楽しみにしていけばいいか──ううっ」
店主は大袈裟に涙を拭う仕草をしてみせる。
「おじさんったら大袈裟だな〜」
ピクッピクピク
スカイは耳で何かを聞き取った。
「おじさん、今日はありがとう!」
「おう! いつでも来いよ!」
スカイはそう言い残しその場を後にした。
◆
「グヘヘヘッ、どうだキモチイイだろ?」
「離して、んっ……や、止めてっ!!」
薄暗い路地裏で複数の男たちが一人の女性を犯していた。
「そう言っている割には、気持ちよさそうにしてるじゃねぇか」
「──そんなことはっ!」
「兄貴、次は俺にもヤラして下せい」
「あぁ、いいぞ。今日の女は最高に引き締まってるからよ──」
「アハハハッッ!! ごはんがいっぱいあるぅううううう!!」
その直後、男の首が一瞬にして食いちぎられ声も上げる暇なく絶命した。
「ヒ、ヒェーッ!!」
先ほどまで女を犯していた男は血相を変えて逃げようとした。
「私のお肉──逃さないよ? ガブリッ!」
「あ゛ァ゛ァ゛ァ゛アアアアアアッ!!」
腹を一瞬にして引き裂かれ、多量出血により生存維持が出来なくなり男は息絶える。
「……お姉さん、大丈夫?」
そこには、美しく艶やかな赤色の髪の少女が男の首から引きちぎった肉の塊を咀嚼し立っていた。