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綺麗な程に惨めになるの

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

綺麗だなぁ。と思います。

でも画面越しで十分です。

暗い部屋で、二人でソファに横並びになりながら、映画を見ていた。よくあるベタな恋愛もの。何となくお互い気になって、何となく良い感じになる話。その途中経過、学校のプールに飛び込んで、青年の方がケラケラ笑っているシーン。映画でしか見られない青春の一ページ。

何だか在り来り過ぎて飽きて来た。テーブル上の飲み物に手を伸ばそうとしたその時の事。さり気なく小指が当たって、それから薬指中指へとずり上がってくる。拒否して膝上に乗せようとすると、それを拒む様に上から覆いかぶさって来た。そうしてそのまま指の隙間に指を入れて、握り込む。困惑した様に隣を見ると、さも素知らぬ顔で、映画に集中していた。

「映画見終わったら同じ事しようか?」

「しないよ。第一プールどうすんの」

「そうだね。もっと楽しい事、あるもんね」

指の拘束が離れた。此処ぞとばかりに膝上に移動させようとした時、ソファに思い切り押し倒された。実年齢を卓越した童顔が、女の二倍はある睫毛が、もふもふした髪が、私の視界の大部分を奪う。

……さっきから主導権が自分に思っているところが腹立たしい。だから拒絶の意を込めて、胸を押した。

「退いて」

「なんで? 君が大好きな顔だよ?」

「惨めになるから」

交友関係は全て断捨離してきた。社内で此奴の事を知る人間は居ない。だから別に誰かから妬みを買った訳じゃない。故にこれは勝手な私個人の悩みである。

相手が完成された生き物である程、自分の矮小さが浮き彫りになる。そこに嫉妬や羨望はない。ただ格の違いを思い知らされるだけ。それが例え自らの好み真ん中射抜いた顏であっても、どうにも割り切れない部分はあるもんだ。

「ねぇ、自分より劣った存在を傍において見下すのは楽しい? 私は楽しくないよ」

今の映画のような、面の良い奴が地味な奴に恋する理由なんて、優越感に浸りたいだけなんじゃないのと思う。現実でされたらそんな爽やかで甘酸っぱい感情じゃないわ。

「楽しいよ。今の状態が何よりも」

そう言って、さも崇高な生き物を扱う様に頬を撫でて来るのだ。露出した首周りを辿って、胸の横、くびれ、腰をなぞる。そうしてその表情は何よりも慈愛に満ちていた。

だから、私は負け惜しみを言うことしか出来やしない。

「性格悪いよね。昔から」

「ねぇ、この映画の俳優と僕の顔、どっちが好き」

「お前」

間髪を入れずにそう言って指差すと、満足した様に体に覆い被さる。映画はもう、エンドロールを迎えていた。


オマケ

ソファの端っこで蹲り、今度こそ何も出来ないようにした。

あれから顎を固定させられ、嫌だと暴れても、絶対に顔を合わせて来た。拒む様に目を瞑ったら、唇を吸われ、口腔をまさぐられた。

それから随分と好き勝手された。辱めを受けた。

「泣かないで〜? 僕の顔でも見て元気出して〜?」

「お前嫌い……」

自分の事で泣いたり笑ったりする子は可愛いですよね?

そう言う事です。

顔面の暴力で全て捩じ伏せて付き合ってる感じ。


私にもタイプド好みの綺麗な顔は存在します。

でも見れば見る程に苦しくなります。

だから見るのは画面越しで十分です。


そうして思い付いたこの話。

顔の良い青年が主人公に恋するのは少女漫画の鉄板です。

ですが心がいつも以上にねじ切れているので、

『優越感に浸りたいから傍に置くのでは? ( '-' )』

という思考に至りました。


現実にないから空想に求めてしまうのですが。

作者も勿論、その一人です。

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