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第4話 「それ、セクハラというヤツじゃろ」

  ────


 ……で。一旦状況を整理しようか。今、僕の隣に立っているケモ耳少女……彼女はミミハという名前らしく、自称神らしい。5メートル以上はある鳥居を無傷で上り下り出来ることから、異常な程の身体能力を持っていることが分かる。そして好物はいなり寿司……現時点で分かっているのはそれぐらいだろうか。


「なな、春よ。お主はどこから来たんじゃ? どんな所に住んでおるんじゃ?」


 少女は僕に興味を持っているのか、質問を投げかけてくる。まぁ自分が見える人に会ったのは何十年ぶりって言ってたし、そうなるのも普通なのかな。でも君が思うほど、僕はそんな面白い人間じゃないんだ。


「別に普通の場所だよ。そんな面白いとこじゃない」


「ふぅん……そうなのか」


「話はそれだけ? 僕もう電車があるから、駅に戻らなきゃいけないんだけど……」


「えっ、ああー、待つんじゃ春!」


 僕が帰ろうとする素振りを見せたら、少女は食い気味に引き留めてきたんだ。


「何だよ。いなりを返すのは今度でいいから」


「いや、そうじゃなくてじゃな! お主にお願いしたいことがあるんじゃよ!」


「お願い? 神なら自分で何とか出来るんじゃないの?」


「別にウチは全知全能な訳じゃないんじゃ! エリートの奴らと一緒にしないでおくれ!」


 ああ……神にも序列があるんだ。そんな裏話は聞きたくなかったな……。


「……まぁ一応聞くだけ聞くけどさ。お願いって何?」


「それはじゃな、この新葉神社の復興をお主に手伝って欲しいんじゃ!」


「断る」


「早っ!? まだ全然詳細を喋っていないんじゃが!?」


 少女は酷く驚いた反応を見せた。でもそんな面倒くさそうなこと、聞くまでも無く僕はお断りなんだけどな。


「ええーっ、いいからもう少しくらい話を聞いておくれよ、春……ウチも喋る相手が欲しいんじゃよ……」


「……はぁ。本当に聞くだけだからな?」


 少女の泣きそうな顔を見てしまって、つい僕はそう言ってしまった。何だかんだ僕も甘いとこあるよなぁ……そしたら少女はすぐに元気を取り戻して。


「本当か! じゃあ話していくんじゃが……さっきも言った通り、春に神社復興の手伝いをしてほしいんじゃよ!」


「いや、復興って言われてもな。どんなことを……そもそも、どうしてそんなことしようとしてるんだよ?」


 僕は少女に問い掛けた。別に神社に人が来なかろうが、神様が困ることなんて何も無いだろうに……。


「困ることがあるからお願いしてるんじゃよ」


「……えっ?」


 あれ、今僕思ってたこと口に出してたか……? そしたら少女は「ふふふ」と口を押さえて微笑みながら。


「まぁー腐っても神じゃからな。人の心を読むことくらい造作もないわい」


「……そういうのは先に言ってくれ」


 全く……それじゃあ今まで心を見透かされてたってことなのか。それじゃあ僕が初めて彼女を見たとき、ケモ耳《《美》》少女がいるって思ったのも。


「ああ、もちろん気付いておったぞ?」


「うわ、最悪だ。殺してくれ」


 僕は頭を抱える……これじゃ、この少女の前では隠し事も悪巧みも全て無効ってことになるじゃないか。ああ、もうこれ以上この子と喋りたくないんだが……。


「ああーいやいや、待っておくれ春! 確かにウチは心を読めるが、それは意識していないと出来ないんじゃ! つまり常時、心が筒抜けになることは無いんじゃよ!」


「本当?」


「本当じゃ! 神に誓うぞ!」


「アンタだろ」


 はぁ……まぁ、それが本当ならそんなに怯える必要も無いか………ああ~~グラマラスなお姉さんによしよしされながら、1時間くらいおっぱいに顔面埋めてぇ~~。









「…………ウチ知ってるぞ。それ、セクハラというヤツじゃろ」


「やっぱ聞こえてるじゃん」

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