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第11話 実験開始じゃ!

「えっ、神様! 店主も神様のこと見えているみたいだぞ!」


「なっ、本当か!? こんなにも連続でウチのことが見える人物に会うなんて、ありえないんじゃ──」


 そこまで言ったところで突然、神様は固まったんだ。


「神様? どうしたの?」


「……いや、そうじゃ。普通に考えてこんなことありえないのじゃ」


「え? ありえないって言っても、実際に見えてるみたいだし。店主さんを疑う意味が分からないんだけど?」


「じゃからー。この現象はお主が影響しておるかもしれんと言っておるのじゃ……うむ。少し実験してみようかの」


 そう言うと、神様は僕に手を向けてきて。


「ほい」


「え……う、うわああああっ!!??」


 僕の身体を宙に浮かばせたんだ。地面に足が付かない感覚に、僕は酷く違和感を覚え……助けを求めるように浮いたまま、僕は身体をバタバタと動かすのだった。


「な、何!? 何なの!? 下ろしてってば!!」


「お主がいることによって、他の者もウチの姿が見えるようになっている可能性があるということじゃ。じゃから……一旦お主には消えてもらう」


「消えるって何!?」


「とりあえずお空の散歩でも行ってくるが良い。それじゃあ……達者での」


 そう言うと、僕の身体は更に軽くなっていって……風船のように空高ーく舞い上がっていくのだった。


「ぎゃ、んぎゃーーー!!?」


 ───


「……ふむ、大方理解したぞ。やはり春の存在がトリガーになっているようじゃ。春がウチの半径40~50メートル内にいると他の人物もウチが見え、離れると見えなくなるらしい……なんとも面白い結果じゃ」


「神様……別にそれを実験するだけなら、僕を飛ばす必要なかったよね?」


 僕は数分経ってから、元の場所に戻された。浮いている間、落ちるんじゃないかとずっとヒヤヒヤしていたため、空の旅を楽しむ余裕などなかったんだ……いや、マジで怖かったんだからな!? 突然高度下げられたりして、マジで死ぬかと思ったんだからな!?


「まぁーいい経験になったじゃろ。それよりも……放ったらかしにしておった、店主に謝罪しなければならんな」


 神様と同時に僕は店主の方を見る。ああ、そうだ……神様にキレる前に、店主に謝らなきゃいけないんだ。わざわざ店を抜け出してまで来てもらったと言うのに、何で僕らは馬鹿みたいな実験なんかやってたんだ。マジで失礼過ぎだろ。


「あ、あのすみません。せっかく来ていただいたのに、なんかこっちで変なことしてて……」


「別に構わんさ。それよりも本当に貴方がミミハ様で間違いないんだよな?」


「うむ、そうじゃが……お主はウチのことを知っておるのか?」


「ああ。昔、妻が狐の神様の話をしてくれたんだ。花……って言えば分かるだろうか?」


 それを聞いた神様はピクンと耳を立てて、大きな声を出したんだ。


「ああーっ! 花ちゃんのことか!」


「花ちゃん?」


「む、そうか、春は知らんか……じゃあ春にも詳しく説明してやろう!」


 そう言って神様は上機嫌に尻尾を振って、昔話を始めるのだった。

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