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第10話 これは「えすかれーたー」じゃよ

 ──── 


 それから神社に着いた僕らは、不可思議な光景を目の当たりにするのだった。


「……は?」


「ど、どうなってんだこりゃ……?」


 神社へと続く、高く連なっていた石畳の階段が……大きな駅にあるような、長いエスカレーターへと変化していたのだ。何を言ってるのか分からないと思うが……大丈夫だ。僕らも全く理解出来ていない。


 そんな立ち尽くしている僕らを千里眼で見ているのか、神様はまた僕の脳内に直接話しかけてくるのだった。


『おーい、何をしておるんじゃ春? 早く来んかー!』


「え、いや神様……何これは……?」


『ん? これは「えすかれーたー」と言う物じゃよ。有名な乗り物だと聞いておるが、お主は知らんのか?』


「知ってるよ! どうしてこんなところにあるんだって聞いてるんだ!」


 そしたら神様は『フフン』と得意げに。


『じゃからー。これはウチが作ったんじゃよ。誉めてくれてもいいんじゃぞ?』


「誉めるも何も、意味が分からな過ぎて……というかどうして、エスカレーターの作り方知ってたんだ?」


『ググった』


「ググった!?」


 神様、そんなハイテクこと出来たのか……というかロリババは現代の物に疎いって、相場は決まっていたんじゃないのか……?


「じゃあ……電力はどうしてるんだ?」


『その辺は神のパワーでどうにかしとる』


「何でもありかよ……」


 改めてだが……本当に神ってチートすぎるな。この力が多少でも僕にも備わっていると思うと、ワクワクを超えてちょっと恐怖を覚えてしまうよ。


「おい、少年……これは」


「何か神様が作ってくれたみたいです。とりあえず……使わせてもらいましょうか」


「あ、ああ」


 店主は相当混乱していたみたいだけど、僕が先にエスカレーターに乗ることで危険性はないと判断したのか。僕の後ろを着いてきて、エスカレーターに乗るのだった。僕はそれに乗って上昇したまま、脳内の神様へ話しかけた。


「今更だけど神様、これって他の人に見えてないよね? 見えてたら騒ぎで済むような物じゃないと思うんだけど」


『それは大丈夫じゃ。これはお主ら以外には見えておらん。それに近づこうとしてる人物がおったら、ウチがすぐ気付くからな』


「ならいいけど……」


『それにこの「えすかれーたー」は、時間が経てば元の階段に戻るから安心せい。時間制限のある変身魔法みたいなものだと思ってくれれば良いぞ』


 ……と、そこまで言った所で、僕らは最上段までたどり着いた。そして鳥居の真下には神様が腕を組んで待ち構えていたんだ。


「ご苦労じゃったな、春。予想以上に早くて驚いたぞ」


「別に……それより神様って腰痛を治せるの?」


「ウチは神じゃぞ。人間の病など、治せんものを探す方が難しいわい」


 医者が聞いたらブチギレそうなセリフだ……つーかここに病院建てた方が、人集まりそうじゃない?


「ウチは病院ではなく、神社を復興させたいんじゃ。じゃからそれは却下じゃ」


「あ、そう……じゃあここからは頼んだよ、神様」


「うむ! それじゃあ店主よ、こっちに……ってウチの姿見えておらんか。春、先導してやってくれ──」


 ここで店主は口を開き、神様の方を向いて。


「……いや、見えている」


「えっ?」


「貴方が……ミミハ様なんだな。お会いできて光栄だ……!」


 そう言って深く深く、頭を下げたのだった。

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