第五二話 紳士の社交場バンボ(大型船バンボ、水商売、子育て、エリスの過去)
前話は、第五一話 水不足(水シート、水商売)です。
漆黒の宇宙空間を、影が三つ漂っていった。
この三つの影は、サルバ、エリス、グーンであった。彼らは十七号船からさらに高い軌道上に位置するバンボという大型船まで、空間遊泳によって近づいていた。
普通は生身で周回軌道の遷移などしないだろう。しかし現在周回している小惑星ほどに引力が微小だと、周回する速度自体が小さいので、個人装備のスラスターでもなんとかなってしまうのだ。
『よっと』
『お見事』
ハードスーツを二人ぶん抱えたサルバが、手鉤棒を伸ばしてバンボのエンジンブロックを引っかけることに成功した。
サルバは手繰り寄せるようにして接近し、エンジンブロック部の入口に降り立った。
『それにしても派手だな、おい』
エンジンブロックには大きな看板と格子でできた扉があり、看板には「紳士の社交場バンボ」と大書してあり、哺乳瓶のイラストが発光ダイオードの光りで明滅していた。
扉を開くとそこには格子でできたエレベーターがあった。一度に五人ほど乗れそうな大きさなので、ハードスーツ二人とソフトスーツ一人なら丁度だった。エレベーターの形は、彼らは存在を知らないがそれはちょうど鳥かごのような形で、かごの上下についたワイヤーで下に向かうものだった。
そう、この船には下という概念があったのだ。
大まかな構造は十七号船と一緒のようだった。つまり大質量のエンジンブロックから細長いフレームで居住ブロックを吊るす形となっていて、自転すると居住ブロックに遠心重力が発生するという仕掛けだ。
『ちょっくら二十号船に挨拶してくるわ』
『俺達も一緒に行きます?』
『んー、じゃ念のため一緒に行っかぁ』
サルバはそう言って、バンボのエンジンブロックに同じくエンジンブロックをくっ付けて一緒に回転している、メリ建二十号船に向かっていった。
二十号船は最も飲料水の消耗が激しかった船で、現在は足場建設現場に資材と作業員を置いて、バンボに係留して水浄化システムを借りているのだ。
『メリ建二十号船、こちら十七号船作業員ブランクルツ。応答願います、どうぞ』
『ブランクルツ、こちら二十号船作業員キム。要件をお伺いします、どうぞ』
『なんだワイプちゃんかよ。俺だよサルバだよ』
『なんだじゃないよ、何か用?』
『バンボって船に遊びに来てみたから挨拶と、それから帰りの十七号座標ナビゲートのために、二十号船のコンピュータに登録しといて貰いたくてさ』
『ああ、そんじゃ貼り付けモニターを待機状態にして待ってな……できたよ』
『サンキュー。んじゃウチの若いの二人も登録してくんねぇかなぁ』
『了解。そんじゃモニターを待機にして。えーとダイヴォンとエリス、かね?』
『グーンとお呼びください』
『エリスです』
『ちょいちょいちょい、と。あい終わったよ』
『アザッス、助かります』
『そんじゃ俺ら、下の屋敷っぽいところに行ってるぜ』
『あいよ、帰りは声かけなくても自動で認識すっからな』
そしてひょいひょいと元の場所に戻って、三人でエレベーターに乗った。
たどり着いた最下部は、手狭ながら庭があった。格子の塀に囲まれた庭には、イミテーションだろうが木とかいう植物も生えていた。高速でグルグル流れていく星空がなければ、夜半にたどり着いた宿と錯覚するだろう。
重厚な木製に見える扉を引き開けて中に入ると、手狭な玄関ホールらしき空間となっていた。扉を閉めると見慣れた赤い照明に変わり、空気が充填されたらしく音が聞こえてきた。緑の照明に変わると入ってきた扉とは別の扉が自動的に開き、建物のホールとなっていた。ホールは明るすぎず暗すぎず、テーブルごとのピンスポットライトと壁際の間接照明で照らされていた。
「いらっしゃいませ。三名様でよろしいでしょうか」
そこにいたのはピシっとした黒いスーツを着こなす老紳士で、席まで案内してくれた。しかもおしぼりと一緒に持ってきたのは電動インパクトレンチ。十四ミリのボックスまで付いていて、至れり尽くせりだった。
ハードスーツを脱ぐための部屋も案内され、グーンとエリスはジャージ姿となった。
その老紳士の説明によると、一階は食事と一緒に酒なども楽しめるレストランだという。まず席料として前金を支払い、それによってホステスが一名着いて案内してくれるとのことだった。これに目を輝かせたのはサルバで、グーンとエリスは何が何だか良く分かっていなかった。
「いらっしゃいませ、ご案内いたしますアンと申します」
老紳士が引っ込んだのとほぼ同時に席にやってきたのは、どこか明るくはつらつとした雰囲気を持った、しかしとても色気の乗った、赤毛の美人だった。きっと胸元をはだけたドレスを着ていたらもっと魅力的なのに、着ている衣装は少々ぶかぶか目の膝丈のワンピースだった。
お辞儀していた顔を上げて三人を見ると、その案内の女性は軽く驚きの声を上げた。
「まぁ、女性のお客様なんていつ以来かしら、とても珍しいわ」
「女性が来るのは珍しいんですか、素敵な内装のレストランなのに」
「ええ、ここは殿方様にはよりお楽しみいただける店ですから、どうしても、ね」
まずは飲み物と軽食を注文することにしようとなり、サルバとグーンはビールを、エリスはトロピカルジュースを頼むことになった。軽食はサラダだ。
写真と名前を頼りにメニューで頼んだものの、三人ともそれらの料理は初めてのものだった。この店では注文ごとに清算していくスタイルらしく、それらの料金は確かにそれなりに高価ではあったが、常識的な範囲でおさまっていた。
サルバは案内の女性アンにも飲み物を振舞うことにして、女性はブラッディマリーなるカクテルを注文していた。
四人分の飲み物が届いて、乾杯を行った。
「なにこれ!」
エリスの少し抑えた驚きの声が上がり、それを聞いたアンは満足げにほほ笑んだ。
「トロピカルジュースには、五種類のフルーツがブレンドされています。失礼ですがご出身は?」
「シアリーズですけど」
「それでしたらご存じないのも無理もありませんね。シアリーズの食料プラントでは作っていない品種ですから」
サルバとグーンは、サラダと呼ばれたものを一口食べて、唸っていた。
「生野菜は初めてですか?」
「は、はい、とても美味しいです」
彼らの常識では、一般的には生野菜は食べないものだ。かろうじてグーンは実家の祖母が作ってくれたものを食べたことがあったが、ここまで美味しいものではなかった。
「ビールの方もお試しください」
サルバとグーンは乾杯の時に一口だけ口を付けて、あまりの苦さに閉口していたビールを、もう一度含んでみた。
「あれ、うまい」
「さっきよりマシッスけど、俺には苦いッスね」
口の中に残ったサラダのドレッシングを、ビールが綺麗に洗い流してくれた。もっともグーンは舌がお子様なので、それでも苦いと感じていた。
「じゃあグーン、こっちと交換してみよう」
「ウッス」
エリスの提案で、ビールとトロピカルジュースを一時交換して味見をしてみることになった。一口飲んで、目を見開く二人。
「なんだこれ!甘い!香る!トロっとする!首筋ゾワってした!やべえ!」
「え、私このビールって好きかも。強い苦みの奥に、小麦の香りがする」
三人がアンに顔を向けて、一斉に聞いた。
「この店は一体……?」
「はい、普段お召し上がりになれない、異国料理もお出しする店です」
その後も三人は頼む物ごとに驚き、舌鼓を打ち、アンとの会話を楽しんだ。ちなみにグーンはトロピカルジュースを注文し直そうとして、アンの飲んでいたカクテルも味見させて貰った結果、トマトジュースを注文していた。グーンの飲んでいたビールはサルバが引き取っていた。
そしてエリスがトイレに立ったタイミングで、店員アンは二人にさらなる案内を始めた。
「ご婦人がいらっしゃる場では申し上げるのが憚られましたが、実はこのバンボでは個室浴場もお楽しみいただけます。浴室では私がお世話いたします」
「!」
サルバとグーンはピンときた。これはエリスの前では言えないはずだし、ソフィ姐さんが制止するのも深く頷けた。ここは、私娼窟だ。
考えてみれば、シアリーズでは禁止されている食事と酒の同時提供。普通の船には積まない水浄化システムの存在。これほど美味しい料理や酒を提供できるのに、店舗ではなく船で行商するスタイル。社会の裏側の匂いがした。
しかしサルバは自重しなかった。
「それじゃアンちゃん、個室浴場一人お願いね」
「はい、それでは代わりにご案内する者を呼びますので、少々お待ちください」
アンはニッコリ微笑んで、先ほどの老紳士に声をかけた。
代わりの者はすぐに来て、入れ違いになるようにサルバとアンは席を外した。
「いらっしゃいませ。代わってご案内申し上げますティウと申します」
「あれ、貴女は」
「あら、どこかでお会いしましたか?」
「シアリーズのシンタナにある総合病院で、頭痛の鎮め方を教えていただいた者です」
「まぁ……覚えておりますわ、なんて偶然でしょう」
グーンたちのテーブルに来た案内の女性は、エリスが酷い生理痛で担ぎ込まれた総合病院で見た、長い金髪の女性だった。先ほどのアンと同じようなどこか垢ぬけない妙な衣装を着ているが、あの時着ていた普段着のほうがよほど素敵とグーンには思えた。しかし匂い立つ健康的な色気はそのままだ。
「立ち話もなんですし、席におかけに……」
「お婆ちゃん!?」
その案内の女性ティウの後姿に、トイレ帰りのエリスが突然声をかけた。
あまりにも紳士の社交場にそぐわない言葉に、グーンとティウが戸惑ってエリスを振り向くと、当のエリスはティウを見つめていた。
「あ、ごめんなさい、とてもよく似ていたので……」
「エリっさん?」
「あら、お連れ様なのかしら。ひとまずご着席いただきましょう」
トイレ帰りのエリスには、暖かいおしぼりが渡された。
着席した三人だったが、エリスはけげんな表情をしていた。
「サルバ先輩は?」
「ああ、いやその」
「当店の二階でご休憩いただいていますわ。先にお帰りになった訳ではありませんので、ご安心くださいませ」
「ってな状況ッス」
良く分かっていない表情のエリスに、ティウは直接的な説明を避けた。どうやら彼女は非常に察しが良いらしい。
サルバの件を深掘りしないでサラッと流してくれたことにグーンは内心感謝しながら、先ほどのエリスの驚きの理由を聞いてみた。
そしてそれとなく、ティウの分の飲み物も一杯奢ることにした。彼女はコーラサワーなる聞いたこともないものを注文していた。酢?
「私のお婆ちゃんと、すごく良く似てるの。背格好も雰囲気も声も。姿勢の良い人だったから」
「そんなこと、あるもんなんッスねぇ」
「もちろん違うところもあるの。顔はこんなに若くなかったし、髪の色だって白髪だったし。でもすごく良く似てるの」
言葉の最後には瞳を潤ませて涙声になってしまったエリスだった。
「泣くほどって相当ッスよ、エリっさん」
「……だってすごく良く似てるの」
さっきからそれしか言っていないことに、エリスは気付いていない様子だった。
「よっぽどそのお婆様がお好きでいらしたんですね」
「うん、大好き、とっても大好きだった」
「過去形?」
「私が十三歳の時に死んじゃったの」
「え、それって……お爺さんはいなかったんスか?」
「知らない」
あー……。グーンは理解して、眉間に深いしわを寄せた。
子どもはみんな十五歳で祖父母離れをして、全寮制の学校に通わなければならない。これは政府の決めた法律に明記されていた。ならばそれ以前に祖父母離れせざるを得なかった子どもはどうなるのか? 答えは、親が面倒を見る、である。
そしてこの時代は、子どもは祖父母になつき、親はただ金を持って来るだけの存在、という認識の時代だった。もちろん親にとっても、子どもはいずれ自らが可愛がる孫を生むための機械という感じで、思い入れも愛情も何もない存在だった。
そんな両者が急に親子の真似事をしても、良いことなど一つもない。だから大多数の親は、金を払って子どもを施設に入れる選択をしがちだった。何しろちょうどその年代の親は働き盛り、稼ぎ盛り。ちょうど盛り上がってきたところで仕事を辞めて家庭に入るなど、機会の損失以外の何物でもない、という考えが多勢を占めていた。
こういった事情をグーンは理解した。しかしティウは今一つ理解が及んでいない様子だった。
「ティウさん、ひょっとしてメインベルト生まれじゃないッスか?」
「ええ、田舎育ちなもので、都会ではそういう子育てをしていたとは思いませんでした」
「そッスか」
グーンは俯くエリスを見やって、ボツリポツリと語り始めた。
「施設行きになった子どもはとっても可哀想なんス。俺の子供時代の友達でも施設行きになったヤツが何人かいたんスけど、あんなに明るかったヤツが、ものの数年で暗い顔の染みついた人間になっちまう程の場所なんス」
「まぁ、それでは児童虐待じゃないですか」
「いや、そうとばかりも言えねんス。施設は充分に快適だし、扱いに気を配ってくれるらしいんス。そッスよね、エリっさん」
「うん、みんな優しかった」
俯いたままエリスは答えた。
「でも、同じ境遇の子どもがいっぱいいる中で、保育士に一人だけ甘える訳にゃいかねえし、保育士側だって不公平になるからそりゃ困るんスよ。そんでみんな捨て子みてぇな心境になって、比較的マシな子も自然とその空気に染まっちまうんス。どんなに施設側が改善策を出しても、子どもたちが一番欲しいものは出してあげらんねぇんで、結局子どもの欲求は満たせねぇんスよ」
「一番欲しいもの……」
「爺ちゃん婆ちゃんッス。死人は生き返んねぇんで」
「……うええ……」
心地よい程度の遠心重力が効いているせいで、エリスの涙はそれほど空中に浮遊するという感じもなく、ガラステーブルに落ちた。必死に隠していたであろう嗚咽も漏れてしまっている。
「ティウさん、お金なら払うッス。エリっさんをしばらく抱き締めてあげて欲しいッス」
「え……」
「そんでエリっさんの頭を撫でながら、話を聞いてやって欲しいッス。客商売用の敬語じゃなく、普通語で」
「……」
「お願いシャス」
グーンは立ち上がって、気を付けの姿勢から四十五度のお辞儀をした。
「でも私、そんなご立派な人間ではありません」
「ティウさんにしか出来ねんス、俺じゃ駄目なんス」
その言葉を聞いて、ティウはエリスの隣りに移動して、ゆっくり優しく抱き締めた。
エリスは最初こそ身を固くしていたが、驚くほどすぐに身をゆだね、感極まって静かな嗚咽を始めた。
ティウはエリスの髪をなでながら、グーンに語りかけた。
「思い出しました、総合病院で腰をさすっていた女の子ですね」
グーンは着席して、元々はグーンが頼んでサルバに譲ったビールをちびりとすすって言った。
「そッス」
「とても大事にしてらっしゃるんですね」
「はい、命の恩人ッスから」
照れながら答えるグーン。
「それだけじゃなくて大好きなんでしょ?」
その言葉にグーンは内心狼狽した。しかしサルバが残していった酒をグッと一気に飲み込み、勢いづけて言い切った。
「もちろん、大好きッスよ」
グーンによるエリスへの気持ちの、初の告白だった。しかし酒の力を借りたので、彼の中ではまだ酒に酔っての戯言、ノーカンだった。
ティウの衣装を握るエリスの握力が強まったのは、彼は知らない。
「それならご自分で慰めて差し上げれば良いのに」
「いえ、他にもいろいろ理由はあるんスけど、少なくとも俺は、弱ってる女の子につけ込む真似は男として許せねぇんで、これで良ぃんス」
その言葉にティウはものすごく眩しい何かを見たように、ふっと目を逸らした。そのまま胸の中のエリスに視線を落とし、優しく語りかけた。
「エリス、いいお友達ね」
「うん、大好き」
エリスの告白もまた、懐かしさに酔っての戯言だろう。だからノーカン。お友達として大好き、それでいい。グーンはそう解釈した。
その後もエリスは、グーンのことをティウに語った。グーンはそれを聞くたび、身もだえするような居住まいの悪さに苛まれた。何しろ良いことしか語らず、その話にオチがないのだ。せめて大失敗してチャンチャンで終わってくれれば!くねくねと身をよじらせるグーンがおかしいのか、ティウはクスクス笑っていた。
自然と場つなぎの酒の量が増え、トロピカルジュースと酒のカクテルであるマイタイをお替りしていた。
とはいえ、エリスの語るグーンはあまりに一面的に過ぎた。二人はお互いのことをほとんど何も知っていない。そこがグーンを冷めさせてくれた。
ピピピ。ピピピ。〇六〇〇を知らせるアラームが鳴った。
「エリっさん、そろそろ時間ッス」
「うん……ティウさん、長い時間甘えさせてくれてありがとうございます。それと衣装を台無しにしてごめんなさい」
エリスの言う通り、彼女の顔が当たっていたあたりは、ぐっしょりと濡れそぼっていた。
立ち上がってお辞儀をしたエリスと同じく、ティウもまた立ち上がっていた。二人の背丈はほぼ一緒。目元は似ていないが、唇とあごのラインもほぼ一緒。姉妹と言っても通用するほど、どこか似ていた。
ティウはエリスと、お互いの首筋に頬を寄せるような抱擁を交わした。
「あ、お化粧の香りの奥に、お婆ちゃんの匂いがする……」
そんなことを呟いたエリスの首筋に、ティウは優しくキスをした。移る口紅の色。
またもや肩を震わせて涙を流し始めたエリスだったが、ちょうどそこにサルバと店員アンが戻ってきた。
「おう、待たせたな。エっちゃんもお楽しみのあとの別れか」
「おかえんなさい、サルバ先輩」
「ああ、そんじゃ帰るか」
なんか変だ。サルバは現在、やけに背筋が伸びていて、スッキリした賢者のような顔つきとなり、言葉もいつものだらしなく間延びした口調ではなくなっている。なんというか、こう、頑張って二枚目を演じている田舎俳優のようだ。
「サルバ先輩、なんか変ッスよ。なんかあったんスか?」
「大人の階段を昇ったのさ」
あー。グーンは納得した。訓練校時代にも、ある日突然こんな雰囲気になるクラスメイトがいた。さては童貞を捨てたか。はしたない。グーンの表情は、臭いものを嗅いだ猫のような顔つきになっていた。
「とにかく、言い訳考えといてください。もうソフィ姐さん起きて、俺たちの不在を知ってカンカンに怒ってるはずッスよ」
「わかってるって。……ってお前酒臭いな」
「なんかキツい酒飲んじゃったみたいなんスよ、もう寝たいッス」
アンとティウと老紳士の三人によるお見送りをあとに、三人は店を出た。
エレベーターを登り、二十号船のコンピューターによるナビゲートを頼りに、三人は空間に跳躍した。
なお三人は、ソフィにこっぴどく叱られた。
そしてサルバは、理由は不明だがロリエにものすごく嫌な顔をされた。
次話は、第五三話 足場の調整と合体(夢精、足場の整形、接舷)です。