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A fused world / 融合した世界  作者: あにゃこ
1-10 奴隷都市
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閑話 5  雷帝 & 氷帝

 私の名前はアリシア・スカーテイル。氷帝と言う二つ名を持っている。名前の通り生物だろうが無機物だろうが、液体だろうが気体だろうが。一瞬で凍らせることが出来る。


 それに凍らせるだけじゃない。氷自体を自ら作り出し、それを武器として使う事も出来る。


 今は空気中にある水分を凍らせて、鳥の氷細工を作っている。何故かって? エリシアがこっちに向かって来ているから、待っている間の暇つぶし。


 エリシア・スカーテイル。私の双子の姉。雷帝と言う二つ名を持っている。エリシアは二つ名の由来その物の雷を使う。そして雷その物の激しい性格をしている。それに原理は解らないけどエリシアは空を飛べる。雷だから? 


 私は飛ぶことは出来ないけど、氷の足場を作って空に上がる事は出来る。


 ・・・・・・そろそろね。


 ・・・・・・ィィィィイイイッバシインッ!


 雷が私の近くに落ちる。


「よおアリシア。お前も問題無くこっちに来れたんだな」


「そうね。エリシアも問題無い?」


「おう。只よ、飛ばされる前にバグヘッドのクソと殺し合いしてたんだけどよ、あとちょっとって所で飛ばされちまってよ。ったくよー」


「何やってるのエリシアは。闘う相手が違うでしょうに」


「だってよ! あのクソ野郎がアリシアの事馬鹿にしやがったんだよ! 殺したくもなるだろうが!」


「ふう。解ったわ、ありがとう。私の為に怒ってくれたんだもんね」


「おう、そうだ!」


 エリシアは私の敵には烈火のごとく怒る。私もエリシアの敵には容赦しない。勿論自分の敵は言うまでも無い。私達は双子。自分の分身を互いに守り合う。エリシアがバグヘッドと闘うなら、私も手伝う。


「で? どうするアリシア」


「そうね、特にやる事も無いからね。この世界の文化でも見に行ってみる?」


「ええー? お前はほんっとそう言うの好きだよな。何が面白れぇんだよ」


「どちらにしろ、ここだと何もできないから、街の方でも行ってみましょうよ」


「まあ確かにな。つーか何でこんな山の中にいるんだよ?」


「飛ばされた先がここだったのよ。好きでいたんじゃ無いわ」


「そっか。来る途中に街があったからよ、そこに行こうぜ」


「遠いの?」


「歩いて行ったら半日はかかるかなぁ?」


「そう。じゃあ何時もので行きましょう」


「おう」


 何時ものとは、私が氷の道を作る。そしてエリシアが指向性を持った雷を氷の道に流すと、かなりの速さで進むことが出来る。何故かって? そんな事解らないわ。出来るんだから理由なんてどうでもいい。


 私達は氷の道を進み、一時間位で街に着いた。


「あの速度で一時間もかかってるんじゃ、歩いたら半日じゃ済まなかったでしょ」


「ぶははは。まあ良いじゃねぇか、着いたんだから」


「まったくもう・・・・・・で、どうしようか? 拠点にする場所でも探す?」


「アリシアが氷の家作ればいいじゃん」


「嫌よ。ふかふかのベッドで寝転がりたいわ」


「別に俺達は寝なくても平気なんだからよぉ、ベッドなんかどうでも良いだろうに」


「い・や。私はベッドを探します」


「解ったよ。アリシアは変な所に拘るからなぁ」


「エリシアが無頓着過ぎるのよ」


 因みに私達は食事をする必要も無い。そう言った生命体なんだから。只、必要が無いだけであって、食べれない訳では無い。美味しそうな物は進んで食べるわ。お腹も膨れるし、お酒を飲めば酔いもする。要は私達にとって食べ物飲み物は嗜好品ね。無くても良いけど、あれば生を豊かにする。


「でもよ、知らない世界でアリシアの好みのベッドを探すって・・・・・・難しくねえか?」


「いいじゃない。別にやる事も無いんだし。それとも、エリシアは何かやりたい事があるの?」


「・・・・・・ねえな」


「じゃあいいでしょ? あ、エリシアはその辺でお酒でも探して来たら?」


「お!? いいのか?」


「ええ。別にそれを咎める理由も無いでしょ? 私はベッドを探してるから。適当に追って来てよ」


「むっはー! アリシア愛してる! じゃあちょっと行って来るな」


「ええ、適当に私のも持って来てね」


「おう、任せとけ!」


 そう言ってエリシアは飛んで行った。・・・・・・空からどうやってお酒を探すつもりなのかしら?




 それから数日は、あちこちの街を転々としていたわ。街並みを見ながらベッドを探す。見つかったらその日はそこに泊まる。寝なくてもいいんだけどね。エリシアはお酒を飲んでいるから、それに付き合ってるの。そして翌日は次の街に移動する。それを繰り返していたわ。



 そして次の街に着いた。

 

 同じ様に適当に建物の中を見ながら散策する。・・・・・・エリシア? ・・・・・・いえ、違うわね。何かしら? エリシア以外の生命の反応を感じるわ。私はその反応に近づいて見る。


 ・・・・・・男が一人で歩いている。あら? 眷属みたいね。更に近づいて話掛けてみる。


「こんにちは」


「・・・・・・」


 ・・・・・・言葉が通じないのかしら?


「あなた眷属よね?」


「・・・・・・ああ」


 なによ、通じるじゃない。警戒はしてるみたいだけど、敵意は感じないわね。


「何をしてるの?」


「食べ物を探している」


「ふーん。ねえ、あなたは拠点みたいな物はあるの?」


「・・・・・・いや、無い」


「ふかふかのベッドを探してるんだけど、心当たりは無いかな?」


「・・・・・・そうだな・・・・・・あそこに背の高い建物があるだろう?」


「ええ、あるわね」


「あそこの上の方ならあるかもしれない」


「・・・・・・そう、解ったわ。ありがとう」


 男はそのまま歩き去った。・・・・・・ふーん。あれが新しい眷属か。大した事無さそうね。





 私は男に言われた場所まで来ていた。


「んー、まあまあかな?」


 背の高い建物の一番上の部屋。そこには大きなベッドがあった。


「でも上り下りが面倒ね。他を探そうかしら?」


 それともこのベッドを下まで持って行こうかしら?


 バシュウウゥゥン・・・・・・


「アリシア、良いの見つかったか?」


「まあまあね。エリシアこそ早かったじゃない」


「ああ、何か変な感じがしてな。戻って来たんだ」


「変な感じ?」


 さっきの男の事かしら?


「感じないか? 向こうから何かが近づいて来てるんだ」


 エリシアが指す方向は、男が行った方向とは逆を指している。


「・・・・・・言われてみればそうね。何かしら? 禍々しい物が近づいて来てるわね。真っ直ぐこっちに向かって来てるのかしら?」


「だろ? こっちに来てるよな? 何だろうな?」


「考えてもしょうがないわ。敵対するなら迎え撃つし、そうで無いならどうでも良いし」


 目的は私達じゃなくて、さっきの男かもしれないし。


「そう言えばさっき眷属に会ったわよ」


「なに? 誰だ?」


「今回新しく眷属になった人みたい。あっちに歩いて行ったわ」


「じゃあそいつはこの気配とは関係ないのか?」


「方向が逆じゃない。違うでしょ?」


「んー、やっぱり気になるな。ちょっと見て来る」


「構わないけど、やたらに闘わないでよ?」


「相手によるな」


 そう言ってエリシアは飛んで行った。まあいいわ。私はこのベッドでコロコロしてるから。




 ・・・・・・やっぱりこの気配はおかしい。近づいて解ったが、明確な殺意を持ってこっちに向かって来ている。そろそろ見えるか・・・・・・ん? あれは・・・・・・。


 俺はそいつの近くに降り立つ。


「何だ、お前もこの辺に飛ばされたのか?」


「よおエリシア。お前一人か? アリシアは何処だ?」


「ここにはいねえよ。それはそうと・・・・・・お前殺気を放ちながらこっちに向かってたよな? 何のつもりだ?」


「そうか、お前一人か。そりゃあ好都合だ」


「てめぇ聞いてんのか?」


「おう聞いてるぜ? 殺気? 殺気を出してんのはお前だろ? エリシア。落ち着けよ」


 そいつは一歩近づいて来る。


「殺気ねぇ・・・・・・そりゃあそうだろうよ、俺はお前らを殺しに来たんだからよ!」


 そいつはいきなり殴りかかって来た。


「てめえ! 何しやがる!」


「うははは、何しやがるじゃねえよ。てめえ俺様にあれだけの事をやっておいて、只で済むと思ってたのか?」


「・・・・・・この野郎」


「おら、エリシア。あん時の続きだ、かかってこいよ」


「上等だ! このバグソヘッドが! こっちもやり足りねえ所だったんだよ! 今度こそ殺してやんよ!」


 雷を呼び、トールハンマーを手に戦闘態勢を取る。


「ぐはははは! そうだ! 来いよ! てめぇを殺した後はアリシアも殺してやんからよ! 前からオメエら姉妹は気に入らなかったんだよ!」


「気に入らねえのはこっちだクソが! ぶっ殺してやる!」


 雷帝エリシアと狂王バグヘッドの戦闘が始まった。


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