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A fused world / 融合した世界  作者: あにゃこ
1-2  遭遇
6/75

2-1

 1月5日  21:00


 電力が復旧しない為、寒いだけでやることが無い。遥もまだ帰って来ていないし。何やってんだよあいつ。地震が大きかったから念の為に実家で一泊か?


 とりあえず寝ているジルを起こし服を着せる。既に屋外と気温が変わらないから、外用の防寒着にした。防寒着を着て排泄を済ませたジルは、直ぐにハウスに入り寝始める。おい、ご飯はいいのか?


「ジル? ご飯は?」


 ・・・・顔も向けてこない・・・・寒くて食べる気もしないのか? 何か昼間から元気が無い。寒いだけならいいけど。


「まぁいいや、おやすみ」


 一馬と一樹は


「なんかかったるいから寝る」


 そう言って各自の部屋に戻って行った。なんだ? 現代っ子は乾パンがお口に合わなかったか?あいつら今日はほとんど寝てたくせによく寝れるな。


 ランタンの灯に揺られながら今日あった事を思い返す。


 あー・・・・今日は何か疲れた。デカい地震だったから精神的に疲れたのかな。そういえば夕方の地震から? 近所の人を一切見ていない。あの規模の地震があったら誰かしら表に出てくるはずだ。なんで誰も出て来ない? 3軒先の木村のオバハンなんか迷惑レベルで話好きだから真っ先に出てきそうな物だけど。車も走っていないみたいだし。


 それに昼間のTVだ。あれは結局何だったんだ? コスプレイベント? 映画の撮影? じゃああのニュースもか? サイレンだってそうだ。何かが起きているのは間違い無いと思う。あのゴブリン軍団(仮称)が現実だったら? 映画とかでもそう言うのあるよな? 宇宙人が攻めて来たとか古代の遺跡からモンスターが復活とか。


 ・・・・いやいやないない。ある訳が無い。ここは現代日本だ。一人で戦況を覆す英雄とかヒーローなんかはいない。そもそも現実だとしてもだ、とっくに自衛隊や米軍が鎮圧に向けて動いているだろう。小さい緑はともかく、あんな魔法?を撃つ奴ら相手に一般人が対抗出来る手段は無い。


 まぁ俺がうだうだ考えてもしょうがないか。明日になれば何か解る事もあるだろう。眠くなってきたから俺も寝るか。遥が帰って来ても鍵持っているから自分で入って来れるし大丈夫だ。俺は今日あった事を反芻しながら眠りに落ちた。



 1月6日 AM6:00


 ペロッペロッペロッペロッ

 うん、これはジルだな。1日寝て元気になったか。んんー解ったよもう起きたよ。


「はーい・・ジルおはよう」


 ジルを撫でながら寝ぼけ眼で時計を見るとまだ6時だ。流石に一晩経てば出血は無い様だが、膝と手はまだ痛い。膝を見てみると青タン通り越して真紫だ。手もズルズルだ。あーまったく寒いし痛いし。こんなじゃあ今日仕事出来ないぞ。


 周りを見回すが結局遥は帰って来なかったようだ。実家に泊まったのか? いないものはしょうがない、子供達を起こして学校の支度をさせるか。


「ジル―、おにい達起こして来てくれー」


 部屋の扉を開けて、そうジルに促すとすっ飛んでいく。おおー、何で調子悪かったか解らないが完全回復したみたいだな。しかし少し大きくなってたか? 小さい頃は一晩経つと「あれ? ジルたん大きくなった?」って事が良くあったけど。2歳だから成長期は終わっている筈だが・・・・気のせいか?

 

 TVを点けてみる…まだか…スマホは…変わらずアンテナ無しか。未だ電力は復旧していない。なんだよ全く、また乾パンかよ。温かいもの食べてーよ。発電機動かして米炊いてもいいけど、学校の時間に間に合わなくなるから止めておこう。ていうか今日学校あるのか?


 2階からギャーギャー声がする。よしよしジルたんお利口だなー。昨日は夕飯食べてないから腹減ってるだろうな、先に作っておいてやるか。


 ジル用の馬肉を出す為冷蔵庫を開けるが何も入っていない。そうだ、中身全部庭に出したんだ。庭に出て肉を取り戻ろうとした時、目の端に何か光る物が映る。


「・・・・なんだこりゃ?」


 ゴルフボール大の透明なガラス玉が落ちている。透明じゃないな、多少青みが掛かってるか? そう言えば昨日の朝、遥が何か言ってたな。「変なガラス玉庭に置いておかないでよ!! 凄い痛かったよ!!」 ってちょっとキレてたな。これの事か、誰のだ? 俺のじゃないぞ。遥も違うなら一馬か一樹か、こんな物庭に置いて割れても知らねーぞ? 何かの拍子に割れて文句を言われても面倒なので、片付けようと触れた瞬間…


 バチッ!!


 痛ってーー!なんだこれ? ガラス玉じゃないのか? 何で帯電してんだよ? 寒くて乾燥してるから静電気か? ガラスに? 何だよまったくもう、昨日から痛いことばかりだよ。


 ガラス玉は放っておいて肉を持って部屋に戻る。子供達も起きたようで寒い中眠そうにむにゅむにゅしている。


「おい、庭のガラス玉何だよあれは? 電気持ってるじゃんかよ、あんな危ない物放置しとくなよ。昨日の朝、遥キレてたぞ?」


「あー、あれ俺のじゃないよ。昨日からあったよ。昨日お父さんがコンビニ行ってる時の地震で、庭に出た時ジルと見つけた」


 と一樹。


「昨日? 一昨日の夜にはあったぞ? 夜に庭から出て行った時見つけた。一樹のだと思って放っておいたけど」


 と一馬・・・・ん? 今何か聞き捨てならない事を言ったか?


「夜って何時頃よ?」


「んー、10時頃かな? 暗いから何か解らなくて触ったらバチッって来てさ、凄い痛ってー・・・・」


 ・・・・・・・・ニヤニヤしている一樹、しまった! という表情の一馬。


「夜の10時に家を抜け出して何処に行ったのかな? 一馬君」


「・・・・・・ササキサン・・・・・・」


 こらこら、余計な事を言うのは止めなさい一樹君


「うっせーよ一樹! 余計な事言ってんじゃねーよ!」


「お前こそ余計な事やってんじゃねーよ。人様の家の娘さんをそんな時間に連れまわすなよ。」


「・・・・・」


「学校で逢ってんだろ? あー、今冬休みで学校無いか。でも休み中は昼間逢ってたんだろ?」


 ちょくちょく居なかったのをお父さんは知ってますよ?


「まぁ逢ってたけどさー・・・・」


 あー、解った解った、おやすみの“ちゅー”したくなっちゃったのね? “ちゅうー” ってね?理解力のある父親を自負している俺としては制御出来ない程の迸る気持ち(意味深)を持て余してるのも理解できるよ。頭で物を考えられない時があるのもわかるよ。そんなお年頃だもんなー。


 だがしかし!


「そんな時間に未成年の若い女の子を連れまわすのはダメだ。どうしてもって言うなら佐々木さんのお父さんに許可を貰え。俺はって言うかウチは構わない。佐々木さんのご両親が許可をくれたらウチで遊んでもいい。暗い中外でフラフラしているより余程安心だからな。まあ一馬が夜中にフラフラ外出してる女が良いって言うなら別だがな」


「・・・・解った、今度聞いてみる・・・・」


 は? 聞くの? 何を? マジかよ? スゲーな一馬、そんなに佐々木さんの事が好きなの? LIKEじゃなくてLOVEなの? といった俺の心情は置いておき


「そうしとけ。何て言われるかは解らないけど少なくとも勝手に連れ出して何か起こるよりは全然ましだ」


「解った」


 全く朝から何の話をしてるんだか。おら、そこ。ニヤニヤすんな一樹。


「で、一馬もアレ触ったのか? どうだっ「あ、俺とジルも触った」・・・・」


「・・・・バチッて来た?」


「バチッて来た。痛かった」


「ジルも?」


「ジルは舐めてバチッてた。面白かったよ? ヒャン! とか言ってんの」


 面白くねーよ、なんだよバチッてたって。太鼓かよ。だから昨日元気が無かったのかよー。言えよ先に。


「あーっと・・・」


「なんだ一馬」


「・・・・・・詩歩も触ってる・・・・・・」


 お前なんだよ? 何やってんだよ? せめてお前が行けよ、あんな時間に人様の娘ウチまで呼び出してバチらせてんのかよ?


「・・・・・・まあいい、朝飯食って支度しろ」


 しかし家族全員触ってるのか。またバチッてなるの嫌だから隅に寄せておくか。箒で転がして・・・・あ、行き過ぎた。植え込みの根元まで行っちゃったよ。見えないからまた忘れそうだな・・・・まぁいいや寒いから。


 室内では二人と一匹はゴロゴロしていた。あれー? ジルー? やっぱり大きくなってるよな? ジルはアメリカンのショータイプのドーベルマンだからあまり大きくないけど、軍用犬そのもののヨーロピアン位でかくなってないか?


「なぁ、ジルでかくね?」


「あー、なんかでかくなったよね、成長期?」


「うん、布団に乗られた時も重かった」


 んー、何でだろう?



 AM6:45


電気が通ってないので今朝の朝食も乾パンだ。昨日とは打って変わって二人ともボリボリ食べている。おいおい、一人一食一缶じゃないぞ? ジルも大きくなったからか凄い勢いで食べている。いつもの量では足りない様なので少し追加してあげたらそれもすぐに食べてしまった。太ったドーベルマンなんか格好悪いからそれで終わりだぞ。


 そして反対に俺は何故か食欲が無い。それにさっき庭でガラス玉を触った左手が熱を持っている。火傷でもしたか?


「朝飯食べたらジル連れて遥の所に行ってみるから。何も無ければすぐ戻るけど、何かあっても昼には一回戻るからな。流石に学校は半日だろ? 昼飯買って来るから待っててな」


「「了解―」」 


 ジルと工場に向かう。何が起きてるか解らないから軽の四駆で行くか。昨日の地震は大きかったし。塀が倒れているかもしれないからな!


 ジルを車に乗せている横を一樹が背中を向けながら歩いている。ん? 何持ってるんだ?


「一樹、何持ってんだ?」


 ビクンとして走り出す一樹。あ! あの野郎昨日の六角鉄棒持ってやがる!


「おい! 学校にそんなもん持っていくな! 警察に捕まるぞ!!」


 って言うか一樹速い! あいつあんなに走るの速かったか?


「武器はひつよーーー・・・・」


 なんだあいつ? ドップラー効果を起こしながら凄い勢いで走って行ったぞ。だーっ、何考えてんだあいつは。あんな物持ってるの学校にばれたら確実に呼び出しじゃねぇか! いや、只の鉄の棒だから大丈夫か? それに武器が必要ってなんだよ? 中学生が何と戦ってるんだよ、番長グループか? 他校と抗争中か? どっちにしろあんなもんで殴ったら骨折じゃ済まないぞ? 朝っぱらから面倒くせぇ!


 ブツブツと言いながら出発準備をしていると


「一樹が何かやったの?」


 ん? 一馬か。


「あいつ鉄の六角棒学校に持って行きやがった。武器が必要とか言ってたけど、いじめられたりしてないよな?」


「そんな話は聞いて無いけどね、それっぽい事も無いし。」


「ふーん、ならいいけど。あいつ走るの凄い速いな、国体とか出れるんじゃないのか?」


「そう? まぁ部活で毎日走り込みしてるからじゃない? 国体は言い過ぎだと思うけど。じゃあ行ってくるね」


「おー、気を付けてな」


 んー、毎日走っていると言っても・・・・そういうレベルじゃ無かったと思うんだけどな。


 さてどうするか。一樹は徒歩で登校だが一馬はバス通学だ。この調子じゃ時間通りにバス来ないんじゃないか? 知り合いの所に寄りながら一馬を学校迄送ってやるか。それからでも遥の所は大丈夫だろう。


そうして俺はジルを乗せた車を走らせた。



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