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A fused world / 融合した世界  作者: あにゃこ
1-9  腐王
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閑話 4 アデルとジゼル

 大きな地揺れが起きた後、気が付いたら私達は知らない場所にいた。


「ねえアデル、ここ何処だろうね?」


「私に解る訳無いじゃない」


「でもさあ、ルシアちゃんたちと一緒に落ちた筈なのにいないよ?」


 それもそうだ。最初はみんなの気配を感じていた。でもさっきの地揺れの後に、私達のいる場所が変わったんだよね。転送されたのかしら? 集落っぽい所にいたのに、街?になっている。


「さっきと周りの風景も違うしさー、建物の感じも全然違うよね? でも相変わらず誰もいないのは同じだね」


「ジゼルうるさい! 少し考えさせてよ!」


「なによその言い方。アデルが考えたって解る訳ないじゃん」 


「なんですって!?」


「なによ? ホントの事じゃん」


「妹のくせに生意気よ! 大体お姉ちゃんって呼べっていつも言ってるでしょ!」


「双子なんだから大して変わらないでしょ? 数秒早く生まれた位でお姉ちゃんヅラするのは相変わらずだよね」


「何よ! 私の方が先に生まれたんだから当然でしょ! しかも数秒な訳無いじゃない!」


「ふん、ニードルボアみたいに突っ込む事しか出来ないくせに」


「ああっ! また言ったわね!」


「言ったが何よ!」


「ジゼルのくせに生意気よ!」


「アデルだって生意気じゃん!」


「「・・・・・・」」


「もう許さない! その生意気な態度、叩きなおしてやるわ!」


「こっちのセリフよ! いつもいつもお姉ちゃんヅラしてさ! どっちが上か解らせてやる!」


 周りに誰もいないのを良い事に、私達は喧嘩した・・・・・・。




 暫くして、


「ねえ・・・・・・もう止めない?」


「・・・・・・そうだね・・・・・・痛いし疲れたしお腹減ったよ」


「取り合えず、食べ物を探しましょ」


「うん。・・・・・・アデル、ごめんね」


「私こそごめんねジゼル」


「その辺の建物に入って探そうか?」


「うん。そうしようよ。住居みたいだから、何かしら食べ物もあるでしょ」





「ジゼル、これ食べれるんじゃない? 甘い匂いがするから、何かの果実だよ」


「ホントだ。美味しそうな匂いだね」


 二人が見つけたのは、所謂バナナである。


「どうやって食べるのかな? このまま齧っていいのかな?」


「えー? 皮ごと食べるの?」


「シランの実とか皮ごと食べるじゃん。だから平気でしょ」


 アデルは皮を剥かずにそのままバナナにかぶりつく。


 もちゃもちゃもちゃ・・・・・・


「・・・・・・どう?」


「・・・・・・渋い・・・・・・」


 ブヴェーと言う表情のアデル。


「でも中身は美味しいから、皮を剥いて食べればいいよ」


「ふーん」


 アデルとジゼルはバナナの皮を剥いて、もちゃもちゃと食べる。


「・・・・・・果物だけじゃ足りないね」


「・・・・・・そうだね」


 家の中をあちこち漁る二人。


「ねえアデル。この箱から肉の匂いしない?」


 ジゼルは冷蔵庫の前で鼻を鳴らしている。


「んー? ・・・・・・ホントだ。する。どうやって開けるんだろうね?」


 二人はぺチぺチ叩いたり引っ掻いたりしている。


「この箱壊しちゃおっか」


「だね、開け方解らないからしょうがないね」


 アデルは冷蔵庫の側面を殴りつける。それ程力を入れたようには見えなかったが、冷蔵庫は横倒しになり前面の扉が開いた。


「やった、開いたね」


「うん。さて、お肉お肉っと・・・・・・あったよ、ほら。他にも色々入ってるよ」


「やったね。切り分けてある奴で良かったね。他って何?」


「んー解んない。これとか甘い匂いがする」


「えー? 何その黒い液体。毒だよ絶対。止めなジゼル、甘い匂いで引き寄せるんだよ」


 所謂ぺプ〇コー〇である。


「そうかな? まあそれならそれで狩り用に持って行こうかな」


「そうだね。で、お肉はどうする? 焼く?」


「火、無いよ」


「あー、それもそっか。じゃあこのままだね」


「だね」


 半分に千切り分け、再びもちゃもちゃと食べる二人。因みに牛肉である。


「後は良く解んないね」


「そうだね。知らない場所だからさ、解らない物は止めとこうよ」


「だね。じゃあ次の建物に行ってみよう」


「うん、行こう」





 二人は街の中を歩き回り、あちこち見て回った。


「ここは鍛冶屋かな?」


 工具屋である。


「いろんな文献が一杯あるね」


「この人おっぱい出してるよ!」


「でかっ!」


 本屋である。


「わ! 凄いよここ」


「ホントだ!こういうのってビキニアーマーって言うんだよね!」


「南の女の人が着てるやつだね」


 ランジェリーショップである。


「いっぱいあるね」


「でも薄くない? 防御力がある様には見えないよ?」


「このひらひらが攻撃を防ぐのかな?」


「えー? これとか向こうが透けてるよ?」


「魔法が掛かってるのかな?」


「着てみたら解るんじゃない?」


「そうかな?」


「アデル着てみなよ」


「えー、ジゼルも着なよ」


「解った」


 二人は好きな物を身に着けて、お互いに見せ合う事にした。


 アデルとジゼルは、二人共革で作ったチューブトップと、同じく革のスパッツの様な物を着ている。それと、攻防兼用の籠手、蹴り技などに耐えられる様に鉄板などで補強してあるショートブーツだ。勿論スパッツには尻尾用の穴が開いているのだが・・・・・・


「ねえジゼル、おっぱいもお尻もぶかぶかなんだけど・・・・・・こんなカパカパだと戦闘中にずれちゃうよ。いつもの服の上から着るのかなあ? それに尻尾の穴が無いよこれ。ホントに魔法掛かってるのかな? 何にも感じないんだけど?」


「・・・・・・」


「ジゼル?」


「ふふふふふふ」


「ジゼル? どうしたの?」


「私はこの防具屋の意図を理解したわ」


(注  ランジェリーショップです)


「どういう事?」


「見なさいアデル。私のこの完璧な姿を!」


 ばばーんと効果音が鳴りそうな勢いで出て来るジゼル。


「ええっ! なにそれ凄い!」


「ふふふふ、これで私の防御は完璧よ。まずは足からよ! この・・・・・・何て言うのか解らないけど、足先から膝の上まで覆うこれ! きっと魔法で強化された繊維でチェインメイルみたいに編み込んであるのよ! 」


 網タイツである。


「次に腰に巻いてあるこれ! 私達みたいに格闘を生業にする者にとって腰は重要。腰を守りつつも! 蹴りを放っても足のこれがズレ無い様に繋ぎ止める高機能!」


 ガーターベルトである。


「次は胸! ねえアデル、よく見るとさ、このひらひらって可愛くない?」


「うん、可愛い可愛い」


 レースだね。


「そう! 可愛さをあしらいつつも胸に来る攻撃を受け流せる様に流線形になっているこれ!」


 ブラだね。


「・・・・・・でもさ、ジゼルもパカパカじゃん。それだと意味無くない?」


「ふふふ、甘いわねアデル。この防具屋の意図を理解していないだけあるわ」


「な、なによ」


「防具が自分の身体に合う合わないは良くある話。しかし! ここはそれを解決する方法を編み出していたわ!」


「何!? 何!?」


「それはこれよ!」


「・・・・・・何それ・・・・・・茶色いスライム?」


「これはね・・・・・・ちょっと待ってね。えっと、こうして、えーっとこうだったかな? ・・・・・・


 どう!? 流線形を維持する為に、追加で内部装甲を入れるのよ! 完璧じゃない!?」


 パットだね。


「・・・・・・ジゼル凄い! 良くそこまで気付いたね!」


「私もこれを見つけた時は驚いたわ。まさかこんな方法で防具のフィット感を上げるとは」


「でもさ、尻尾は? 尻尾はどうしてるの? ジゼルは尻尾出てるよね? 尻尾の穴開けたの?」


「アデル・・・・・・姉妹だからこそ、敢えて苦言を呈すわ。あなたは周りを見なさ過ぎなの。だからこういう物に気付かないのよ」


「なになに!?」


「これを見なさい!」


 カパッと片足を上げて、穴の部分を見せるジゼル。


「おおーー! 穴が開いてる!」


「そうよ。ここの防具屋なら、尻尾のある獣人向けの装備もあると思ったわ。そして私は見つけたのよ」


 所謂・・・・・・


「えー私もそれ探そっと」


「只ねぇ、私達みたいな虎獣人向けじゃないみたい。尻尾の穴が下過ぎるのよね」


「そうなの?」


「うん。ほら、ほぼ真下に穴があるのよ」


「でも平気なの?」


「んー、走ったりすると擦れるかもしれない」


「そっか。惜しいね」


「うん、本当に惜しい」


「もうちょっと探せばぴったりのあるかもね」


「そうだね」


 二人は日が暮れるまで、下着のファッションショーをやっていたそうな・・・・・・


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