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A fused world / 融合した世界  作者: あにゃこ
1-7  眷属と愚王
41/75

7-2

 眷属・・・・・・眷属? 眷属って何だっけ? ・・・・・・・・・・・・??? 


「・・・・・・申し訳ありません。辞退させて頂きます」


「・・・・・・だめよ」


「いえ、私の様なムシケラ如きにあなた様の眷属になるチャンスを頂けた事は、身に余る光栄でござりまする。しかし、私には意味が解らないほど荷が勝ちすぎる内容である事も事実。よって辞退させてくれ」


「ふふ、所々言ってる事が変よ? でも、だーめ。もうあなたは私の眷属。魂の繋がりも構築済みだから、加護も与えたわよ? もう離れられない仲ってやつね」


「すまん。頭が理解する事を拒んでいる様だ。もう眠いから帰らせてくれないか?」


「だから駄ぁ目。まだ帰らせないわ。あなたの残りの家族の居場所とか知りたくないの?」


「何? 知ってるのか!? 遥の居場所を!!」


「ふふ、ええ勿論知ってるわよ? 教えて欲しい?」


「ああ、教えてくれ」


「どうしよっかなー?」


「頼む、教えてくれ」


「じゃあ、またここに来てくれる?」


「ああ、来る。約束する」


「いつ来てくれる?」


「いや・・・・・・それはシステムが解らないから何とも言えないんだが・・・・・・」


「それもそうね・・・・・・じゃあ、あなたにはこれを与えるわ。はい、どうぞ」


 そう言って彼女は、銀色に光る一つの指輪を出した。


「この指輪は? プラチナか? シルバーって事は無いよな?」


 差し出された指輪を受け取ると、勝手に右手の薬指に嵌まった・・・・・・俺指入れて無いんだけどな・・・・・・


「そんなちゃちな金属な訳無いでしょ? その指輪は、言うなれば私とのホットラインね。神からの恩寵を得たのよ? 感謝なさい。それ一個で大国を二つ買えて、お釣りが来るから無くさないでね。使い方としてはその指輪に願えば私に届くから、そうしたらここへ呼び出すわ。んん~そうねぇ・・・・・・じゃあ週一回。週一でここに来て。それ位なら良いでしょ?」


「まあ週一位なら大丈夫だと思うが・・・・・・」


 いつの間にか不倫相手との会話みたいになってるな。


「じゃあ決まりね。週一回あなたはその指輪に祈りをささげる事。祈りを受けたら私があなたをここに呼び出す。これで良いわね?」


「俺が祈るのか?そっちが勝手に呼び出すんじゃないのか?」


「あなたが先に祈って。それは絶対条件。私はあなたからの連絡を待っているわ」


「何でそんな面倒な事を・・・・・・」


「面倒なんて言わないで。恋人からの連絡を待つ乙女みたいでロマンチックじゃない!」


「乙女ね・・・・・・まあいい。解った。週一で指輪に祈りを捧げる」


「忘れないでね。もし忘れたらそこら辺の世界に八つ当たりするからね?」


「八つ当たりって?」


「私は神よ? その世界が滅ぶレベルよ」


「本気で言っているのか?」


「本気よ? あなたの所為で無関係の世界が滅ぶんだからね? くれぐれも忘れないようにね?」


「解った」


「よろしい。ではタカオよ神託を与える」


 彼女は急に真顔になり威厳を感じる程のオーラを出し始めた。


「スズキタカオよ、お前とお前の息子が探し求める者は、遥か西の地で囚われの身となっている。西へと向かい、奴隷が集う街を探すがよい・・よい・・ょぃ」


 フェードアウトしていく声に伴って、俺の意識も薄らいでくる・・・・・・






「・・・・・カオ! どうしたの? 目を覚まして!」


「ん・・・・・・ミカか・・・・・・あれ? 俺は・・・・・・ん? 何で地面で寝てるんだ?」


「タカオ! 良かった、目を覚ましたのね!? 大丈夫? 何とも無い?」


「ああ、大丈夫だが・・・・・・何があったんだ?」


「“ダ” の尻尾に触った途端、倒れたのよ? 本当に大丈夫なの?」


「ああ、なんだかスッキリした気分だ。でも、やっぱり精神的に疲れてるのかな? 酷い夢だった」


「夢? どんな?」


「ん? ミカ達がイグナスで闘った相手ってアーリマンって言ったよな?」


「ええそうよ。破壊神アーリマンと名乗っていたわ」


「夢にアーリマンと名乗る女が出てきてな、俺を眷属にしたって言うんだよ」


「はあ? タカオ、あなた何を言っているの?」


「だろ? 俺も訳が解らないからさ、夢だと思っていい加減に返事をしていたんだよ。そうしたらさ、眷属化した挙句に加護まで与えたとか言い出すからさ」


「・・・・・・」


「で、最終的に指輪も与えるから週に一度祈りを捧げろってさ」


「その指輪は? 何処にあるの?」


「だから夢の話だって。大体指も入れて無いのに勝手に俺の右手の薬指に・・・・・・・・・・・・指輪があ・・・・る? あれ? これってさっき夢の中で貰った指輪か? ミカが嵌めたのか?」


「ねえタカオ、本当に夢だったの?」


 私に膝枕をされながら、地面に仰向けに寝ていたタカオは起き上がって指輪の確認をしている。


「え? あれ? 俺ずっとここにいたよな?」


「ええ、いたわ」


「倒れてから何分位経った?」


「1分経ってないわ」


「・・・・・・ミカ済まない。何が起きたのか俺にも解らない。現実だったのかどうかも・・・・・・」


「そう・・・・・・まあいいわ。タカオが無事ならそれで充分。後で詳しく聞かせて頂戴」


「ああ、解った」




 ・・・・・・タカオは指輪を見ながら訝しんでいる。アーリマンの眷属になった? 加護? どういう事なの? 私も理解できていないけど、タカオが意識を失っている時に何かがあったのは確か。


「もしもーし、聞こえてますかー? 聞こえてたら返事してくださーい。さっきのが夢じゃ無いならもう一度そっちに呼んでくださーい」


 タカオ・・・・・・祈りを捧げるのと、指輪に話しかけるのは違うんじゃないかしら? 


「・・・・・・」


「・・・・・・タカオ?」


 座ったまま指輪に話しかけていたタカオが、また崩れて行った。


「ちょっとタカオ! 冗談は止めて! タカオ!?」


 また意識が無い。一体何がどうなっているの?






「・・・・・・あれ? ここってさっきの夢で来た場所だよな?」


「おかえりなさい。さっき別れたばかりなのに、もう来てくれるなんて嬉しいわ」

 またいつの間にか、椅子に女性が座っている。


「申し訳ありません。これは夢なのでしょうか?」


「嫌。そんな他人行儀な話し方は止めて。さっきみたいに普通に話して」


「・・・・・・解った。これは夢か?」


「そうであるとも言えるし、そうで無いとも言えるわ。あなたの精神体だけをここに連れてきているからね。実際肉体の方は寝ている状態にあるだけだし。でも夢じゃ無いって事は、指輪があった事で解るでしょ?」


「・・・・・・じゃあ全て現実なんだな?」


「そうよ」


「眷属がどうこうの話も?」


「そうよ。あなたを眷属化して、加護を与え、神器である指輪も与えた。全て現実よ」


「真面目に幾つか質問していいか?」


「いいけど、さっきは真面目じゃ無かったの?」


「済まない。完全に夢だと思っていたから、いい加減に話をしていた面もある。それについては謝る」


「もう・・・・・・いいわ。何でも答えてあげる。さっきと同じで答えられるものはね」


「ありがとう。まず一つ目。あんたは破壊神アーリマンで合っているのか?」


「ちょっと違うわ。私は “破壊” と “創造” の神アーリマンよ。あと “あんた” じゃ無くて “アルマ” って呼んでちょうだい」


「・・・・・・アルマは破壊神と聞いているが? 」


「壊される側から見たら、破壊神でしかないでしょうね」


「しかし、実際に地球とイグナスを破滅に導いたんだよな?」


「破滅じゃ無いわ、破壊よ?・・・・・・タカオ、あなた達は根本的な勘違いをしているわ」


「勘違い?」


「ええ、勘違い。まず私は対象を、今回はイグナスと地球の事よ? その二つの世界を滅ぼす為に、こんなことをしている訳では無いという事。いい? 破滅と破壊は似て非なる物よ? 過程は同じでも結果は全違うからね?」


「そんなに違いがあるとは思えないんだが」


「私が言う破滅は、その対象を完全に滅する事。再生や復興の余地なんて与えないわ。その対象の歴史はそこで終わり。その後は何も残らない。無よ。対して破壊は壊すだけ。後には壊された世界が残る。その後の歴史も紡がれるわ」


「じゃあイグナスと地球を滅ぼそうとしている訳じゃ無いのか?」


「ええ、そうよ。滅ぼすだけならこんなやり方しないわ。むしろ世界を救っているのよ?」


「救う?」


「そうよ、イグナスと地球。滅亡に向かっている二つの世界を融合させることによって、滅亡を回避させようとしているのよ?」


「地球は滅ぶのか?」


「ええ、そう遠くない未来に滅ぶわ。心当たりが沢山あるでしょ?」


 地球が滅ぶ心当たり・・・・・・あり過ぎる。


「人口の増加に大気の汚染による食料の生産性の低下、各国の軍事的緊張、地下資源の枯渇。未知の疫病の発生。あ、宇宙生物の侵入とかもあるわね。他にも沢山あるわよ? ほら、心当たりがあり過ぎるでしょ?」


「最後の宇宙生物は知らないぞ?」


「あら、そうなの? でもそれはタカオが知らないだけ。既にかなりの数が入って来ているわよ? 」


「マジか・・・・・・」


「マジよ。で、じわりじわりと滅びへの道を歩んで、大体180年後ね。概要は省くけど、全ての生命は死に絶え地球は滅ぶわ。あ、地球が滅んでも生き残るって言われているGさえも滅ぶわ。イグナスはちょっと違って、彗星の衝突で滅ぶわ。私はそれを回避させようとしてあげてるの」


「じゃあ人類を滅ぼす必要は無いんじゃないか?」


「それは駄目。地球をここまでボロボロにしたのは誰かしら?」


 ・・・・・・何も言い返せない。


「ふふ、タカオ一人を責めている訳じゃ無いわ。それにレギオン化していない生き物も結構いるわよ?」


「ミカは数十人しか生き残りはいないと言っていたが?」


「二つの世界が合わさる事により、お互いの世界の理も合わさって来ているのよ。だからあの娘達が使う探知魔法は正確性に欠けているわ」


「じゃあどれ位の生き残りがいるんだ?」


「それは知っても意味が無い事よ? イグナスからも結構流れ込んで来てるいからね。ただこうしている現在も眷属やレギオンたちは動いているわ。どれ位生き残れるかしらね?」


「・・・・・・さっき西へ行けって言ったのは本当なのか?」


「詳しくは言えないけど本当よ」


「何で言えないんだ?」


「そう言う物なのよ。あなた達の歴史で神が直接助けてくれた事ってある? 神から愛されて力を貰ったり神託を受けるとかの間接的な手助けはあっても、直接答えを貰うってのは無いんじゃないかしら? 大体一方的でしょ?」


「まあ、そうかもしれんな」


「でしょ? 未来は自分で作る物なのよ。他人を当てにしちゃダメよ? 後は何かしら? 眷属化の事とかかしら?」


「そうだな。俺もあの火の奴とか、“ダ” みたいになるのか? 俺を眷属にして何をさせるつもりなんだ? そもそも眷属って何なんだ?」


「ふふ、質問が多いわね。無理も無いけど。まずタカオが “バズ” や “ダ” みたいな異形の者になりたいなら、ならせてあげるわよ?」


「いや、いい」


「そう? どうとでも出来るわよ? みんな不老不死とか結構欲しがるわよ?」


「俺は少なくとも外見は人のままでいたいからな、今の所は遠慮しておくよ」


「そう、気が変わったら何時でも言ってね。次にタカオを眷属にした理由と目的ねぇ・・・・・・特に無いわ。週一回ここに来て、私の話し相手になってくれれば後は何をしようと構わないわ。そうねえ・・・・・・強いて言うなら、私がタカオの事を気に入ったからかしら?」


「・・・・・・そんな下らない理由で!?」


「そんな言い方は無いんじゃないかしら。神から贔屓されているのよ? もっと喜びなさいな。他の眷属達もそうよ。喜んで好きに生きているわよ? だって半神半人になった上に、神から自由を保障されたんだから。今回だって何も命令なんてしていないわ。ちょっと声を掛けただけ、『二つの世界を融合させるから遊びに来たら?』って」


「なあアーリマ、アルマ。今半神半人って言ったか?」


「ええ言ったわ。タカオもそうよ?」


「・・・・・・何で?」


「? 何でって眷属だから?」


「他の奴もそうなのか?」


「今回のメンバーに限って言えば・・・・・・4人と2匹がそうね」


「その6人? は化け物レベルなのか?」


「そうよ? 曲がりなりにも半分は神だからね」


「残りは? 普通なのか?」


「いいえ。残りも化け物ね。全員その種を超越して、色々な能力を持っているわ」


「全部で何人いるんだ?」


「それを聞いたら楽しさ半減じゃない?」


「こっちは命が掛かってるんだ。楽しさなんか二の次三の次だ」


「もう、我儘ね。じゃあ数だけ教えてあげるわね。全部で20組、26人よ。でも既に二人倒されているから、残りは18組、24人ね。因みに各自が揃えた戦力は入れていないわ」


「そ、そんなにいるのか?」


 しかも数が合っていないって事は、チームを組んでる奴らもいるって事だよな。


「各自が揃えた戦力って、あのゴブリンとかも入っているのか?」


「いいえ。あんなのを戦力に数える眷属なんていないわ。・・・・・・いえ、いるかもしれないけど、それはまた特殊な眷属ね。各自が揃えたって言うのは、私みたいに眷属化やそれに似たものを作れる能力で揃えた戦力って事よ」


「そんな奴らを俺がどうこう出来るのか?」


「まだ実感が無いから解らないかな? あのね、タカオは、もう、半分とは言え、神様なの。解る?」


「・・・・・・・・・・・・全く解らないな・・・・・・」


「ふふ、その内解る時が来るわよ。楽しみにしてなさいな」


「・・・・・・」


「ふふふ、そんなに心配しなくても大丈夫よ。あなたは他の眷属達と違って特別だから。何しろ私のお気に入りだからね」


「・・・・・・そんなに気に入られる様な事をした覚えは無いんだがな」


「うふふ、それは私だけが知っていればいい事なの。タカオは知らなくていいの。さて、他には何かある?」


「いや、今はこれで十分だ。一度に聞いてもな、頭がパンクしちまう」


「それもそうね。じゃあまた連絡してね?待ってるから」


「ああ、解った。またな」


 またしても不倫現場から立ち去る時の様な会話を交わすと、俺の意識は薄れて行った。





「ちょっとタカオ! 冗談は止めて! タカオ!?」


「ん、ああ、済まんミカ。もう大丈夫だ」


「・・・・・・本当だったの?」


 何に対しての確認なのかは聞かなくても解る。


「ああ、本当だった。夢じゃ無い」


「・・・・・・まあいいわ。帰ったら聞かせて」


「いや、先にミカにだけ話しておく。上手く説明できるかどうか解らないけどな」


「解った、聞くわ」


 俺は今あった事と聞いた事を全てミカに話した。


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