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A fused world / 融合した世界  作者: あにゃこ
1-6  ”ダ” と 炎帝バズ
33/75

6-1

 さて、2トントラックか。トラックがあって、更に練習出来る所。・・・・・・教習所か? ちょっと遠いか? 


「どうしたの? 父さん」


「いや、練習できる場所って何処が良いかと思ってな? やっぱり教習所とかのがやりやすいのかなって」


「教習所って隣町の? 遠くない?」


「だよなぁ。どうするか・・・・・・」


「タカオ、それは時間が懸かるの?」


「ん~一馬次第としか言えないなぁ」


「父さん、誰もいないならその辺で良いんじゃないの?」


「そうかぁ?」


「誰もいないならぶつけても壊しても平気でしょ?」


「・・・・・・それもそうか。じゃあその辺の車を拝借してやるか」


「何をやるの?」


「おお、一樹。やっと起きたか。身体は? 大丈夫か?」


「うん。なんかスッキリした」


「そうか」


 俺は一樹にこれからの予定を説明した。



「俺も運転したい!!」


「何でだよ? 一樹は別にいいだろ?」


「おにいだけずるい! 俺バイクに乗りたい!」


「足届かないだろうに」


「やだ。乗る」


 こいつ・・・・・・何か我儘になってないか? これもマナ中毒の弊害なのか?


「お前はルシアから剣を2本も貰っただろ? 今はそれでいいだろうが。一馬は何も無いんだぞ?」


「それもそっか。じゃあ投げナイフ頂戴」


「ああ、その件ならルシアが投げ方教えてくれるって言ってたぞ? 自己流で投げる位なら、使える人にしっかりと教えて貰え」


「ルシアちゃんが? ホント? 解った。ルシアちゃん探して来る。ルシアちゃんどこ?」


「俺の部屋にいるんじゃないか?」


「解った。ジルおいで!」


 嬉しそうにジルは一樹に着いて行った。遊びに行くんじゃ無いと思うぞ?


「ミカはどうする?」


「一人で待っていてもしょうがないから、一緒に行くわ」


「よし、じゃあ行くか」




 孝雄・一馬・ミカ side


 とりあえず近所の人の車を拝借するのもなんとなく嫌なので、道路に放置してある車を使う事にする。


 トラック、トラック・・・・・・あれはどうだ? ・・・・・・マニュアル車か。1.5トンならオートマが結構あるけど、2トンになると少ないんだよな。マニュアルだと慣れるのに時間が懸かりそうだしな。若いから大丈夫か?


「一馬、これで練習するか。マニュアルだけど直ぐに慣れるだろう」


「んー解った」


 一馬を運転席に座らせ、助手席にミカ、真ん中に俺だ。


「まずシフトレバーがニュートラルにある事を確認して――キーを回して――クラッチを――一速に入れて――」


 一通り説明して、いざ発進。


 ガクン・・・・・・


 まあそりゃそうだ。初めて乗っていきなりクラッチを繋げたら凄いよ。


 何度も繰り返し、ようやく発進することが出来た。


「そうだ。で、次に二速に入れて――そう、はい三速。そう、じゃあ減速して二速に入れて、そこ右に曲がって――」


 うん、初めてにしては上出来だ。


「はい、そこ右。三つ目の交差点を曲がって、突き当りを右でウチに戻ってくれ」


「・・・・・・」


 うん、解るよ。返事が出来ない位真剣なんだよな?


 ミカは何も言わずに一馬の動きを見ている。


 一馬は順調にトラックを走らせ、無事家に着いた。


「よし、じゃあそこら辺に止めて・・・・・・うん、そこでいい。駐車はまだいいよ。先に走らせる感覚を覚えてくれ」


「ふ~、結構疲れるんだね運転って」


「まあ慣れだな。若いから直ぐ慣れるよ。じゃあ今のコースをもう一回行ってくれ。このトラックは5速まであるからな? 大丈夫そうならそこまで上げていいぞ。但し、減速は早めにする事。スピード出してカーブを曲がると、曲がり切れなくて突っ込むかひっくり返るぞ。」


「了解」


 二週目を走る。やっぱり若いだけあって順応性が高いな。すいすいと走り二週目を終わらせてしまった。


「よし、次はそのまま向かいの高木病院の駐車場でUターンして、左回りだ」


「わ、解った」


「右は運転席側だから見やすいけど、左は慣れるまではぶつけるかもな」


「ええっ!」


「だから慣れだ慣れ。ほれもっとステアリング切らないと回りきれないぞ」


「タカオ、同じ道を行くの?」


「ああ、そうだな。今度は反対に回るけどな。どうかしたか?」


「ええ、その場所に行ったら言うわ」


「ふーん。じゃあ一馬、同じコースを逆走だ」


「は~い・・・・・・」


 同じコースを逆回りで走っていると、


「タカオ! 止めて! 違った、カズマ止めて!」


「えっ? 何?」


 ギキィィィッ!


 全員前のめり。そりゃあ急ブレーキ掛ければこうなるわ。


「と、急ブレーキを掛けるとこうなるから、気を付ける事。で、ミカは急に言わない事。解った?」


「うん、解った。びっくりしたぁ」


「うう、解ったわ」


「で? なんだ? ミカ」


「タカオ、私はアレを運転したい」


 アレ? アレってアレか? あの黄色い奴の事か?


「・・・・・・何言ってんだよ。無理だろ?」


「運転の仕方はカズマのを見て覚えたわ。大きくても小さくても基本は同じでしょ?」


「いやまあ、それはそうなんだが・・・・・・」


「カズマみたいに少しの間一緒に乗ってくれれば大丈夫よ」


「・・・・・・本気か?」


「本気よ?」


 一馬を見ると、


「別に良いんじゃないの? こっちだって18歳から車の免許取れるんだし。ミカさん19歳でしょ? 俺なんかまだ16だよ?」


「いや、そう言う意味じゃ無くてな。なあミカ、お前が乗りたいって言ってるのは、あの黄色いでかい奴だよな? 前に口って言うか牙見たいのが付いている」


 そう、ミカが指さしたのは、土木会社の資材置き場に止めてある、所謂ホイールローダーだ。センスがどうこうって言うより・・・・・・何だ? 何をしたいんだ? 土木工事か? フロントのアームで敵を蹴散らすのか?


「・・・・・・タカオ。あなた私を馬鹿にしているの? そんな訳無いでしょう。その向こうよ。青い小さい車があるでしょう?」


「ん? その向こう?」


 あー、あった。ライトブルーメタリックの、某ドイツ車メーカーのミニな車が置いてある。なんだそっちか。重機マニアとかもいるらしいから、ミカもそっち系なのかと思った。


「ああ、なんだそっちか。随分マニアックな趣味をしているな、と思ったぞ」


「・・・・・・まあ良いわ。あれに乗りたい」


「あれはスピードが出るから初心者には危ないと思うぞ?」


「アレがいいの」


「ミカがそう言うなら構わんが、自動車事故で毎年ものすごい数が死んでるからな? 本当に気を付けろよ?」


「このとらっくよりも速いの?」


「全然早いよ」


「そう、じゃあ余りスピードを出さない様にするわ」


「んん~・・・・・・」


「タカオが教えてくれないなら、自分で勝手にやるわ」


「解ったよ。教えるよ。勝手に乗って事故られる方が嫌だよ」


「じゃあ行きましょう」


「すまんな一馬。あまり遠くまで行かない様にその辺走っていてくれ」


「流石に遠くへは行かないよ。ここを回ってるから心配しないで、ミカさんと行って来てよ」


「ああ、ミカもここを回らせるから。じゃあ行こう、ミカ」


 二人でトラックを降りてミニへと向かう。


「でも鍵が無かったらアレには乗れないぞ?」


「ええ、それは解ってるわ。その時はとりあえず他ので我慢するわ」

 まあ、土木会社の敷地内に止めてあるからな。家族か社員の車だろう。鍵は・・・・・・付いている訳ないよな。


「ほらミカ、鍵無いから無理だよ。他のにしようぜ?」


「じゃあ建物の中に入って探しましょう」


「またか・・・・・・何回やっても慣れそうにないな」


「だから誰もいないって言ってるでしょう?」


「それは解ってるんだがな」


「ほら、行くわよ」


 探すのは良いが社員の車だったら鍵を持って現場に行っていたら・・・・・・いや、考えたら屋根付きの車庫に止めてあるな。社員が屋根付きに止めるのは有り得ないだろう。って事はここの住人か。


「ミカ、鍵は家の中だ」


「そうなの?」


「ああ、そうだと思う。大体この入口を入った辺りにあると思うんだが・・・・・・」


 玄関ドアを開けて中に入る。・・・・・・何だこのごちゃごちゃした玄関は。何人家族なんだよ?って位大量に散乱した靴類、置きっぱなしのゴルフバッグに釣り竿を始めとした釣り関係の道具。


「何なのここは、物置か何かなの?」


「まあこういった家庭もあるってことだな」


「酷い家。家畜小屋みたい。いえ、家畜小屋より汚いわ」


 おおう、ミカさん。なかなか辛辣な事を仰いますね。


「ウチがこんなだったらどうした?」


「全て焼却して立て直すわ」


「ミカの家は綺麗なのか?」


「綺麗よ? だって家事はゴーレムにやってもらうから。掃除しなさいって言えばマナが切れるまでずっと掃除してるわよ?」


「ふーん。で、ミカは掃除は出来るのか?」


「ルシアは結構綺麗好きよ? だから私の出る幕は無いの」


「ミカは?」


「タカオはどうなの?」


「俺はこう見えて結構綺麗好きだぞ? でミカは?」


「・・・・・・掃除なんてした事無いわ」


「最初っからそう言えばいいだろうに。ほら、あったぞ鍵」


「ふん」


 鍵を手に入れた俺達は汚屋敷を後にして車へと向かった。



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