5-2
ブクマありがとうございます。今後もよろしくお願いします。
「確認? 儂は構わんがどうするのじゃ?」
「私もヒュー程では無いにしろ、治癒魔法は使えるから・・・・・・そうね。致命傷にだけ気を付けて、後は何でもありでいいわ」
「俺らは構わないけどそっちは解るのか?」
「その子は言っている事を理解してるみたいよ? タカオ、ジルに言ってみて」
「ああ。ジル、これからこの二人と闘うんだ。全力でだ。何をやっても良い、思いっきりやってみろ。但し殺しちゃ駄目だ。相手を殺したら負け。死ぬような強力な技を使うのも駄目だ。解るか?」
「わふん」
ジルは軽く一鳴きしてペロッと舐めて来た。
「多分大丈夫だとは思うが」
「ふーん、本当に解ってそうだな。ま、いいか。で、ミカ。何処でやるんだ?」
「そうね、ある程度は開けた場所がいいけど・・・・・・」
ミカはそう言いながら俺を見る。
「いや、ちょっと待った。やるのは良いが、せめて一馬と一樹が起きてからにしてくれないか?」
「ああ、まあそれもそうね。そうすれば一度で済むしね。と言うよりあの子は何時まで湯浴みをしているの? ちょっと見て来るわ」
ん? ああ、ルシアの事をすっかり忘れていた。随分長風呂だな。溺れたりしてないだろうな?
ルシアはミカに任せる事にして、
「ジル、一馬を起こして来てくれ」
わふっと返事をして二階に向かうジル。前以上に言葉を理解して、返事までしてるよな・・・・・・これも知能が強化されたって事なのか?
「なあタカオ、ルシアとはしたのか?」
「おま・・・・・・さっきから何言ってんだよ。してねぇよ」
「ん? じゃあ何でルシアは、朝から湯浴みなんてしてんだよ」
「・・・・・・なあ、頼むから・・・・・・お前らちょっとおかしいぞ。なんですぐそっち方面に話を持って行くんだよ。ミカもルシアも。女だけかと思ったらザックもかよ・・・・・・」
「ん? 照れてんのか? イグナスじゃ普通だぞ? なあルード」
「うむ、そうじゃの。流石に儂はもうそっち方面の興味は失せたが、タカオは確か45歳じゃろ? 45歳でそれは逆に淡白過ぎると思うがの?」
「だよな? ルードもそう思うよな? 俺らに言わせりゃタカオの方が変だぜ?」
「え、そうなのか? そっちはそんなに性欲旺盛なのか?」
「旺盛って言うか、イグナスでは危険な魔物とかがいるだろ? 他の要因もあるけど、死亡率が高いんだよな。だからなんつーの? 種の保存? そんな感じの何かでイグナスの民は結構オープンだぞ? 誘って気が合えば、すぐに抱く抱かれるとかは普通だぞ? 一晩限りの関係だって何の問題も無い。まあ流石に結婚したら落ち着くけどな。だから一夫多妻制もあるんだよ。優秀な人物の種を次代に残す為にな」
「そんな感じの何かって何だよ・・・・・・しかし・・・・ふーん、そうなんだ。確かにミカもルシアも随分押して来るなとは思ったな。それよりも気になったんだが、今のザックの言い方だとイグナスの鎖とかは関係無しの様に聞こえるんだが・・・・・・」
「ああ、そうだよな、気付くよな。ルード、ちょっと見張っていてくれるか? あのな、ミカの前では大きな声では言えないんだけどな、今のイグナスで鎖がどうこうって言ってるのはごく少数なんだよ」
「ん? そうなのか?」
「ああ。だって普通に考えて見ろ、どう考えたっておかしいだろ? あった事も無い奴と結ばれる事が決まっている? 相性とか見た目とか色々あるだろうに! その相手が殺人鬼とかだったらどうするんだっての。 正直に言うと、今のイグナスで鎖に導かれて結婚する奴はいない」
ザ、ザックの奴言い切りやがった・・・・・・
「じゃ、じゃあミカとルシアは何で・・・・・・」
「タカオはミカの転生の話は知ってるよな? その所為だよ。ミカの貞操観念はな・・・・・・100年前の物なんだよ」
や・・ヤバい。とんでもない事実が・・・・・・。
「じゃあ、る、ルシアは・・・・・・」
「悪く言うつもりは無いが、そんな偏った理念の持ち主に病気の治療をされてみろ? どうなるか想像できるだろう?」
「た、確かにそうだが。ルードも今の話知っていたのか?」
「うむ、儂とミカは60年来の付き合いじゃ。当然知っておる」
「何とかしようとは思わなかったのか?」
「何回かは言ったぞ? だが聞き入れはしなかったのう。それでこじれてこじれて転生じゃ」
「まて、まさか転生した理由って・・・・・・」
「いや、いくらミカでも流石にそこまではしないって。半分は効いている通り魔導の探究。もう半分がって所か?」
「うむ、そんな所じゃの」
「半々って・・・・・・」
「でもそれが事実だからってタカオにデメリットはないだろ? 逆にメリットだらけだろうが」
「そうじゃのう。昔は鎖の誓約で結婚した女性は、言葉では言い表せない位男に尽くしておったぞ?」
ん? デメリット? ・・・・・・二人とも違うタイプの美人だしな。しかも人類最高戦力と世界を手に入れられる魔導士のオプション付き。一夫多妻制の事位か、デメリットと言えるものは。いや、それも男的にはデメリットではないか。
「言われてみれば、そうなのか? いや、そうだな」
「だろ? あんな美人を一度に二人も羨ましいぞ。これで納得したか? で、話を戻すが、まあ、王都と言っても治安はそれ程良くないしな。スラムや犯罪ギルド、奴隷狩りもいるし、サイガみたいなイカレた奴もたくさんいる。一歩街を出たら今度は魔物達だ。力の無い者は明日の命の保証も無いからな。そんな世界で暮らしてりゃチャンスは逃がさなくなるもんだぜ? なんせ明日が来るとは限らないんだからな」
「そんな酷いのか?」
「俺らは住人だから酷いとは思わないけどな。でも他の世界のタカオが酷いと感じるなら、そうなのかもな。例えばそうだな・・・・・・スライムって知ってるか?」
「想像している物が同じとは限らないが、知ってると言えば知ってる。最弱の魔物としてのイメージが強いかな。超初心者の訓練用とか」
「そうか。イグナスのスライムも大体はそんな感じだ。子供が遊び半分で討伐出来る位だしな。だが年間死亡数の統計で、毎回上位に入る程の死亡原因なんだぜ?」
「スライムが?」
「そうだ、たかがスライムがだ」
「なんで?」
「あいつら粘性はあるけど液体だろ? 地上にいれば解るけど、ちょっと地面に潜っていたら? 知らずにその真横に座ったら? そんな感じで何処にでもいるから本当に危ないんだよ。家も木や石を組んだだけだと、隙間から入って来るしな。下手に寝てるとな、体中の穴から体内に侵入されて、身体の中を食い荒らされてな――」
「解ったもういいよ。朝からそんな話聞きたくないって」
「ねー、ホントだよね。地面に座れなくなっちゃうよ」
・・・・・・ん?
「一樹! 良かった目が覚めたか。大丈夫か? 変な所は無いか?」
「うん? 何が大丈夫? 寝過ぎで身体が痛い」
うにゅー、と伸びをするカズキ。ルードを見るとニッコリ笑ってサムズアップ。
「お父さんお腹減った」
「ああ、でも電気まだダメなんだよ。この辺にあるものと、外のカートに入ってる物しか無いんだ。病み上がりで悪いが、あるもので済ませてくれ」
「わかったー」
よたよた歩いて外のカートを見に行く一樹。確かに調子が悪いと言うより、寝過ぎで身体が固まったって風に見えるな。・・・・・・随分と食べ物を抱えて帰って来たな。
「なあ一樹、食べながらでいいから聞いてくれ。お前何があったか覚えてるのか? どこまで覚えてる?」
「んー? 学校行ったけど誰もいないからさ、一日間違えたのかと思って帰ろうとしたんだけど、西門からTVで見た奴らが入って来てさ。ほら、お父さん撮影って言ってたから見に行ったらさ、本気で殴りかかってくるじゃん? しかも集団で。これはもうさ、エージェントになる為に神様が俺に与えた試練だと思ってさ、追っかけまわして倒してたんだ。で、学校の裏の方に行ったらさ、あそこのでかいおっちゃんが闘っててさ。孤高のヒーロー同士、手を合わせて共闘したって訳」
「のうタカオよ、所々何を言っているのか解らんのじゃが・・・・・・なんか儂失敗したのかのう?」
ぼそぼそとルードが言って来る。
「いや、俺も良く解らない。と言うか一樹は元々こんなだから心配しなくていい。まだ子供だからな、夢を見る年頃だ」
「それなら良いんだがの」
「で、その後は? 覚えてるのか?」
「その後はー、んー? 覚えて無いね。それに何で俺家で寝てるの?」
「あら、その子も起きたの?」
「あ、ホントだ」
ミカとルシアが戻って来た。
「みんな、次男の一樹だ。一樹、向こうからザック、ルード、ミカ、ルシアだ。みんなよろしく頼む」
「ええ、よろしくね。カズキ? 身体におかしな所はない?」
「ん~、多分平気」
「そう、ちょっとお外で私達と遊ばない? ルードの事は覚えてるでしょ?」
「あれ? そう言えばおっちゃん。何でウチにいるの?」
「バカたれ。倒れていたお前を介抱してくれたんだぞ? 何でじゃねえ、先にお礼だ」
「そうなの? 良く解らないけど、ありがとうおっちゃん」
「うむ。問題無さそうで何よりじゃ」
そこにジルを伴った一馬もやって来た。
「おはよう。ああ、一樹も起きたんだ。ねえ父さん、ジルに起こさせるの止めてよ。日に日に酷くなってきてるよ。今もあっちこっちからゴスゴス突いて来てさぁ」
一馬もアレをやられたのか。
「別にいいだろ? ジルは喜んで行ってくれてるぞ? それに目覚ましあるだろ? 嫌なら自分で起きろよ」
まだブツブツ言っているが知らん。
「では全員揃った所で行くかの」
「そうね。じゃあその子達の確認に行きましょうか」
そして皆で、裏にある畑に向かった




