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五日間戦記  作者: のりまる
プロローグ
1/22

第1話:勇者候補達

皆さん初めまして、のりまると申します。

異世界転移×魔法×謎解き、のストーリーになる、はず。。。

ストーリーにこだわって書いていく所存です。

初めての小説で拙い部分が多々あろうかとは思いますが、宜しくお願い致します。

2016年のある夏の日の朝、涼は会社に出社する為、いつものように身支度をしていた。

「眠い、眠すぎる。このプロジェクトも早く落ち着いてくれないとなあ。」

彼は某コンサルティングファームで働く経営コンサルタントである。

手っ取り早く金を稼ぐ為に新卒で入社したはいいものの、その金を使う時間もない生活を5年も送っていた。

昨日も、いやここ1か月程、電車で帰宅したことがない。

鏡に映る顔は夏だというのに青白く、目も虚ろ。元々中の下程度の顔も、今はまるで幽霊のよう。

「かちゃ、うぐぅぅぅ。」

栄養ドリンクを朝食代わりに流し込み、なんとか身体を覚醒させる。

頬にようやく赤みが差したところで、家を出た。


会社に着くと、即座に仕事を開始する。否、席に着く前から仕事が降ってくる。

「緋山くん、昨日FAから来た売上見込みのデータ使えそう?パラメータ化してモデルに突っ込めないかな?」

「山澤さん、確認しましたけど、顧客企業によっては年度が飛んでいたり、数字が他とずれたりしてます。その辺を突っ込んで今日中にリクエストを投げますね。」

「了解。今日の13時には向こうに送るから、皆のも含めて質問をマージしておいて。」

「じゃあ12時からレビューお願いします。」

「了解。」


今はM&A案件の真っ最中。涼は俗にモデラーと呼ばれる、将来のキャッシュフローを算出する、エクセルモデル作成担当である。

このエクセルモデル、知らない人が見れば、ただの損益計算書が並んでいるだけのようにみえる。

しかし、実際は様々な関数や条件付き書式が駆使されており、人呼んで「お化けエクセル」、—―涼に言わせれば「作品」なのだが――と化している。

冷静沈着、正確無比な涼の特性に合った仕事だが、如何せん膨大なデータ分析が必要な為、いい加減涼の精神もすり減ってくる。


涼はやたら重くなったエクセルを開き、昨日の続きから修正を始める。

エクセル並みに重い頭を何とか動かし、誤ったデータを洗い替えていく。

「まったく、工事完成基準と工事進行基準の帳簿を混ぜて送ってくるなよなあ。絶対嫌がらせだろ。」

睡眠不足でイライラしながら修正していると、次の瞬間。

「バチッ!」

「!?」

電気ショックのような刺激が体中を駆け抜けたかと思うと、メンバーを除く、部屋の中の机や椅子、PC、果ては壁や窓が無くなり、全てが真っ白になっていた。

(睡眠不足が祟って、寝落ちしたか?それとも心臓発作で死んだか?)

しかし、他のメンバーも真っ白な部屋の中で目を瞬かせており、どうやら涼だけではないらしい。


「地球の皆さん。こんにちは。神様です。」

「「「「!?」」」」

部屋にいたメンバー4人が顔を見合わせる。

「時間がないので単刀直入に言います。このままだと世界が5日後に崩壊します。それを止めるため、パラレルワールドに勇者候補を送り込みます。」

頭の中に直接響く声。4人とも同じ声を聞いているらしい。

「勇者の適性があるのは10名。この10名に世界の綻びを繕ってもらいます。」

(この声が仮に全人類に届いているとすると、単純に70億人中10人?いや、子供を除くと約50億人中10人?いくらなんでも少なすぎるだろ)

いつもの癖で論理的に突っ込みを入れる涼であったが、

「時間がありません。今からこの10名を転移させます。」

次の瞬間、涼は眩いばかりの白い光に包まれた。











「あれ?どういうこと?」

涼は驚きあまり独り言を呟いていた。

気づくと、涼は宮殿の中のような部屋にいた。白い大理石のような柱と壁、赤い絨毯。まさしく宮殿である。

そして、周りには数名が涼と同じように佇んでおり、

「勇者候補の皆さん、お集まり頂きありがとうございます。」

先ほど頭の中で聞いたのと同じ、澄んだ女性の声が部屋の奥から、今度は耳を通して聞こえてくる。

周りの人間もその声に気付いたようで、部屋の奥に視線を向ける。

(まじか、俺も10人のうちの1人なのか。とりあえず、話を聞くしかないか)

部屋の奥には様々な色の薄衣を重ねたような服を着た金髪の女性が、周りの柱と同じような白い椅子に凛として座っていた。

「皆さん初めまして。私が神です。」

「いや、名前は?」

思わず涼は呟いた。

ほんの独り言のつもりだったが、部屋の構造のせいか思った以上に響いてしまう。

「あー、すみません。ここで皆さんと宗教上の云々で争いたくなかったので。一応、皆さんが行く世界ではセーラと呼ばれています。」

「すまない、ありがとう。」

「本題に戻ります。皆さんに行ってもらう世界は、今では≪フォム≫と呼ばれています。≪フォム≫は皆さんの世界から約5年半前に分岐した、かなり新しいパラレルワールドです。」

「「「!?」」」

涼を含む数名が驚きの声を上げた。

「驚くのも分かります。5年半前に分岐してから、300~400倍のスピードで時間が経過するようになってしまいました。その結果、皆さんの世界の文明は絶え、もう残っていません。なので、皆さんの世界とは全く違う世界に変貌しています。簡単に言えば、科学技術は消え去り、魔法の世界となっています。皆さんは、そんな世界を旅することが出来る、魔法の適性がある選ばれし10名なのです。」











「おぎゃ、おぎゃ、おぎゃ」

「ママー、ママはどこー?」

「はわわわわわーーー」

要領良く語っていたセーラであったが、急に響いた子供の声に驚き、それまでの厳かな空気はどこへやら、かなり慌ててている。

「何で赤ん坊やガキがいるんだ?」

涼は後ろの方にいた子供たちを呆れたように眺めつつ、セーラに問うた。

「どうやら、魔法の適性がある人の中に、子供も混じっていたようです。。。」

「いや、最初から年齢で条件付けしろよ。」

涼の冷静且つ的確な突っ込みに、セーラは顔を真っ赤にしておろおろしている。

「で、どうするんだ。さすがに子供や赤ん坊に世界は救えないだろう。」

「そうですね、子供たちは元の世界に戻します。。。えいっ!」

次の瞬間、3人いた子供達と赤ん坊は白い光に包まれて消えた。

「ふう。これで大丈夫ですね。」

「おい、セーラ。」

「ひいっっっ。」

涼の冷たい声に、条件反射的にセーラは反応してしまう。

「どういう条件付けをしたんだ?」

「いや、だから≪フォム≫で魔法が使える人を。。。」

「はあ?じゃあ老人は?重病人は?妊婦は?」

「はわわわわー」

涼は思わず後輩の仕事のレビューをするような口調でセーラを詰めていた。

「今回の問題を解決するには、若くて心身ともに健康な人でないと厳しいと思いますです。。。」

完全にキャラが崩壊している。

「じゃあどうすんだよ。その条件に合うのは俺ぐらいしか居なさそうなのだが。」

そう言って、涼は部屋を見回す。

そこには、80歳ぐらいの東南アジア系のおじいさんと、白人のおばあさんが1人ずつ。妊婦らしき黒人女性が1人。どう見ても寝たきりのアジア系男性が1人。

白杖を持った盲目のアジア系女性が1人。涼と同い年くらいだが、骨と皮ばかりに痩せて人種の判別も難しい重病人男性が1人。

「はぅぅぅぅ」

「で、どうすんだよ!」

書き始めなので、最初は3話まとめてアップします。

落ち着いたら、毎週日曜と木曜に1話ずつアップする予定です。

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