銀世界と君
この地方には珍しい、雪が降った。
君は勢いよく外に出ると、そっと息をした。
「こんな吐息のように、本当に伝えたいことが、ほわんって出てきてくれたらいいのに」
と、ほろりとこぼすと、天を仰ぎ、果てしなく続く銀色の世界に君は両手を広げ、またひとつ息をした。
僕も吐息にのせて、君への想いを吐き出した。
寒さのせいだろうか、
唇も頬も耳も鼻も額も首も 全てが、全てが
麻痺したみたいに 熱くて、熱くて
どうしようもない。
そんな僕をほって、君はそうやって。
ああ、また君に恋した。