一話 魔法少女誕生
その出会いは突然のことだった。
私の名前は霧生小雪。
家族は両親、兄である雪那、双子の妹の白雪の五人家族なんだけど、お母さんとお父さんは仕事が忙しくって、滅多に家に帰ってこないため、兄妹3人で暮らしています。
私たちは同じ高校に通っていて、ただ平凡な毎日の中、平穏に生きているはずだったのですが……
「なにこれ?」
家に帰り、自分の部屋に入ると何故か見たことのないぬいぐるみが部屋の真ん中に置かれていた。
いや、ぬいぐるみというより生き物だった。
「どこから入ってきたんだろう?窓は別に割れてないし……」
部屋は特に荒らされているわけでもない。
本当にこの子はどこから入ってきたんだろう?
「……て」
そんな時、どこからか聞き覚えのない声が聞こえた。
あたりを見渡すけど、私しかいない。
白雪や雪兄が帰ってきたわけでもないし……
もしかして今の声は……幽霊?
怖くなり、部屋を出ようとした時、また声が聞こえてきた
「に……げ……て……」
「逃げてって、この声の主から?」
でもこの子を放っておけないし、このままじゃ………
その時だった。突然部屋の窓が割れた。
そして窓から黒いドレス姿の女の子が私の部屋に入ってきた。
「ようやく見つけたわ。フロー」
「えっと?フローって?それに人に家に入る時は玄関から……」
「お前は……貴様らが地上の人間に助けを求めるなんて……必死みたいね」
何だかこの人、全く話を聞こうとしないんだけど……
というか人の部屋で勝手に話を進めないでほしんだけど……
「さぁ、人間よ。お前が抱いているものをこちらに渡してもらおうか」
「あの、その前に窓ガラス直してくれませんか?雪兄に怒られるんで……」
「窓ガラス?そう言ってフローを渡さない気だな」
いや、何だか面倒事に巻き込まれたくないから、この人の言う通りにした方がいいと思ってたけど、その前に窓ガラスを直してくれないと本気で怒られる
「いい度胸だ。地上の人間が我ら獄の住人がどのようなものか教えてくれよう」
女の子の両手から電気がパチパチと音を鳴らして纏っていた。
このままじゃ家が壊れちゃう。
そんなこと絶対に……ダメ!
その時、私が抱きしめていたぬいぐるみからまばゆい光が放たれていた。
そしてまたあの声が聞こえた
「君の守りたいという気持ちが、一時的だけど僕に受け渡す力をくれたんだ」
「貴方はさっきの声の……もしかしてこの子が?」
「僕はフロー。こことは別の世界から来たんだけどね。彼女、フルミネに襲われたんだ。おかげで僕の命はもうわずかだけど、君に渡すものが2つある。ひとつは魔法の力。この力ならフルミネを追い払うことが出来る。もう一つはこの結晶をもう一人に……頼んだよ」
「えっ?いや、聞きたいことがいっぱいあるけど……」
「ごめん」
眩い光が消えると、私の姿は制服姿から白いドレス姿に変わっていた。
「これって……」
「まさか、フローの奴め、自分の命を犠牲にしてこいつに魔法の力を!?」
「と、とりあえず悪い人はこの私、魔法少女が許しません」