そして僕らの1日が始まる
どこか遠くでベルの音が聞こえる。
あれ？どこかで聞いたような……
だんだん近づいて来る。
うるさい。不愉快だ。
さらに音は近づく。
うるさい。うるさい！うるさい‼︎
ジリリリリリリリリリン‼︎
ジリリリリリリリリリン‼︎
パチっ。
とまった。なんだ。目覚ましか。うるさいなぁ本当に。
ん？あれ？僕、自分でとめたっけ？
と、光が一気に部屋に流れ込む。目が痛い。
「まぶしっ……」
思わず目をつぶる。カーテンを誰かが開けたようだ。
もっとも、僕はそれが誰なのかを知っているわけだが。
「ともくん、寝坊してますよ〜」
頭上でのんびりとした声が響く。
「もう7時半だよ？いい加減間に合わなくなっちゃうよ〜」
待て。いまなんて言った。7時半だと。
7時半‼︎やっば‼︎
「奏！なんでもっと早く起こしてくれなかったんだ‼︎」
「起こしたよ〜。6時半と7時に2回。でも全然起きなくて、気持ちよさそ〜に寝てるんだもん」
どこかの漫画に出てきそうなセリフの交換だ。
というか今、全力で奏の2回分の労力を否定した。ごめん。
「台所に菓子パンあるからね〜」
「おう。ありがとう。」
急いで洗面所へ。石鹸をつけて水で一気にすすぐ。冷たい。これでしっかり目が覚めた。
台所では奏が2人分の弁当を詰めていた。
ごめん、手伝えなくて。帰りにお前の好きな抹茶ラテおごるから。
心の中で謝りつつ、再び自分の部屋へ。急いで制服に着替え、カバンをつかむ。
台所に戻ると奏が弁当と朝食の菓子パンを渡してくれた。
「奏、お前朝メシどうした。」
「え〜っと、ともくん起きてこないから、お弁当作って余ったおかずを食べといたよ〜」
本当にすまん。罪悪感半端ないことこの上ない。こりゃラテ2日分だな。
時計を見る。針は7時40分前を指している。なんとか間に合いそうだ。
学校へは歩いて20分はかかる。本来なら15分もあれば着くのだが、なにしろ奏がいる。奏は体が弱く、他の人と同じペースで長時間歩くのが厳しい。だから20分は見ておいたほうがいいのだ。
家の鍵を手にして玄関を開ける。
「あっつ……」
まだ朝だというのに相当日差しが強い。
「奏、ちゃんと日傘させよ。」
「もちろん。準備万端です！」
この日差し、奏が倒れないか少し心配だ。
とか言っている僕も、自分の心配もした方がいいかもしれない。
さっきも言ったが、奏は生まれつき体が弱い。
心臓病なのだ。それでも、小さい頃に比べたら驚くほど元気になっている。
しかし、やはり普通の人と同じスピードでは動けないし、激しい動きは厳禁だ。
それでも一生懸命奏は生きてきた。
僕も頑張らなくちゃ。
家を出たら5分ほどで大通りに出る。
そうしたらまっすぐ歩くだけだ。坂もない。
奏にとっても好都合だ。
まずい。頭が痛くなってきた。
起きてから水を飲まなかったのが失敗だった。
寝坊すると本当にロクなことがない。
「ごめん奏。ちょっとコンビニ寄って水買っていいか？」
「あっごめんともくん。今日暑くなるって天気予報で言ってたから、ともくんの分の水筒も持ってきてたんだった」
奏よ。お前はどこまで出来た妹なんだ。
ありがたく水筒を受け取り、冷えた水を飲む。
身体中に水分が満たされていくのを感じる。
知也、復活。
さぁ学校までもう少しだ。
と、奏がやや困り顔で僕に言った。
「ところでともくん。今55分なんだけど……」
今なんて言いました奏さん⁉︎だいぶギリギリだ。
奏、もし遅刻したら僕を存分に言い訳に使ってくれ。
だめだ、完全にこれではヘタレ兄の図だ。
あれ？僕さっき頑張るとか言ってませんでしたっけ？
決意は何処へ行った知也よ。
僕は奏の手をひいて少し足早に残りの道のりを歩いた。
それでも、奏が疲れないように気を使いながら。
後で気付いたことだが、それは他の人から見たらカップルに見えたかもしれない。
まぁそれはどうでもいいことだ。
僕のせいでドタバタしたスタートになってしまったが、今日から高校生になって初めての2学期だ。
どんな出来事が僕らに降りかかってくるのやら。
とにかく、どんな事があろうと、奏と毎日を楽しく過ごせればそれでいい。
それがヘタレ兄の唯一の切なる願いだ。
皆さんおはようございます、こんにちは、そしてこんばんは。小関です。
さぁ本編がついに始まりました。兄妹の名前も分かり、今後どう展開していくのか楽しみです。
2人の名前の読みですが、ここに書いておきますね。
兄:知也 妹:奏
さてさて、ヘタレ兄は体の弱い妹を守れるのでしょうか？今回の話を見ている限りでは助けてもらっているばかりのようでしたが、、
今後に期待しましょう(笑)
さて、私の最近について少しだけ。一言で言いますと、そうですね、、、食べ過ぎ注意です。自分でもびっくりするぐらい食べられるんです。ここ2ヶ月で4kg増。ちょっと焦ってます(^^;;
皆さんも食べ過ぎにはくれぐれもご注意ください。
それでは！また次回！
