二度目には居なかった仲間
「アチい…」
コンクリートの道路の上、炎天下の中…おかしいな。朝、今日は涼しくなるって言ってなかったか?
そこまで考えを巡らせ思い出す。
ああ、昨日の話か。
「確かに暑いですね…」
空は俺に賛同した。そうして、家から持って来たであろう軽そうなバッグから、団扇を取り出した。
パタパタパタパタ…
「はあ…涼しい…」
「それ寄越せよ!」
「やです!」
そんな風に俺は空と共に千秋の家に向かっていた。
そんな時だった。
俺らが一人の少女と出会ったのは。
「あ、空君」
どうやら、空の知り合いらしい。
Tシャツにホットパンツという服装は、どうにもボーイッシュな感じが出ている。
「あっ…」
それを少し嫌そうな顔をして、空は後ずさった。
「どうしたのさ? そんなやな顔をして」
今にも逃げ出しそうな顔で空はいる。
「おい、おまえは誰だ?」
「え? 私ですか? 私は、綺無海奈。空君の従姉です」
「従姉?」
「お、お姉ちゃん! な、何してんの? こんなところで」
「散歩。ちょっと空君の家まで歩こうかなって」
海奈はにっこりと無邪気な笑顔を見せた。
「ねえ、君たちは真相を知りたい?」
全てを射抜く目とも呼ぶべき眼差しで海奈は俺たちを見た。
「なんの真相だ?」
「妹、って言ったら分かるでしょ?」
「お前、何を知ってる!」
「私は何でも知ってる。この世界に何が起こるか全部知ってる」
海奈は自信たっぷりにそう言い放つ。
「そうか。でもな、妹のことぐらい、俺は自分で片を付ける。あんたなんかの手は借りないよ」
「あっそ。つまんないね。でもさ、一緒にぐらい付いて行ってもいいよね?」
「あんたには妹を助ける理由がない」
「うん。ないね。でも、私には従弟の空君を助けたいと言う気持ちがある。これだったら、いいでしょ?」
「…ふっ、勝手にしろ」
「うん!」
なんだか変な奴が一緒になったが、なんだろう? こいつは本当に…未来の事を知ってるのか…?
そんな事を思いつつ、別にいいや。とその事について考えることをやめた俺がいた。
さあ、後は千秋で仲間を集めるのは終わりにしよう。
待ってろよ。未来…お前の涙はもう見たくないから。泣いてるんじゃねえぞ。俺にも味方は居るんだ。お前だけに護られてる奴じゃない。
「さ、行きますよ! 不知火先輩! 千秋先輩の家に!」
「お、おお!」
あれ? 俺、名前教えたっけ…? それに今、千秋先輩って…
「いてっ!」
唐突に空が転けた。
「なにやってんだよ…ほら、さっさと行くぞ」
あれ? 俺、何考えてたんだっけ? まあ、いいや。それくらいのことなんだろうしな。
俺たちは千秋の家に急いだ。
綺無海奈
キナ ウミナ 17歳 高校二年生 女
自称 世界に何が起こるか知ってる人間。
空の従姉にあたる。空とは中学は同じだが、高校は違う。
頭は良く、活発である。
何かに縛られるのは嫌い。嘘も嫌い。
母の友人の影響を受け、かなりのゲーマー。嘘は嫌いだがチートは好き。彼女のチートにかかって、敗れた無敗伝説がちらほらある…という噂がある。