二度目の仲間 3
「なあ、輝奈」
「なんでしょう?」
「この空ってやつから話を聞きたい。案内してくれ」
「ちょっと待って下さいね。あー、下の方の階層ですね。これなら来て貰った方が早いので、来て貰いましょう」
そう言って、輝奈は自身の携帯を操って電話をかけた。
この学園には寮がある。学園の裏っかわにでかいホテルが一つ。
ホテルが寮なんてさ、馬鹿げた話だよな。
「すぐに来るそうです。逃げなければ、ですが」
「そうだな」
待つこと五分。
「遅れました。軌妃空です。軋夢先輩に呼ばれて来ました」
やっときた。俺は軽く息を吐いた。
「空、ここに座って、この人があなたと喋りたいって」
「あ、はい。この人は…?」
「不知火暁。あなたのクラスメイトの不知火未来のお兄さんよ」
「未来のお兄さん? 未来は…未来は…何処に行ったんですか! 家に居るんですか!? 未来、この頃来てないから僕は心配で…」
うるせえよ。といつもの俺なら答えただろう。
しかし、俺はそう答えなかった。なぜなら、この時の軌妃空は二年前の俺と同じ目をしていたからだ。例えるなら、絶望へと向かう希望の目と言ったところか。
「軌妃空、お前は未来に助けられた一人だな?」
「はい。そうです」
「それなら、未来がやばい時は助けようと思うか?」
「はい。思います」
「俺は今から未来を助ける」
「っ! 僕も、一緒に助けさせて下さい!」
「危険だ。命に関わるかもしれない」
「それでも、不知火未来を助けるたいから。一緒に助けさせて下さい!」
「分かった。しかし、お前だけの決断じゃ、お前を連れて行くことはできない。お前はまだ子供だ」
「じゃ、じゃあ、どうすれば?」
「決まってるだろ? 子供が自由を得るには大人が必ずいるってことだ」
なるほど。そんな顔を空はした。親の了承が大切ってことだ。
「輝奈、ちとこいつを借りるぜ?」
「お好きにどうぞ」
輝奈は呆れるような感心するような表情を浮かべながら返事をしてくれた。
二度目は、やっぱり一度目とは違う。
軌妃空
キヒ ソラ 高校一年生 16歳
昔、未来に助けられた事がある。家庭事情が特殊ではあるが、それ以外は至って普通。軋夢輝奈とは入学した時に少し助けて貰っている。
性格は基本的には優しく沸点も高い方だが、その分本気で怒ると誰も止められない。中学の時にクラスメイトが怒らせてしまい、止めに入った先生を病院送りにした程。考え方が少しネガティブ気味。親の影響もあってかシューティングゲームと射的がとても上手。
実は未来のことが好き。