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罪と涙  作者: ココロ
12/13

つかの間の休息

「…この廃墟、何なんだ?」

「…ただの廃墟だと思ってたけど、違うのかな」


千秋は不安気で泣きそうで自信なさげな声で呟くように言った。


「違う」

「何が?」

「千秋はこんな辛気臭くないってこと」

「…そ、そうだよね! 私がいつも通りしなきゃ、いけないよね…」

「だから落ちんなって。らしくねえ」

「でも、私のせいで二人は…」

「そんなことないだろ? 二人が付いてきたのは二人の責任だし、名簿表から空の名前に目が止まったのも偶然だ。というかそれよりもそもそも俺がこの家に来ていなければ、未来が俺を襲ったりなんてしなければ。こんなことになってないんだよ。だから偶然の産物だ。誰もお前のせいには出来ねえよ」

「でも!」

「でもじゃない」

「はう…」

「…一つ聞いていいか?」

「なに?」

「千秋のシナリオじゃどうなっていたんだ? 屋上で」

「四人で屋上に行って、未来ちゃんと合流。それで謎解きでこのお話は幕を閉じる」

「けど、そうはなってない?」

「そう。二人が消えるのも変だし、屋上への階段が爆発して崩れるのも変」

「誰かが起こしたってことだろうな」

「気になるといえば、綺無海奈。あんな子今まで登場したこともない」


沈黙が流れた。


「「あのさ」」


気まずい。


「ち、千秋から話していいぞ?」

「い、いや、暁から話して」

「なら、私から話してもいいかな?」


第三者の声が聞こえ、俺らは驚いた。


「だ、誰だ?」

紅莉栖川(くりすがわ)アリス。誰かと聞かれれば、不知火未来の分身。一度目の事件の中枢。んー、後は」

「ちょっと待った! 未来の分身? 一度目の中枢?」

「んー、未来のストレスから生まれたってのが一番分かりやすいかな。そして、私が暴走してしまったことで未来は自我を失い、お兄ちゃんである不知火暁を襲った。これが真相。分かった?」

「なんとなくなら」

「話が早いとか言わないでね。相当急いでるから…。間に合わなければあの人に全部持ってかれる」

「あの人?」

「今、未来についてる人。あの人に乗っ取られたら…未来は死んじゃう。未来強いからまだ大丈夫だけど…」


死ぬ…だと?


「はやく、そのついてる奴をどうにかしねえと!」

「早く上に上がらなきゃいけない。今、綺無海奈がどうにか止めてるけど…だいぶ未来取られかけてる。だから、今回は私が手を貸す。未来を殺されたら、私も死ぬから」


そう言って、アリスは天井を壊した。壊した!?


「三人とも上で待ってる。いや、未来も入れて四人かな」


ガタンガタンと散乱していた棚が階段になっていく。


「千秋行こう。最終決戦だ」

「うん。がんばろう」

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