人生の分岐点
そこは真っ暗。
いや、僕らが歩く道はいつだって真っ暗な闇の中だ。
目の前には看板が二つ。
右と左。
暗闇から声がする。
誰の声かは、わからない。
「さぁ、選ぶのは君だよ」
じっと看板を見つめる。
「どっちの道がいいのかな」
闇の中に問いかける。
「さぁ?」
声は素っ気ない。
ふむっと看板をさらに見つめる。
「進まない事にはわからないよ?」
それもそうだと頷く。
「やっぱり流されるままの方が楽だよね」
声は更に言葉を紡ぎ出す。
「……そりゃ、まぁ」
仕方なしに頷く。
それが僕の本音だから。
「でも自分で選んだ道で後悔した方がいい気もするなぁ」
諭すように紡がれる言葉。
「それも同感」
じっと暗闇の中を見つめ、看板を見つめる。
「………じゃあ、僕は」
こうしてまた闇の中を歩いていくんだ。