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自衛隊高校 ~異世界実習記録~  作者: 脱色ナス
第一章 未知との遭遇編
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現地人との接触

 ひたすらにだだっ広い草原を第三戦闘団所属深部偵察隊の車列は速過ぎず、遅過ぎず、あらゆる状況に対応出来るよう周囲を警戒しながら進む。

 「団長、行くあてとか有るんですか?」

 後席の高林が身を乗り出して聞いてきた。

 「ま~、一応はね。既に航空隊のOH-6観測ヘリが宿営地の半径150キロ圏内を偵察して、その写真から地図は出来てるんだけどね。その圏内には知的生命体が住んでるようには見られなかった。つまりそれよりずっと外側を見てくる必要があるの」

 「150キロって、燃料大丈夫なんですか?」

 小笠原が心配そうに言った。それもそのはず、燃料は宿営地でしか補給できない。

 「それについては大丈夫よ。各車スズメの涙だけど予備燃料を持っているし、いざとなったらヘリの補給やタンクローリー要請するから」

 「当面の問題は燃料より、知的生命体がいるかどうか?ですよ」

 郡司曹長が観測ヘリからのデータで作成したらしい、地図を持って会話に入ってきた。

 「ヘリの搭乗員から聞きましたが、限界高度ギリギリまで上がった際、人の生活活動によるものと思われる煙を確認したそうですよ」

 「そうですか。なら楽しみですね」

 「楽しみって……、野蛮民族かも知れないですよ?」

 「清文君は心配性だねぇ~、でもそこがかわいい!」

 そう言って犬山団長は頭を撫でてくる。

 「団長も清文君の良さが分かりますか?」

 「うんうん! この愛らしい顔と控えめの身長がいいよね~」

 「ですよね~、でも学校じゃ教官達にイジメられてるんですよ!」

 「なに! だれだそれは!」

 郡司曹長は真っ青な顔をして、顔を左右に振っている。

 「団長! それから高林先輩もやめてください! 郡司曹長は悪くないですよ!」

 「そうなの?」

 「はい。 それより野蛮民族だった時の対処はどうするんですか?」

 小笠原は会話の転換を図った。

 「そん時は、そん時よ」

 「「はあ……」」

 小笠原と郡司曹長のため息を無視するように、車列は進んで行った。



 宿営地より120キロ地点

 「大休止! 昼食の準備!」

 犬山団長の命令の元、周囲の警戒を行う者、昼食の用意をする者に分かれる。昼食と言ってもレトルト食、所謂戦闘糧食Ⅱ型である。

 「団長」

 「どうしました郡司曹長?」

 「どうやらこの世界にも磁気が存在するようです。地球の言い方で言えば我々は西へ進んでいるようです」

 「そう。じゃあ、太陽の動きは?」

 「太陽も地球と同じ、西へ向かって移動しています」

 「ある程度は地球と勝手が同じみたいね。よかったわ」

 「はい。……これからの予定は?」

 「ひとまず、西へ向かってひた走るわ。ヘリから確認した煙も調査したいし。人がいれば接触したいしね。とにかくこれからは、地図で確認できない場所へ進んでいくわ。各車、警戒を厳とするように……」

 「了解」

 一方小笠原と井本は指定された場所で歩哨をしている。

 「なんもいねぇな」

 「ホントに……、動物も見たこと無いヤツばっかだけど、姿かたちは日本……もとい地球のモノと大差無いしね」

 「俺はもっとこう……人面樹とかスライムとかうじゃうじゃいるのを想像してたんだけどな~」

 「それはそれで怖いよ」

 陸曹が糧食を持ってくると、交代で食べる。

 「じゃ。お先頂くぜ!」

 「うん」

 



 一時間の大休止が終わり、出発する。

 「さあ! 気張っていくよ!」

 「「おう!」」

 再び車列は整然と進んで行く。

 走り始めてさらに数時間、太陽もだいぶ傾き、真っ赤な夕日が緑色の車列を照らすようになった頃に、ようやく村とおぼしき集落を発見した。

 周囲には畑が広がり、それに沿って貧弱な道が作られており、その道に沿うように家々が点在している。

 「いきなり車両で乗り込んだら怯えられそうね」

 団長は村の手前で車両を停止させ、村人と接触を図ることとした。

 「じゃあ、清文君と付いて来て。もし、万一の事態が発生した場合は二尉と郡司曹長の指示に従うこと」

 「えっ……。僕も行くんですか?」

 「当たり前よ、子供連れてた方が警戒されないしね」

 「なるほど……」

 「あっでも、小銃は着剣しといて。威嚇効果があるから」

 「威嚇するんですか……」

 「女子供だとなめられない様にしとかないとね」

 「はあ……」

 「ほらほら! 着剣!」

 素早く銃剣を抜き、着剣する。そしてしっかり固定されたか確認する。団長も太もものホルスターに入っている9ミリ自動拳銃を抜いて、弾が装填されているか確かめた。

 「じゃあ付いて来て」

 団長はひとまず近くにある民家の戸を叩いた。

 「ごめん下さ~い」

 するとドアが僅かに開いて初老の男が顔出した。

 「あの~」

 「xyasdjhkfaksjd?]

 聞いた事のない言葉だった。当然と言えば当然だが、言葉が通じない。

 男はしばらく何か喋っていたが諦めに似た表情をして戸を閉じてしまった。

 「団長、どうするんですか?」

 「う〜ん……言葉が通じないのは想定してたけど、実際こうなるとどう対処して良いのか……」

 2人して考えて込んでいると、再び戸が開いて先程の男が出てきた。手には紫色の石を持っていた。

 「お前さん達、どこから来なすったや?」

 「えっ!? 言葉が通じた!」

 「んあ? ただ魔法石の力によるものだや」

 「その石がですか?」

 「そうだや……。お前さんらこれを知らんとは……どこから来たんだや?」

 「東からです」

 「2人だけでか!?」 「いや、仲間と一緒です。村の皆さんを驚かせてはと思いまして、村のはずれに待機させてます」

 「そうかい。何しにきたんだや?」

 「少しこの辺りの土地を知りたくてですね……例えばその石とか?」

 男は少し思考を巡らすと、

 「とりあえず村長に会ってくれ」

 「ああ、そうですね。村長はどちらに?」

 「付いて来い」

 男はそう言うと家を出て、歩き出した。3つ程家の横を通り過ぎると、他の家より比較的大きい家に案内された。

 「ここだ」

 男は戸を叩いた。

 「村長! 村の外から人が来ただよ!」

 すると戸が開いてかなり年を重ねた男が出てきた。

 「入ってくだされ」

 「では、おじゃまします」

 家の中に入り、応接間らしい小ざっぱりした部屋に通された。

 「わしはこの村の村長です。なんでも東方から来られたとか?」

 「はい」

 「この辺りの土地を知りたいとか?」

 「まあ、そうですね……大きな町の場所とか教えて頂いたり出来ないしょうか?」

 「あんた達は何者だね? ここより東には人が住んでいないとされている。しかも魔法石を知らないときた」

 「申し訳ありません。私達はちょっと面倒な事になってましてね。身分を今はまだ明かせないのです。ただ一つ言えることは皆さんには何の危害を与えるつもりはありません」

 自衛隊は軍隊ではないと言われているが、実質日本の国防を担っている軍事組織である。下手に身分を明かせば侵略者と誤解を受ける可能性もあるからだ。

 村長は少し考えた後、男を呼び耳打ちした。男はそのまま部屋を出て行ってしまった。

 「分かった。あなた方の仲間を村へ入れてもかまわないが、生憎この村には宿が無い。広場で野宿してくれ」

 「分かりました。ご配慮感謝します」

 団長は深深と頭を下げた。

 「この村はキール村と言うんだ、大きな町はここよりさらに西へ行った先に商業都市がある」

 「領主や王といった統治者は居ますか?」

 「この村を含め一帯はルーシュ侯爵領だ。だが、侯爵様の領地もカノヴィール王国の領土の一つに過ぎん」

 「なるほど、情報感謝します」

 団長は再び礼をすると、

 「では私達の仲間と連絡をとりますので失礼します」

 家を出るととりあえず、偵察隊に村に入って来るよう指示を出した。

 少しすると車両が一列に村へ入ってきた。

 「そのまま、あの広場へ入れ」

 車両が入ってきたことで、近くの家の住民も不思議そうな顔を窓からのぞかせていた。しかしすぐに窓を閉じてしまう。

 「警戒されてるな……、まあ当たり前か」

 「外部から見知らぬ人がたくさん来たんだもん、そうなるよ」

 「あの~……」

 そこへ1人の少女が近づいて来た。


 

 

 

 


 

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