表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自衛隊高校 ~異世界実習記録~  作者: 脱色ナス
第一章 未知との遭遇編
3/46

生徒隊、出動!

 かなりの重量のある戦闘装着セット一式を装備し、小笠原達はグラウンドに整列していた。

 現在逐次、新型に更新が行われている迷彩服2型と呼ばれる迷彩服を着込んでいる。高等工科学校や予備自衛官補などではOD色の作業着だが、高校生でありながら扱いが現職自衛官である自衛隊高校生徒隊では一線部隊と同じ迷彩服着用なのである。

 真っ青な空から太陽光が容赦無く整列を終えた、第二、第三教育隊の生徒達を射抜く。

 ついでに教育隊の編成はこのようになっている。

 

 第一区隊 普通科 50名

 第二区隊 機甲科 30名

      施設科 40名

 第三区隊 野戦特科 30名

      高射特科 30名

 第四区隊 会計科 20名

      需品科 20名

      武器科 10名

      輸送科 10名

      航空科  5名(今回の派遣では出動しない)

 第五区隊 衛生科 10名

      通信科 10名

      情報科 10名

      音楽科 20名

      化学科 10名


 総員305名が1個教育隊の戦力である。有事の際には第二第三教育隊が1つにまとまり、「戦闘団」として運用される。

 創立以来初めての災害派遣以外(・・・・・・ )での運用である。建前上災害派遣だが、実質兵器を装備した「防衛出動」である。いや「防衛」という2文字が付くのかどうかも怪しい。

 「基幹要員、総員47名、事故2名、現在員45名!

 事故2名は休暇!

 生徒隊、総員610名、事故無し、現在員610名!」

 基幹要員とは生徒の教育にあたる陸曹のことである。報告が学校長になされ、整列、点呼が完了する。

 「休ませ!」

 「整列、休めッ!」

 休めより敬意の高い整列、休めの姿勢をとり、校長に注目する。

 「突然のことで皆動揺していると思う。何の情報も無い場所へ行くのだから当然のことだ。

 しかし、数ある陸上自衛隊高校の中から特に選ばれて先遣隊と共に出動することは、諸君らの日ごろの練度の高さを証明したものである。

 向こう……現時点での呼び方が決まっていない為、仮に異世界と表現するが、異世界ではこの世界の常識が通用しない、そして困難な局面にぶつかるかも知れない。だが君達なら見事乗り越えてくれると信じている」

 校長の訓示が終わると、今回共に異世界へ行く教官及び基幹要員の確認が行われた。

 「第二教育隊第一区隊より乗車!」

 生徒達は用意された73式中型トラックに分乗する。

 「いやだ~。なんでこんな目に……」

 小笠原はトラックの荷台の椅子に腰かけると、教官に聞かれないように愚痴をこぼす。

 「なーに言ってんだよ! 異世界だぜ!? こんな漫画みたいな話があるかよ! くぅ~~~! 燃えてきたぜぇ!!」

 井本は目を輝かせて燃えていた。恐れを知らぬ彼は遠足気分だ。

 「ほんと……お前みたいな度胸が僕も欲しい」

 そうこう言ってる間にも荷台のドアは閉じられ、出発した。車両隊は一路、東富士演習場を目指した。

 



 結局出発したその日のうちに演習場に到着したものの、2週間にわたり近くにある滝ヶ原駐屯地で足止めをうけた。というのも先遣隊である施設科部隊とその護衛の中央即応集団隷下の中央即応連隊、その他の部隊でごった返しており、異世界行きは大幅に遅延した。

 その間にも状況は刻々と変化していたのである。国際社会各国は次々と声明を発表。

 米国政府は「今後の日本政府の調査を注視していきたい」、EUは「日本政府が国際社会に情報を逐次報告することを望む」、中国及び韓国は「日本の軍国化政策が異世界にまで及ぶ可能性がある。日本政府の調査は国連の監視下に置かれるべきだ。また異世界から得られる利益が日本のみに独占されることが無いように要請する」

 といった具合である。

 また日本政府は異世界の呼称を「外地」と呼ぶことを決定したのだった。

 

 外地入りの日。

 滝ヶ原駐屯地でいつも通りに起床し、朝食を腹につめる。

 そして出発前に実弾が配布され、生徒達は数を確認して受領していく。弾薬は1人20発×6で120発と手榴弾が1個。

 「銃剣を配布するぞ」

 生徒達は不思議そうに周りと顔を見合わせた。銃剣は既に宇都宮校から持ち出し、各自が腰の弾帯から下げているからだ。

 「今携行している銃剣は返納し、今から配る銃剣を以後使用しろ」

 生徒達は順序良く銃剣を受領していく。

 「こいつは……」

 「凄いね……なんかグレードアップしてるよ」

 銃剣を鞘から引きぬくと、そこには同じ形をした銃剣が鈍い光を放っていた。しかし明らかに今まで携行していた銃剣と違っていた。触っただけで指が切れそうな程に鋭利だったのだ。

 「これは今回の出動の為に特別に制作された銃剣だ」

 64式銃剣は刃が付いていない。もちろんナイフの形をしているので体重をかけて刺突すれば、刺さらないこともない。しかし、64式銃剣は非常に材質が柔らかい。どれくらい柔らかいかと言うと砥石を受け流してしまい全く砥げないのだ。

 今回配布された銃剣はスポーツナイフを制作している会社に依頼して制作された上質な銃剣なのである。

 「それでは出発する、第一区隊より乗車!」

 小笠原達は乗車し、駐屯地を出発した。




 東富士演習場に近づくにつれて縁道には人だかりが増えていった。

 「自衛隊の異世界侵略を許すな!!」

 「軍国化断固阻止せよ!!」

 赤や黄色い横断幕を持った人々が通過する自衛隊車両に向けて声を張り上げている。

 「ちっ、また自称『市民団体』か。やめてくれよな、ホント」

 「怖いね。てか今日は平日だけど仕事休んでまで来てるのかな?」

 「そこ気にするかな~」

 結局演習場の入口近くまで小笠原達は『雑音』をBGMに移動することになった。

 演習場の入口では完全装備の自衛官が警戒にあたり車両がひっきりなしに往来する。ついこの前、ここで演習を行っていた場所が、外地への入口として世界の注目を浴びている。否が応にもその事実が背筋を伸ばさせた。

 

 

 

      

ご意見、ご感想おまちしてます。だいぶ長くなりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ