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ロリババアロボ ー 6歳からの楽しい傭兵生活 ー  作者: 紫炎
第一部 六歳児の初めての傭兵団

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第33話 幼女、強化する

 天幕の前でゴリアスと別れたベラは、いくつか寄り道をした後、再びボルドたちのいるベラドンナ傭兵団の陣地へと戻ってきていた。それは『アイアンディーナ』の強化のためであった。


『おお、戻ってきたかご主人様よぉ。思ったより早かったじゃねえか』


 そして、ベラを出迎えたのは地精機ノームに乗ったボルドひとりであった。ベラドンナ傭兵団は、団長一人に奴隷3人という編成で人数が少ないのはいつものことではあったのだが、他のふたりが出迎えに出ないのは彼らが作業に集中しているためであった。


「ああ、ちょっとウチの大将に顔見せただけだしね。そっちの様子はどうだい?」


 そう言いながらベラは起動している騎士型鉄機兵マキーニ『ムサシ』を見る。ジャダンの火精機ザラマス『エクスプレシフ』が補助腕サブアームを『ムサシ』の左腕に接続して調整をしている最中のようであった。


『今は魂力プラーナで神経網を生成してるところだ。ジャダンが補助についてるし、特に問題はないだろうぜ。まあ、その後の魔術式の更新はジャダンにゃ少し手間だろうがな』

「慎重なことだね」


 ベラの言葉にボルドが『まあな』と返す。


『手持ちの神経網で増設しても良かったんだがよ。まあデリケートなところだしな』


 ボルドの言葉にはベラも頷く。


「それでいいさ。接触が悪くてミスられても困るしね。で、バルはジャダンに任せて、アンタはあたしのディーナの方を担当してくれるってぇワケだね」

『準備は出来てるぜ、ご主人様』


 ボルドはそう言って地精機ノームをガシャガシャと動かしながら、『アイアンディーナ』の鉄機兵用輸送車キャリアへと向かっていく。


「おやおや、真っ裸じゃないのさ」


 そう言ってベラは笑いながら『アイアンディーナ』を見る。そして、そこにあった『アイアンディーナ』は装甲を剥がされ、フレームと神造筋肉マッスルクレイ機械マキノの詰まったクロノボックス、そして接続部からわずかばかり出ている神経網が剥き出しになって出ていた。


『だから、準備は出来てるっていっただろ』


 笑っているベラにボルドがそう返した。

 今回、ベラが魂力プラーナを消費し追加するのは、神造筋肉マッスルクレイと神経網のみであるが、増量した分は当然厚みが増す。そのため、増設される神造筋肉マッスルクレイと神経網の邪魔にならぬように最初の段階で装甲は外しておくのが基本だ。


『まあ、ご主人様にゃあ、釈迦に説法だろうが、増やすにしてもフレームをはみ出ないようにしてくれよ。それに合わせたフレームの再構成にまで入ると、明日の戦闘には間に合わない。戦ってる途中に折れちまうだろうぜ?』


 そのボルドの言葉には、ベラも「分かってるさ」と返す。それは鉄機兵マキーニを扱うならば基本中の基本である。もっとも、傭兵などはそうした基本も知らずに鉄機兵マキーニに乗っている者も実のところ少なくはなかったりもする。


「ああ、そうだ。終わっても装甲を付け直すのは待っておくれ。ちょいとフルグス鋼の装甲板を使いたいんだよ」

「あん? 今から魂力プラーナで造るつもりか?」


 怪訝そうな声で尋ねるボルドをベラは不機嫌そうに睨みつけた。


「そんなわきゃないだろう。モーディアスの鉄機兵マキーニで部分的にだが使用しているのを見つけたんだよ。そいつを集めてディーナに身につけさせたいのさ」


 ベラがそこまで言ってボルドも得心が行った。フルグス鋼は、鉄機兵マキーニに使用されている装甲としては軽く、その割には硬いため、主に軽装甲の鉄機兵マキーニ乗りには愛用されるシロモノだ。ベラはそれを『アイアンディーナ』に着けようと考えているようだった。


『なるほどな。けど、いいのか? 現在の装甲に比べてフルグス鋼は軽いがその分防御力は落ちるぜ?』

「当たらなきゃいいんだろ。問題ないさ。回転歯剣チェーンソーを使うんだ。少々軽めにしとかないといけないからね」


 そうベラが返し、それにはボルドも特に異存はなかった。ベラの異常に高い操縦技術はここまでにボルドも何度も目撃している。


『了解だ。それと『回転歯剣チェーンソー』なんだがよ。まあ実物を見てもらった方が早いと思うんだが』


 ボルドがそう言って、横に立て掛けてある刃のない回転歯剣チェーンソー地精機ノームで持ち上げた。


「刃がない? いや、収納してるのかい?」


 ベラは、柄のような部分から僅かに出ている刃の先の歯を見て、そう口にした。それはベラの知らない回転歯剣チェーンソーの機構のようである。


『そういうこったな。通常時は回転歯剣チェーンソーの刃はこうやって可変して収納されるみてえなんだわ。サイズ的にもこれなら腰の後ろのアタッチメントに付けておいて問題はないはずだ』


 そのボルドの言葉にベラが眉をひそめて尋ねる。


「耐久性は大丈夫なんだろうね? ポキッと折れちまいそうで、少し怖いんだけどね」

『その点では問題ねえな。変形後に内部にアダマンチウム製の芯が入って固定される。頑丈さに掛けては保証できるな』


 ベラは、ボルドの言葉を聞いてニンマリする。


「だったらいいさ。他には何か分かったことはあるのかい?」

『そうだな。内部構造はクロノボックスに覆われていて見ることも出来やしねえが、魔力をそそぎ込むことで機械マキノが動作し、歯が灼熱化して回転するみてえだな。まあ、それは使ったご主人様が一番良く分かってるだろうけどよ』


 その言葉にはベラが頷くまでもない。そのようにしてすでにベラはデュナンの機体を切り裂き続けたのだから。


『それとこれは片手でも扱えるが、両手で持った方がいいと思うぜ』

「そっちの方が安定はすると思うけど、理由はなんだい?」

『振動が強すぎる。片手だと腕の寿命を短くするかもしれねえ」


 ボルドは『アイアンディーナ』の左腕を見ながら言った。『アイアンディーナ』の左腕は仕込み杭打機スティンガー付きのギミック持ちだ。その分構造が複雑で壊れやすい面もある。


「なるほどね。まあ使用しないときは魔力は切っておいた方が良いってことだね」

『ま、それ以前に連続使用なんてしたら魔力が持たんだろうけどな』


 そのボルドの言葉の通り、若い『アイアンディーナ』は魔力の出力量には不安がある機体であった。その言葉にベラも眉をひそめるが、現時点では解決案はない。


「それもなんとかしたいんだけどね」

『ギミックウェポンで増槽タンクなんてもあるが、この戦が終わったらコーザさんにでも聞いてみたらいいんじゃねえか?』

「なるほどね。まあ、考えて見るさ。それじゃあ、始めるよ」


 ベラはボルドにそう言葉を返しながら鉄機兵用輸送車キャリアによじ登り、そして、鉄機兵マキーニ『アイアンディーナ』へと乗り込んでいく。


「ふん。自然魔力マナが若干薄いか」


 ベラは計器のメーターをチェックしながら、そう口にする。予想よりも魔力の川ナーガラインからの魔力供給量が少ない。もっともそれは戦場となった場所ではありがちな状況ではあるので、気にしても仕方がなかった。


(まあ、いい。こちとら、魂力プラーナで生成するだけだしね)


 そんなことを考えながらベラは『アイアンディーナ』を起き上がらせる。


『そんじゃあ、始めるよ』


 そして、音声拡大機からベラの声が響く。その言葉を聞きながらボルドの地精機ノームが若干早歩きでベラの乗る『アイアンディーナ』の前へと進んでいく。そして胸部より下の差込口へ、自分の地精機ノーム補助腕サブアームを差し込んでいく。


『クロノボックスへの干渉開始。強化はどこにするんだ?』


 ボルドは『アイアンディーナ』への接続を確認するとベラに確認を取る。


神造筋肉マッスルクレイは両足、腰、背筋だね。後は今は良い』

『了解。それで神経網は?』

『左手の仕込み杭打機スティンガーを重点的に、全体的に出来る限り太く』


 ベラのその指示に、しかしボルドは難色を示した。


『過敏になりすぎるが大丈夫か?』

『問題ない。ようやくあたしもアイアンディーナに慣れてきたんでね。そこらへんを少々キツめに設定したかったところなのさ』


(これまでは、まだ慣れてなかったってのかよ)


 ベラの言葉にボルドは唖然としながら、作業の準備に入っていく。

 そして、ボルドの役目は生成されたものの調整だ。これをきっちりと仕上げないと感応石からの伝達率が低下したり、部位によっての出力バランスに影響が出ることになる。なくても生成は完了出来るが、その後の性能に影響の出る大事な作業であった。




  **********




『ん、脚部のクロノボックスに変異反応があるみてえだな』


 そして、作業開始30分ほど経過した頃に、ボルドからそんな言葉が告げられた。


『ギミックかい?』

『恐らくは。まあ、まだなんともいえないが』


 ベラの問いにボルドは唸りながらそう返した。ただの腫瘍の可能性もある。悪性であるならば神経網も侵される可能性があり、脚部の交換も考えなければならないが、ボルドの見立てではそうしたものではないようである。


『動作に問題は?』

『現時点では特にはない。いつ羽化するかは分からねえから、魂力プラーナはある程度溜めておいたほうがいいかもな』


 鉄機兵マキーニのギミックは、ボルドの言う変異反応部位が羽化と呼ばれる現象により唐突にパーツが変じるものだ。その場所が戦場だった場合、その際に消費される魂力プラーナの量によっては危険な状態にもなるし、それでなくとも再構成は魔力体からの物質変換で不安定な状態となり、脆くなる。

 ともあれ、ギミックの発生は祝福すべきものであり、その鉄機兵マキーニは普通であれば妊婦のごとく大事に扱うものだ。


『なるほどね。ふん、ディーナは出来る子だったというわけか』


 そうベラは笑って口にした。


『で、どうする? ギミックの可能性があるなら、一旦は脚部を外し変えて羽化を待つって手段もあるけどよ?』

『はっ、バカをお言いでないよ。あたしゃ、ディーナをぬるま湯に浸からせる気はないよ』


 そのベラの言葉にボルドが怪訝な顔をする。


『しかし、戦闘中に羽化したら厄介なことになるぞ?』

『それでいいさ。鉄は熱いウチに叩けって言うだろ。ギミックも同じさ。ギリギリの状態でこそ、生まれるものも強くなるってもんだ』

『迷信だろ。そりゃあ』


 ベラの話はボルドも聞いたことがある。しかし、それはボルドの知る限りでは否定されている説だ。


『迷信じゃあないさ。ギミックは若い鉄機兵マキーニがその生存本能から『殺されないため』に、そして『殺すため』に生み出す牙だ。より危機が近ければ近いほど、それは強く輝く。そういうもんなのさ』


 そのベラの言葉に、ボルドが目を細める。


『それ、うちの長老が似たようなことを言っていたな。いったいどこで聞いたんだ?』

『さてね。忘れちまったよ』


 ボルドの言葉にベラはそう笑って返した。それをボルドは訝しげに見るが、ベラはそこからさらに続きを口にすることはなかった。


 そして、作業は進む。神造筋肉マッスルクレイと神経網の増設が完了すればベラの作業は完了である。

 続けての同調検査と魔術式の更新を行い、ボルドは続けて、ジャダンとともにフルグス鋼の装甲に改装し調整を行い続けた。そして、そこまでの作業が完了した時には、落ちた日が再び昇る明け方になっていた。

次回更新は4月21日(月)0:00。


次回予告:『第34話 幼女、目撃される』

ベラちゃんのお人形のおめかしも完了したし準備は万端。

そして、いよいよお隣にご挨拶です。

お隣の人が優しい人だと良いですね。

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