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ロリババアロボ ー 6歳からの楽しい傭兵生活 ー  作者: 紫炎
第一部 六歳児の初めての傭兵団

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第15話 幼女、自慢のお人形さんを見せる

「おや、ベラさんじゃあないですか。いかがしました?」


 闘技場からベンマーク商会の倉庫へと赴いたベラたちを迎え入れたのはコーザだった。

 現在、ベラの『アイアンディーナ』と鹵獲ろかくしたパルマ騎士団製の鉄機兵マキーニはこのベンマーク商会の倉庫にあるガレージに預けていた。

 ギミック持ちと騎士団仕様の鉄機兵マキーニは共に希少性が高く、街で用意した停留所に預けておくのは危険がある。そのため、現在はコーザに頼んでこのガレージに置かせてもらっているのだった。

 そして顔を出してきたコーザに対して、ベラが後ろに立っているバルを指さして言葉を返した。

「ああ、あれが今度うちの新人になるかもしれないんでね。ちょいと鉄機兵マキーニを見せるために立ち寄ったんだけど、今大丈夫かい?」

「ええ、隷属化の出来る魔術師もまだ着いておりませんし問題はございませんよ」

 コーザは、そう言いながらベラと同じ褐色肌の男を見た。そして、その男はコーザにも覚えのある顔だった。

「ほぉ、剣闘士のバル・マスカーじゃないですか。ご一緒という事は、もしかしてベラさんのご親類の方だったんですか?」

 そのコーザの言葉に、ベラが笑う。

「いーや、違うさ。別に同郷のよしみというわけでもないよ。あたしゃ、移民の生まれだから部族ってのもよくは分からないしね」

 ラーサ族は西の砂漠に住む民だが、その身体能力は高く、戦闘部族として恐れられている種族である。部族単位で傭兵団として動いており、奴隷となった場合にはその能力の高さから高値で取り引きされてもいる。

「そうですか。しかし、ここを見学って事はバルさんにあれを渡すつもりですか?」

「ま、あっちが了承すればだね」

 ベラの言葉にコーザも「なるほど」と頷いた。

「乗り手がつかなければ是非ともお売りいただきたかったのですが。決まっておるのでは仕方ありませんね。それではご案内いたしましょうか」

 コーザはそう言いながら、ベラたちを連れて鉄機兵マキーニのガレージへと向かうことにしたのだった。



  **********



「おお、これが騎士団の鉄機兵マキーニか」


 そしてガレージへと入ったバルが思わず声を上げた。そこにあったのはベラが持ち込んだパロマ騎士団製の鉄機兵マキーニだ。全長は4メートルを超え、盗賊団生活でついた汚れは落とされ、破損部分も今は綺麗に直されている。

 周囲にいくつもの鉄機兵マキーニが並んでいるが、その鉄機兵マキーニは他のどれよりも完成したプロポーションであるようにバルには思われた。

 もっともそれは当然のことで、基本的に各国の騎士団の鉄機兵マキーニはそれぞれが成長行程のレシピが存在し、それに従った統一規格になるように成長させていく。それ故に並の鉄機兵マキーニよりも強く、能力の高い騎士団仕様の鉄機兵マキーニが量産されるのだ。

 中でも鹵獲ろかくされたこの鉄機兵マキーニは成長期を越えて、安定期に入っている機体だった。

 そして、バルがその鉄機兵マキーニをしげしげと見ながらも、その視線が武器に集中しているのをベラは見て、コーザに尋ねる。

「装備はトレードして刀にすることも出来るかい?」

「ええ、在庫にはありますが。しかし、この剣と盾よりもグレードの高いモノはありませんよ?」

「だとさ。どうなんだい?」

 そのベラの問いにバルが、苦笑いをする。すでに自分の気持ちが傾いているのがバレているのだろうという照れた顔だった。実際に9割以上はもう傾いているとベラは見ていた。

「ああ、出来れば刀であるほうがありがたい。剣も悪くないが、刀とはやはり違う」

「おや、乗り気だねえ」

「意地の悪いことを言うな。これを前に断るのは……難しい」

 最後まで言い掛けて自分でも情けないと思ったのか言葉がドモるが、すでにバルの答えは決まっているようだった。バルは、用意されるのは盗賊仕様の粗い育ち方の鉄機兵マキーニ程度だろうと思っていたし、それでも主の方針次第と考えていたのだ。


「そんじゃあ、続いてはあたしの『ディーナ』だねえ」


 そう言いながらベラは奥へと歩いていく。バルも、騎士団仕様の鉄機兵マキーニに後ろ髪を引かれつつ、その後をついて行く。

 そして、ベラの向かった先には、足まわりを強化し現在は3.2メートルほどに全長が伸びた鉄機兵マキーニ『アイアンディーナ』が置かれていた。周囲の鉄機兵マキーニに比べて背が低いが、だがここ一ヶ月の戦いのなかで風格というモノが徐々に滲むようになったようにコーザには思えていた。コーザも鉄機兵マキーニを扱ってもう十数年は経つが、ここまで成長の早い鉄機兵マキーニを目撃したのは初めてだった。


「なる……ほど」


 バルは唸る。それは未だに若い姿の鉄機兵マキーニだった。実際、ギミックの左腕と腰から足にかけて強化した部分や一部装甲を抜かせばプレーンと言われる素のままの姿ではあるのだろう。もっとも、纏う空気のようなモノが他とは違うようには感じられた。

「ヒャッヒャ、どうだい。うちの美人さんだよ」

「あ、ああ……両腕が別のモノのようだが」

「片方はギミック持ちだからね。まだ付けたばっかで試運転しかしてないし、早いとこ実戦で使いたいもんなんだけどね」

 そのベラの言葉にバルは『アイアンディーナ』の左手をじっくりと眺める。


(肘から先まで突き出てるのは、何かが収納されているからか。ギミック持ちとはまた随分と強力だが、しかし腰から足にかけての強化が目立つな)


 そうバルは評する。実のところベラの操縦は動きが激しく、腰から足の芯を強固にせねば磨耗してすぐに壊れてしまいかねない。もっとも、そうした無茶をあまりやらかさないように仲間を増やしたいというベラの意図もあってのバルの加入(予定)である。


「しかし、これで鉄機兵マキーニ持ちの盗賊団をふたつ壊滅させ、ビグロベアを10体以上狩ったというのか?」


 にわかには信じがたい話ではある。すでにベラの鉄機兵マキーニも修理が終わり、その表面も綺麗に磨かれていて、ビグロベアとの激闘の後も残ってはいないため、コーザが以前に見たときのような凄みは消えていた。


「ま、信じられねえとは思うが、盗賊団一つを壊滅させたのは俺も見てっからなぁ」

「ビグロベアの買い取りは当商会でお受けしましたので間違いはありませんな」

 そう口にしたのはボルドとコーザだ。鹵獲ろかくした鉄機兵マキーニがあるのがそもそもの証拠ともいえた。


 そこまでの話を聞いて、バルの腹もようやく完全に決まったようである。


 そして、そのままマルフォイのいる奴隷商の館に向かい、奴隷契約はすんなりと完了した。バルの奴隷契約は戦奴隷としての12年の期間契約である。永続奴隷であるボルドに比べると、奴隷契約と言っても要するに鉄機兵マキーニ購入のための借金のカタに働く類のモノで、いくつかの契約の縛りもあるが自由度は高い。


 その後にベラは、マルフォイに奴隷契約における契約代行の手数料などを支払い、そして晴れてバル・マスカーはベラの奴隷となったのである。

 なお、ベラの所有するパロマ騎士団製鉄機兵マキーニは騎士団用レシピに従って成長を遂げた一級品のため、一般的な価格で言えば8000万ゴルディン以上に相当する。手数料だけでマルフォイに約400万ゴルディンが支払われるのだから、マルフォイがバルの主探しに躍起になっていたのも頷ける話であった。

次回更新は2月17日(月)0:00。


次回予告:『第16話 幼女、お前は性奴隷だと宣う』

お爺さんはまだ自分の立場が分かっていなかったみたいです。いけませんね。

なのでベラちゃんは今日もお爺さんをお仕置きします。それがお爺さんのためでもあるのです。

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