学校での一幕
「はぁ...」
「どうした?そんなため息なんてついて」
喧騒としたクラスの中、窓際の一番後ろに座っている俺とその前に座っている親友、杉本 啓介は雑談をしていた。
啓介とは中学からの仲で俺の人生の中で一番の人格者だ。そして高身長イケメンとかいう高スペック男子。
ラブコメだったら主人公かと疑うレベルだ。
「いやぁ...席替えしたじゃん?」
「まぁ、したな。それがどうした?」
「だって隣がさ...」
目線を右隣に動かすとそこには...
「あっはは!それほんと〜?」
友達と楽しく話している楓の姿があった。
「朝沼さんだけど...それがなに?」
啓介は、俺が落胆している意味が伝わっていないのか何言ってんだコイツみたいな顔を向けられる。
「お前はあいつが隣にいる時の災害具合を知らないからな...分からないのも無理がない」
そう、楓が隣にいたら授業中に俺の安息の地は存在しなくなる。
楓は、消しカスだったり丸めた紙を投げつけてきたり、なんなら普通に話しかけてくる。そんな小学生みたいなことを年がら年中してくる。
そのせいで授業に集中出来ずにテストで悪い点数をとった事もある。だから憂鬱なのである。
「俺が隣になった時はそんな事なかったけどな〜?」
「当たり前だろ...あいつは俺をイジるためにやってんだから...」
「愛されてるね」
「んなわけないだろ。あいつは揶揄うことだけが生きがいみたいなやつだぞ...それにあいつと俺は幼馴染だ、恋愛感情なんてものは一切ない」
「そうかな?話を聞いてる感じ好きな子をイジったりからかったりするみたいなことだと思うんだけど...」
「いやいやいや、それは無い、絶対にな。あいつは俺を揶揄うことを生きがいとしてると言っても過言ではない奴だからな」
長年一緒に過ごしてきているからこそ分かる。楓は俺に恋愛感情なんてものはなく、叩くと鳴るおもちゃという認識だろう。
「でもまぁ、よかったじゃないか。仲のいい人が隣で」
「それはまぁ、そうだけど」
啓介が言うことはごもっともだ。もし授業で隣の席同士でのペアワークがあった場合、よく知らない人だったら俺の人見知りが発動してしまい、地獄みたいな空気が生まれてしまっていたかもしれないからな。そういうところだけ隣でよかったと思える利点だな。
そんな話をしているとチャイムがなり授業が始まる。
「ま、頑張れよ」
そう言って黒板に目を向ける啓介。
「んな、無責任な...」
そして隣を見ると...
「んふふ〜」
「.........」
不敵な笑みを浮かべていた悪魔のような人間もとい楓から逃げるように目を背けた。
「ちょっと〜?なんで目を逸らすのさ〜」
「悪魔と契約なんてしたく無いからな」
「だぁれが悪魔だって〜?」
「ごへんっへ」
顔は笑っているのに目が笑っていない楓に頬をつねられながら謝る。
「痛いぃ...」
つねられていた痛みから解放され頬をさする。
「まったく...こんな可愛い女の子のことを悪魔なんて失礼しちゃうよ」
「自分で言うんすね」
「うん!」
この自信満々な態度は自分も見習おうと感心してしまう程だった。
「っていうか授業中なんだから静かにしろよ」
「は〜い」
妙に素直な楓に疑念を抱きながらも黒板に目線を向け授業に集中する。
ーーーポスッ
黒板の文字をノートに書いていると、突然腕に何かが投げられた。確認するとそれは丸められた紙だった。
投げられた方向を見るとそこにはこっちを向いてニヤニヤと笑みを浮かべていた楓がいた。
呆れつつも丸められた紙を広げてみると.....
『放課後一緒に帰ろ!』
という文字と共に犬か猫か判別できないなにかの絵が書いてあった。
いつも一緒に帰ってるのにわざわざ紙に書いて投げてくるとは...コイツ暇人かよ...それに授業中に伝えることじゃ無いだろこれ。あとこの絵なに?不安になってくる絵なんだけど...。
とりあえず『了解』と紙に書き楓の机にぽいっと投げる。
楓は投げられた紙を広げ俺からの返事をみるとパァッと効果音が出てそうな笑顔を向けてくる。
不意にも可愛いと思ってしまい、顔を背ける。
それに気づいたのか楓はニマニマと良からぬことを考えてそうな顔をしていたのであった。
どうも皆様、明けましておめでとうございます。投稿頻度はそこまで高く無いですが今年からこのシリーズをよろしくお願い致します。次回は放課後帰宅シーンになります。お楽しみに。




