かぐや争奪戦
研究室から耀夏が外を見る。
「あの、氷って…」
あの氷を操る能力は耀夏に心当たりがある。
「キョージュ?」
創想も研究室に入ってきた。
「ねぇ、耀夏。あれって」
同じく創想の記憶にもある力。
あの可憐で美しい氷の華を作った力だ。
「あぁ、きっとかぐやだ」
「行くの?」
「当たり前だろ?」
「そういうとこ変わらないわね」
創想は呆れたような、でもどこか嬉しそうな様子で言った。
雪那は血を吐いて倒れた。
「ガハッ…」
「おぉ、これを喰らって一撃では死なないとは」
コルティアは拍手をしながらそう言った。
「何故…」
「冥土の土産に教えてやろう。私の能力は敵のランダムな一点を弱点とし、それを攻撃すれば致命傷レベルのダメージを与えるというものだ」
「…」
「もう喋れないか、苦しむ前に殺してやる」
コルティアがトドメを刺そうとする前に、雪那の装甲がより強固な物に再構築されていった。
「なっ!?」
「さっさとトドメを刺せば良いものをゴチャゴチャと…お前は馬鹿なのですやん?」
雪那は立ち上がって銃を構えた。
「まだ、動けるとは」
「もうお前の能力は把握した、もう負けないですやん」
「何をっ!」
雪那は銃の弾を惜しみなくコルティアに浴びせた。
「また、貴様の弱点を攻撃すれば良い話だ!」
コルティアは針を雪那の弱点に投げた。
そして、雪那の装甲が破壊されたが、すぐに進化した装甲が再構築される。
「なっ!?」
「攻撃に致命傷を負わせることはできても、この装甲を貫く事ができない針という武器の貧弱さは誤魔化せないようですやんね」
雪那の銃はさらに増えていく。
(まずい、これでは私の力が尽きてしまう…!)
「終わりですやん」
コルティアの全身に銃弾が撃ち込まれ、コルティアは再生もままならなくなり、倒れた。
「魂の力もほとんど感じられないですやん。生きてはいるけど、ほぼ死んでるようなものですやん。さっさと手を引くですやんよ」
「小娘が…!」
コルティアは絞り出したような声をあげる。
「おお、雪那、何をしておる」
雪樂が歩いてくる。
「じいちゃんこそ、何をしてるんですやん?」
「こやつのもう1人の仲間を探してあったんじゃが、お前か」
雪樂の腕には男が抱えられていた。
「コルティア…!」
抱えられた男はそう叫んだ。
「コルティカ!」
コルティアもそう叫ぶ。
「やっぱり、仲間か。遠くから見たら2人いたからな」
「コルティカを離せ…!」
コルティアは雪樂を睨みつける。
「…まぁ、いいだろう。どうせ、動けないだろうしな」
雪樂はコルティカを下ろした。
「こいつらどうするんですやん?」
雪那は雪樂に問いかける。
「ヴェインの仲間とあれば、野放しにはできん。レキスの所に連れて行かねばならんな」
「レキス、誰ですやん?」
「お前は知らんか。まぁいいそのうち会える。ひとまず最優先はかぐやだ」
「はい!ですやん!」
その時、どこかから誰かが走ってくる。
「あれは、雪那!」
走ってきた人は雪那を見てそう言った。
「…!」
雪那の名前を呼ぶ声、雪那の記憶の奥底にある声。
雪那は声が聞こえた方を見た。
「…兄さん!」
かぐやが操る氷の竜、天照達はかぐやから遠ざけられてしまう。
「紅炎!」
天照の操る業火も、膨大な氷の中にかき消されてしまう。
「厄介な術よ」
その時、天照の上に影が通りかかった。
「…?」
天照は上を見上げた。
「竜技・堕天…!」
氷の竜の首が爆ぜて砕け散った。
「お主は…!」
「シリウス!?」
月読もシリウスに気づいた。
「よかった、まだ無事だった!」
「遅かったではないか!」
「すまない、途中で人に会ってね。その内来ると思うよ」
かぐやはシリウスの到来を見た。
「シリウス、また私の邪魔をするのか…!?
氷竜!」
シリウスに氷の竜が襲いかかる。
「お主、気をつけよ!」
天照はそれに気づいていた。
「っ!」
シリウスもそれを聞いて氷の竜に気づく。
しかし、氷の竜は横から光線に貫かれ砕け散った。
「シリウスよ、油断はするでない」
「月読…お前も協調性があるんだな」
「貴様、殺すぞ!」
シリウスへの攻撃も阻止されて、かぐやの怒りは募っていく。
「皆、私の邪魔ばかり!もういい、全部壊してやる!八岐大蛇!」
先程まで天照達が手こずっていた氷の竜が8つ同時に展開される。
「っ!これはまずいなぁ」
シリウスはあまりの量に気圧されてしまう。
その時、どこかから猛烈に勢いのある音が聞こえる。
「…?」
その音に気づいた時、巨大な波が八岐大蛇を飲み込んでいた。
「姉上!」
その波から何かが飛び出した。
「須佐男!」
飛び出した者を見て天照がそう言った。




