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天来  作者:
超越者達
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凍える混沌

「暗い…ここは、どこ?」

暗い闇の中にかぐやの意識が閉じ込められている。

「…あぁ、同じだ。あの時と同じ」

かぐやはあの惨劇の時を思い出す。

燃え上がる炎、狂った村人、それらから逃げるしかなかった時の事を。

「誰も助けてはくれなかったな…」

かぐやはそう呟いた。

「…そう、誰も助けてはくれないのだ」

闇は形を変える。

「ならば、私がみんなを助ければいい」

闇は刺々しく変形した。

「そうしてこの世界に住む蛆虫どもを皆殺しにして、そして、私の大切な人だけの楽園を築く」

かぐやは闇を手に取った。


氷の膨張が止まった。

「…?」

天照と月読は不審そうにそれを見ている。

そして、氷が音を立てて砕けた。

上からかぐやが舞い降りた。

「かぐや…」

月読はかぐやに呼びかける。

かぐやは微笑んだ。

その瞬間、鋭く尖った氷を天照に突き刺した。

「っ!」

天照は咄嗟に剣で防いだ。

「かぐや…?」

「あの人は誰ですか?月読様に似てますね」

「どうしてだ?」

「質問に答えてくださいよ」

かぐやの言葉にはうっすらと怒っているような圧力があった。

「妾の姉だ」

「そうですか、なら殺さないでおきます」

「お前は一体何をしようとしている?」

「蛆虫は皆揃って蛆虫なんですよ。だから全員殺して私達だけの世界にするんです」

「何を言っているんだ?」

「月読…!」

天照は月読に呼びかける。

「姉上…」

「もう奴はお前の知っているような奴ではない。このままでは取り返しのつかない事になる。覚悟を決めろ」

「…!」

月読の手が震える。

これまで誰かを殺す事に何も抵抗してこなかった月読が、この命を手にかける事を酷く拒んでいる。

「かぐや…」

月読は絞り出したような声で言った。

「はい?」

「許せ」

光線がかぐやに向けて放たれた。

かぐやは氷を壁にして光線を防いだ。

「そうですか。月読様も連れて行きたかったのですが、邪魔をするのなら容赦はしませんよ

氷竜!」

巨大な竜が月読たちを襲う。


氷の竜が辺りを噛み砕きながら激しく動き回る。

「どひゃー、ヴェイン様はすごい奴を取り込んだなぁ」

男がその様子を見て言った。

「当然、我らが長なのだからな」

もう1人が誇らしげに語る。

「で、仕事って?」

「あのかぐやとか言う奴への操作が解かれないようにここに近づく者共を間引く、例えばあの雪女とかな」

「なるほど」

「では、あの雪女は私が片付けよう。私が先に見つけたのだからな」

「まぁ、いいよ」

「ふっ」

そうして、男の1人が走っていった。

「俺と誰か戦ってくれる奴はいないかなあ?」

「そんなに戦って欲しいのか?」

残っていた男の背後から声が聞こえた。

「…!」

男は咄嗟に後ろを振り返った。

後ろには雪樂がいた。

(なんだ、このジジイ。俺が後ろを取られた?)

「おい、ジジイ。あんた強い奴?」

「この老いぼれにそんな事を聞くとは、若いもんは度胸がないのか?」

「あぁ、そうかよ!」

男は雪樂に飛びかかり、蹴りを浴びせた。

しかし、雪樂には容易く受け止められた。

「急いでいるのでな、早くすませたいのだ」

雪樂は拳を思い切り男に喰らわせた。

「っ!」

男は大きく飛ばされ、地面に叩きつけられた。

「まぁ、死んではいないだろう」

雪樂は先に進もうとする。

しかし、足が止まる。

「おい待て…!」

地面を見ると影が伸びて、雪樂の影に結びついている。

「こいつ…!」

「まだ、終わってねぇぞ!」


雪那は雪樂とは別の場所からかぐや達の所へと向かっている。

「急げ急げですやん」

「お嬢ちゃん、その先は危ないですよ」

誰かの声が聞こえる。

雪那の足が止まる。

「お前は誰ですやん?」

「私はコルティア・ウラヌス。それよりもここらが先には行かない方がいい」

「私は強いですやん。心配は無用ですやん」

「そうか、なら言い方を変えよう。この先に近づけば殺す」

「貴様…!」

雪那は銃を構える。

そして、銃を放つ。

が、その瞬間銃は破壊された。

「…なっ!?」

弾丸はコルティアの頬を掠る。

「当たってしまったか、本当は発車する前に壊すつもりだったが、やられたな。だが、武器は潰した。どうだ、降参するなら命を助けてやってもいい」

「降参?これで私の武器を殺したつもりですやん?」

雪那の手には別の銃が握られている。

「予備を持っていたか。まぁ、当然か」

雪那はまた銃弾を打ち込む。

今度はコルティアの肩に当たる。

「当たったか。まぁいい治せばいい話だ」

コルティアの傷が治っていく。

「これは…祈祷術ですやん!?」

「ほう、詳しいんだな」

「お前は聖職者か、天使なのですやんか?」

「惜しいな、我々は堕天使だ。ヴェイン様に仕える闇の眷属として手足となって従うのだ」

「闇の眷属…ですやん?」

「話は終わりだ。お前はこのまま引き下がる者ではないと理解した。もう、殺す」

「出来るならやってみろですやん。その前にお前の全身を穴だらけにしてやるですやん」

雪那は右手の銃をコルティアに向ける。

「その手は通じない」

コルティアは何かを投げた。

最小限の動きで何かを飛ばしていたが、雪那はそれを見ていた。

そして銃はバラバラに壊れた。

「お前の武器は、針ですやんね」

「驚いた。私の武器を見切るとは。だが、まだ銃はあるのか?」

「心配しなくてもまだまだあるですやん!」

今度は左手に持っている銃を素早く撃った。

「っ!」

コルティアは咄嗟に避けるも腕に当たる。

(…これ以上、銃は隠していないと思っていた。こいつ中々準備がいい)

コルティアは傷を治しながら思考を巡らせる。

(こいつの武器は分かってもなんでそれが銃を破壊する程の威力になるんですやん?)

雪那もまた敵について考えている。

互いに分からない能力である以上、無闇に攻めれば負ける。

しかし、先に仕掛けたのは雪那だった。

両手の二丁の銃をコルティアに向けて放った。

「っ!」

一発、コルティアに当たった。

祝福の効果で雪那の武器が強力になり、自動小銃に進化する。

「何…!?」

(敵は予備を持っていたのではなかった!恐らく銃弾の着弾を引き金に銃を増加、もしくは進化させる力か…)

雪那は容赦なく弾を放ち続ける。

コルティアも避けるのに精一杯である。

その回避にもいずれ限界が訪れ、コルティアの体に銃弾が複数撃ち込まれた。

しかし、その瞬間雪那は血を吐いて倒れた。

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