天地双生
「うぅ、どうしましょう」
ケインは蹲っている。
「動けはしますが、やはり血が足りない…ここで待っていた方が…いや、やっぱり自分から行ったほうが!」
ケインはそうやって奮起し、走ったが、すぐ転んだ。
「姉さんの気配を探ってるけど、全然見つからないよ」
「俺の眼もここじゃ上手く使えないな」
「…」
「…」
沈黙が続く。
「…八方塞がりってやつ?」
「俺が考えた方法はない事はない」
「何…?」
「クロがここで能力を使う」
「ダメだ」
クロは即答した。
「俺達はすぐには死なない」
「無理だ、この迷宮を崩すまで使えば君達は耐えられない。絶対無理」
「だったら…」
「あの白猫は密室に閉じ込めた。普通に探しても見つけられないよ。さぁ、どうする?」
オルスタは面白そうに笑いながら、様子を見ている。
「天地崩壊」
迷宮の周りが歪んだ。
アレスは眼の力を使った。
迷宮を崩壊させるまではいかなくとも、魂の流れに所々穴をあける事で閉ざされた視界を僅かながら開かせた。
そして、その隙間からでもアレスの眼は迷宮に散りばめられた2人の魂を捉えた。
「見つけた」
クロの能力が解かれ、空間が元に戻っていく。
「ゴホッ!」
アレスは血を吐いた。
「大丈夫!?」
クロがそう聞いた。
「あぁ、大丈夫。問題ない」
「本当に無茶するよ。死んだら恨んでたからな!」
「あぁ、悪い悪い。でもあいつらを見つけたぞ」
「どこ?」
「こっちだ」
二つの魂の方向に従って、アレス達は走っていった。
「あぁ、もうダメです。動けないです。やっぱりアレス様の血を飲んでおけばよかったです。あぁ、なんて情けないのでしょう。これではヴェルタナ様を連れ戻すなんて無理です。うぅ、何もできない自分が辛い。
嗚呼無常 何もできない 役立たず
…こんな一句を読んでいる暇はありません。
あぁ、もうなんか全部どうでも良くなってきました。もう世界を破壊する破壊神にでもなってしまいましょうか…」
「ケイン!」
アレスが駆けつけてきた。
「アレス様!」
ケインは生き返ったようにアレスを見た。
「なんだ、その体勢?」
床に張り付いたままのケインを見てそう言った。
「血、血を、ください」
ケインはジタバタしながらアレスの血を求めている。
「…仕方ないか。ほら」
アレスは手をケインの顔の前に差し出した。
「…!」
ケインはアレスの手に噛みついた。
「って!もっと優しく…」
ケインはアレスの血を飲んでいる。
「っは!やはり美味!元気出ました!」
ケインは元気よく起き上がった。
「よし、シロを探すぞ」
アレスはシロの魂が見えた所に来ていた。
「おかしい…いない」
しかしそこにシロの姿はなかった。
「動いたのか?」
「もう、あんな事はしないからな。姉さんのためとはいえ」
クロはそう言った。
「分かってる」
「ならば、私に名案があります」
ケインは自信満々に話す。
「なんだ…?」
アレスは内心嫌な予感がしている。
「全てを壊せばいいのですよ!」
そう言うと、ケインは周りの壁を切り刻み始めた。
「バカッ!落ち着け!」
「アレス、あれ!」
クロが何かを指差した。
「…!?」
アレスは指が刺された方を見ると、ケインが壊した壁の奥に正方形の個室のようなものがあった。
「あれは…ケイン、あの壁を壊してくれ!」
「あぁ、あれですか?了解です!おりゃぁ!」
ケインは勢いよく、壁を蹴破った。
「なぁ、ヴェルタナって部下の扱い雑なのか?」
「い、いや、そうは思わないけど」
「…」
蹴破った先にはシロが閉じ込められていた。
「姉さん!」
クロが呼びかける。
「クロ、よかった!」
「この、私の完璧な作戦により、シロ様を解放!」
ケインは意気揚々と言った。
「お前は少し冷静になれ」
アレスはそう嗜めた。
「さぁ、姉さん。さっさとここをぶっ壊そう!」
「えぇ、そうね」
クロとシロはそれぞれ左手と右手を噛み切った。
指先から血が滴っていく。
そして、その手を繋いで何かを唱えている。
「虚構と現実の狭間 時空は我らの手の中に 天地双生!」
この作品、最初から読むと5時間かかるらしいです。
新しく読む人はどうするんだろう?




