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天来  作者:
超越者達
68/80

決闘

仮面の者はゆっくりとこちらに近づいてくる。

「こいつ…」

ケインの体が強張る。

「先走るなよ、ケイン」

「分かってます」

アレス達と仮面の者は向かい合った。

そして急速に仮面の者は距離を詰めた。

それを阻むようにケインがその進路を潰す。

ケインは赤い糸で仮面の者を切ろうとする。

仮面の者はそれを防ぐように両手のナイフで糸を切る。

その隙にアレスが飛び上がり、上から仮面の者に剣を叩きつける。

仮面の者は後ろに退いた。

仮面の者の服にかすり傷がついている。

「ここまでやってもか…」

仮面の者はナイフを投げた。

アレスは咄嗟にそれを避ける。

「アレス様、危ない!」

「!?」

振り返ると向こうへと飛んで行ったはずのナイフがこちらに返ってきた。

「なっ!?」

アレスの腕に刺さる。

(っ、血で操作してたのか…)

アレスはナイフを抜いた。

「ブラッドランス」

天井と床から槍が何本も突き出てくる。

「まずい…ケイン!」

アレスはケインを抱えて部屋の中へと逃げた。

部屋の中へと入っても部屋は転移していないようだった。

(やっぱり、仮面の男はこの館の主か。部屋を動かさず、俺達を逃がさないつもりだ)

仮面の男はアレスが部屋に飛び込む時に落としたナイフを拾い上げた。

「…メタ・マジック」

アレスの魔力が上がる。

(部屋に入る瞬間を狙い撃つ)

仮面の男は部屋の入り口に足を踏み入れた。

「フレア!」

部屋の入り口の壁ごと仮面の男は吹き飛ばされる。

「今だ、ケイン!」

「はい!」

ケインは追撃をかけるため、飛んでいった方向に走る。

「はぁっ!」

糸が仮面の者に迫る。

「ブラットクロス」

赤い十字架が糸をかき消して飛んでくる。

「っ!」

ケインの腕と胴が切られた。

「ケイン!」

ケインの上半身が宙に浮いている。

そこを仮面の者は心臓を狙ってナイフを突き立てる。

「クエーサー!」

光線がそれを阻止する。

すかさずアレスはケインの上半身と下半身を持って仮面の者から離れる。

「大丈夫か?」

ケインの体を繋ぎ合わせた。

「…えぇ、なんとか」

また、彼らは廊下で向かい合うことになる。

「お前、余裕そうだな。その顔を歪めてやるよ」

アレスがそう言うと、窓の奥に無数の光の粒が映った。

「ギャラクティックレイ!」

館の壁を突き破って光の粒が入ってきた。

仮面の者はナイフでそれを防ごうとするが、全ては防げず、その体をいくらか傷つけた。

アレスは仮面の者に近づく。

(今だ…!)

しかし、アレスの横から大量の血が溢れてきた。

「…!?」

アレスは横を見ると、突き破られた壁から血が出ていた。

(なぜ…?)

「はっ!」

すぐに前へと意識を戻すと、仮面の者がナイフを振り上げていた。

「しまっ…!」

「っ!」

それをケインが庇った。

ケインの右腕が切られた。

「これでも喰らえ!」

切られた腕から大量の血を仮面の者に浴びせた。

視界を奪われ、動きが鈍る。

「今です!」

アレスは剣を振り下ろした。

剣は仮面の者を深く切り込んだ。

血が噴き出て、仮面の者は倒れた。

「すまない…ケイン」

「いえ、それより…勝ちましたよ…」

「そうだな…!」

アレスは倒れた仮面の者を見る。

「ない…」

アレスはそう言葉をこぼした。

「…何が、ですか?」

「体が…ない」

「え…!?」

確かに仮面の者には服と仮面、そして大量の血以外なかった。

「それに、さっきの館からの血」

(あいつは、この館の主じゃ…。まさか…)

アレスは思いついたように、剣を床に突き立てた。

すると、そこから血が滲む。

「やはり、これは敵の体…!?」

「そんな事って…」

ケインも驚いて声を漏らした。

アレスは眼を使って館を見た。

そこには館中を駆け巡る魂の脈動。

そして、その奥、ここから先に見える空間に強大な魂が…2つ。

「この魂は、まさか…」

「どうされました?」

「間違いない、ヴェルタナは生きている!」

「…!」

ケインは力が抜けたように座り込んだ。

「そうですか…よかった!」

「…でも、まだ敵の近くだ。俺達も早く行こう!」

「は…!」

ケインは立ちあがろうとするも、上手く動かなかった。

「血の使いすぎか、仕方ないな」

アレスはケインを抱き抱えた。

「…すいません」

恥ずかしそうに顔を埋める。

「いいんだよ」

「あと…」

「なんだ?」

「血を吸ってもよろしいでしょうか?」

「それはダメだ」


一面、赤く染まっている。

赤と黒が無秩序に混ざり合い、蠢いている。

そんな空間。

そこに外から光が入ってきた。

「相変わらず、気味悪い場所だな」

「勝手に心の中に入ってきて何言ってんの?」

この空間の中心にある、棺桶の中から声がする。

「何が勝手だ、お前が呼んだんだろ」

「…そうだっけ?」

棺桶が開いて中から何者かが出てきた。

その男は少年のように幼い。

しかし、目と髪は紅く染まっていた。

「…間抜けな姿」

服を着ていた体とは違う体を作ったヴェルタナは当然裸だった。

それを男は嘲笑った。

「いいからとっとと、服を寄越せ」

「はいよ」

男は服を放り投げた。

「にしてもいいよね、魂の超越者…だっけ?肉体に縛られない魂。君ほど強い魂を持つ者はいないだろうな。心臓を潰しても死なない吸血鬼なんてイカれてる」

「お褒めに預かり光栄だよ、『心の超越者 オルスタ・レッドローズ』」

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