満たされる新月
「もう、手加減はしない!」
月読はシリウスに光線を放つ。
しかし、シリウスは避けず左腕で受けた。
月の紋様は4つに分かれていた。
「見ていたか」
「竜技・竜閃乱舞!」
シリウスは幾つもの真空波を浴びせる。
月読は鏡を20に分け、それぞれを相殺させた。
そして、すぐに4つに戻す。
シリウスがすぐ目の前まで来ていた。
一つをシリウスの正面に位置させ、迎撃する。
シリウスは攻撃を上に避けた。
そして、槍を上から振り下ろす。
月読は、もう一つの鏡を盾にして攻撃を受けた。
そしてシリウスの左右に鏡を設置、そこから光線を放つ。
「っ!」
シリウスは槍を押して、それで体を動かして上に飛んだ。
しかし、月読は宙に浮かんだシリウスの上に移動していた。
月の紋様は満ちている。
シリウスは地面に叩き落とされた。
「ぐっ!」
起き上がったら、目の前にも鏡が出現している。
咄嗟に避けられず、光線が当たる。
シリウスは後ろに退くも、それを追うように鏡が近くに転送される。
「竜技・竜魂烈波!」
周りの鏡を振り払うように、シリウスは辺りを吹き飛ばした。
その直後、空へとシリウスは飛び立った。
「竜技・堕天!」
月読の方へ火球を落とした。
月読はそれを避ける為、上空に瞬間移動した。
だが、それはシリウスに見られていた。
シリウスの得意とする空に月読は誘い込まれていたのだ。
シリウスは地上よりも速く、月読との距離を縮められる。
「っ!」
苦し紛れのように光線を撃つも、容易く躱されてしまう。
シリウスは大きく槍を振り下ろし、月読を叩き落とした。
「竜技・竜閃乱舞!」
追い討ちをかけ、落下点に技を打ち込む。
すると、上空に何かが転送された気配がした。
「竜技・紅蓮!」
また自身が不利になる位置に来てしまった月読は、シリウスの猛追を受ける。
反撃の暇さえも与えない程、素早い槍の攻撃に月読は出来るだけ切り焼かれないように受けるので精一杯だった。
いくらか傷を負ったところでようやく転移できた。
「次はここか!」
魂の気配に従ってシリウスは向かった。
しかし、そこには鏡が転送されていた。
「…!?」
「かかったな」
月読はシリウスの後ろからそう言った。
「っ!」
シリウスの前にある鏡は半月の紋様が刻まれている。
シリウスは月読と目の前の鏡とで挟まれる形になった。
「竜技…」
「させるか!」
月読は前後から光線を放った。
「ぐっ!…竜技・天雷!」
シリウスは攻撃を受けた直後でも技を放った。
「何…!?」
月読は咄嗟に転移して、避けた。
(このままでは、妾かシリウスのどちらかの体力が底を尽きるかの勝負になってしまう。それでは、勝算を高められない。ここらで大きく力を削ぎたい)
「朔の刻」
月読は鏡を30個に展開した。
「…何!?」
(ここで威力の低い鏡にするのは愚策だろ…?)
シリウスは動揺している。
「どうした?呆けていたら負けるぞ!」
月読は動揺で硬直しているシリウスを煽る。
「っ!竜技・竜閃乱舞!」
月読の言葉に誘われるように技を放つ。
月読は鏡を前方に並べて、シリウスの攻撃を防いでいるようだった。
「竜技・堕天!」
これも同じように鏡を盾に技を受けた。
月読は目に焼きつくような笑みを浮かべる。
「っ!」
(何を企んでいるかは知らないが、火力がダメなら速さで後ろに回り込んで狙い撃つ!)
シリウスは月読に急速に接近する。
「竜技・紅蓮!」
正面から炎を纏った槍をぶつける。
他の技と同じように鏡に当たる。
シリウスは攻撃に注意が向いている隙に、素早く月読の背後をとった。
「竜技…」
「得体の知れない行動、攻勢に出た事による感情の昂り、それは人を盲目にさせる」
月読はシリウスの目の前に鏡を置いた。
「…!」
その鏡は大きな力を蓄えていた。
「そんな…なぜ」
「これが我が神器の隠された力、敵の力を封じ込め放つ力だ」
そして、月読は貯められた力を解放した。
凄まじい威力の光線がシリウスを巻き込み、月読の目の前の全てを消し去っていく。
「………流石だな、この攻撃を受けてもその身を保っていられるとは」
光線の跡にシリウスだけが残っている。
「くっ…!」
立ち上がるのも精一杯な程、傷ついた体はこの戦いの勝者を象徴するようだった。
「もう、動けないのか?」
月読はシリウスの方へと近づく。
シリウスは月読を睨むも、それ以上は何もできない。
…ただ一つ、この状況を打開する策をシリウスは知っていた。
諸刃の剣…今となってはその代償は殆ど意味を持たない。
シリウスの魂が力を増幅させていく。
「…これは!」
月読はそれを見て、シリウスから距離をとった。
「奥義…!」




