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天来  作者:
超越者達
60/79

偉大なる月よ

光線を受けたシリウスは後方に吹き飛ばされた。

「かっ…!」

シリウスは胸に手を当てる。

手は赤く染まっていた。

(どこまで…どこまで…やられた?貫通はされてない。心臓に達したか?)

「安心しろ、表面だけだ」

空から声が出てする。

シリウスとかぐやはそれを見た。

「月読様…」

かぐやはそう言った。

「月読…?」

「かぐや、お前は下がれ」

「…はい」

月読に言われるがまま、かぐやは退いた。

「お前は…」

シリウスは胸が苦しいのを耐えながら声を絞り出した。

「流石だ、竜人。軟弱な肉体と魂では妾の光線に貫かれておったわ」

月読はシリウスを讃えるように言った。

「魂…?」

「そうだ、魂だ。肉体と魂は繋がっている。肉体の強度は鱗や筋肉の強度に非ず、より洗練された魂はより強い肉体を生む。貴様の魂は洗練されている、奴に近い。かつて妾を倒したベテルギウスに!」

「じいちゃん…!?」

「そうか、貴様の血縁か。妾がかつてこの地に降り立った時、対峙したのが奴だ。あの時は負けてしまった。再戦を挑もうとしたが、既に死んでいた。だが、貴様がいる。奴と同じ竜人、貴様を打ち倒しかつての因縁に決着をつける」

次の瞬間、シリウスの体の傷が治っていった。

「…!?」

「魂の力を送ればこういう芸当も可能だ。手負の貴様を倒しても意味がない。全身全霊で戦おう」

「…せっかく、戦いが終わったと思ったのに。まだ、休めないみたいだな。いいだろう、その因縁の決着をつけてやる。俺は負ける気はない!」

シリウスは槍の先を月読に向けた。

「そうだ、そうこなくては。それでこそ、この地に降りてきた甲斐があるというものよ。我が名は『間の超越者』月読!今こそ、千年の因縁の決着を!」

「竜技・竜閃!」

「衛星展開!」

月読の周りに紋様のついた球体が出現、それが光線を放ち、技がぶつかり合った。

また球体に光が集まる。

(攻撃が来…)

避けようとしたが、攻撃が放たれた瞬間に光線がシリウスに直撃した。

「速っ!」

「光線のような見た目をしようと、その速さが光速に至る事はない。だが、妾の攻撃は光速を超える」

「…!?」

「妾は間の超越者、そう間を越える。妾とどれだけ離れていようとその距離は意味を持たぬ」

「ベラベラと喋ってもいいのか!?

竜技・紅蓮!」

シリウスは炎を纏った槍で切り掛かった。

しかしシリウスが槍を振り切った時、月読の姿は目の前から消えていた。

「構わぬ、能力を伝える事で貴様がより妾の照準に恐怖するのだからな」

月読の声は後ろから聞こえた。

「がっ!」

光線がまたシリウスに当たる。

(やばい…このままじゃ負ける!)

シリウスは月読から離れるように飛び立った。

(距離を否定するっても、離れればそれだけ照準は合わせづらくなるだろう)

「ふむ…、なるほど。距離を取れば当たりづらいと考えるのは妥当だ。だが…」

シリウスは月読の方を見て違和感を抱いた。

「あの鏡…あんなにあったか…?」

月読の周りの鏡は一つだったのが数個に増えている。

そして、複数本の光線が不規則に飛び交った。

「!」

シリウスはなんとか避けようとするが、遂に当たってしまう。

「くっ!」

(こうなってはどう突破すれば…)

「どうした?、その程度か?竜人よ。ベテルギウスはそんなものではなかったぞ」

「っ!」

シリウスは月読の元へ素早く近づいていった。

「…そうきたか」

月読は光線を放った。

それは瞬時にシリウスの体に行き着くはずだったが、そこにシリウスはいない。

シリウスは攻撃の直前で軌道外に避けていた。

(鏡のエネルギーの蓄積が見えれば、ある程度はタイミングを予測できる!)

「竜技・蒼氷華!」

冷気と共にシリウスの槍が振り下ろされる。

しかし、それは月読の手中にある鏡によって止められた。

「なっ!?」

「いくら強い技でも、神器は壊せない」

鏡を握っているもう片方の手がシリウスの腹部の近くに置かれた。

「まずい…!」

光線が放たれる。

「っ!」

シリウスは光線に吹き飛ばされた。

「ゲホッゴホッ!」

(強い…、これが超越者の力…。だが、いくらか攻撃を受けて分かった事がある…)

シリウスはゆっくりと立ち上がった。

「そうだ、立て。まだ終わらせはしない」

シリウスはまた、月読から距離を取る。

「無駄なことを…」

月読は鏡を増やす。

「竜技・堕天!」

火球が落とされた。

「…!」

月読はすぐさま鏡を一つに戻して、それを迎撃した。

火球は光線とぶつかり、凄まじい光を伴う爆発を起こした。

シリウスは楕円を描くように爆発を避けながら接近していた。

「…!」

迎撃するにも鏡は一つに戻してしまった。

月読はすぐに鏡を増やして先ほどのように盾として使おうとした。

「その手には乗るか!」

シリウスは月読の手を蹴り飛ばした。

「竜技・紅蓮!」

槍を月読に振るった。

月読は別の所へ飛んだが、わずかに切られ、肩から出血をしていた。

「あんたのその移動も瞬時にはできないんだろ?これの直前に力を溜めてた」

「気づいたか…その通りだ。距離を無視するのには魂の力を使う」

「そして、その鏡」

シリウスは月読の周りの鏡を指差した。

「あんたは鏡を増やせると思ったけど違った。分けてたんだ。鏡の模様、最初はただの円だったけど二つに分かれたら半円になってた。分かれたら力も分散するんだろう」

「…その通りだ」


『神器・月影の写鏡』

月読の神器。

鏡には月の満ち欠けを表した紋様が付けられ、鏡を分けるほど月の形は欠けていく。

最大30まで分散させられるが、30になると紋様は消えてしまい、光線が放てなくなる。

分散させる程、光線の威力は低下する。

逆に鏡が一つの時、紋様が満月を示す時が最も威力が高い光線を放つ。


月読はシリウスに光線を放つ。

シリウスは同じように予測して攻撃を避ける。

しかし、紋様は半月を示していた。

気づいた時にシリウスの頭に光線が直撃した。

「っ!」

シリウスは後方に飛ばされる。

「竜技・竜閃!」

月読はその場から消えた。

(移動した後にすぐ移動はできない、その瞬間を叩く!)

シリウスは辺りを見回した。

「いない…!?」

次の瞬間、シリウスに光線が直撃した。

「なっ!?」

月読はかなり遠方に移動していたようだった。

無意識的に無防備になっていたシリウスに最大限の光線を浴びせた。

「…っ!」

その一撃はかなりのダメージをシリウスに負わせる。

月読は遠くからここまで移動した。

「お前は、魂というものを理解してないな。相手の魂を見るという事が無意識にできていない。魂の抑揚を見れば、敵の大技を察知できる、妾の移動先も見れる。度々お前は行なっているが、それを常にやるのだ。魂は肉体の対の姿ではない。魂が我々の全てを包括するのだ」

「なんで、そんな事を、敵の俺に言うんだ…?」

「お前はベテルギウスにならねば、妾の悲願を成就させられない。その為なら何をしてもいい。妾は修羅の道を歩く。渡月教を使って回りくどい事をしたのも、全てはこの為」

「かぐや達を利用していたのか」

「………然り」

月読の言葉が不自然に詰まった。

「?」

「こんな話はいい、今、妾達は戦いをしているのだ。魂を見ろ、さもなければ貴様に勝ち目はない」

月読はまた目の前から姿を消した。

「くっ!」

(魂…)

シリウスは目を閉じて集中する。

「遅い!」

シリウスは背中を撃たれた。

「っ!」

「もっと早く、貴様の命を奪われたくなければ、もっと必死になれ!」

「っ!」

「竜技・竜魂烈波!」

巨大な力が、周りを大地ごと吹き飛ばす。

「威力に頼るなど…愚か!」

月読はすぐに移動し、そこから離れた。

そうして、シリウスの気配の方向に光線を放った。

光線は間違いなくシリウスに直撃した。

しかし、シリウスはそれを左手で受け止めていた。

「っ!」

「まだ移動先は分からないけど、光線の時の強い魂の力なら見れる!」

シリウスは光線の方向に従って、槍を投げた。

それは月読の右肩に刺さった。

「ぐっ!」

そして、シリウスは槍を追うように駆け、刺さった槍を掴み、それを下に振り下ろそうとする。

だが、一足早く月読が移動した。

月読はシリウスの真上に移動した。

しかし、シリウスは瞬時に上を見ていた。

「!」

それはこの時、シリウスが魂を探り月読の移動先を察知していた証拠だった。

「竜技・竜閃!」

真空波が月読にぶつけられた。

月読はその後、また移動してシリウスから間合いをとった。

シリウスは月読の方を見た。

「…お前の名は?」

月読はそう聞いた。

「シリウス」

「シリウス…お前を認めよう。お前はベテルギウスの域に達した。…よくぞ、よくぞやってくれた!さあ、決着をつけよう!」

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