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天来  作者:
超越者達
53/59

鏡は捕まえた聖職者の首に刃を近づけている。

聖職者の呼吸は荒く、汗も止まらない。

「いいな、俺が合図をしたら俺達ごとあの家を膜で覆うんだ」

鏡が耳元で囁いた。

「わ、分かった…」


「敵の気配がする」

シリウスがそう言った。

「何人だ?」

冥がそう聞いた。

「それは、分からない。でも強い力を持ってる奴が周りにいる」

「そうか」

「多分、この気配は俺達を外に出すためにわざと出してるんだと思う。俺達の場所をここまで割り出した奴らなんだ、そんな事をしてもおかしくない」

「そうだろうな、でもそれでもいい。このままいるのでは無駄だ。素早く敵の方に襲いかかる。それで敵が行動を起こす前に敵を制圧する」

「分かった」

「もし、敵に行動させたら…」

冥がシリウスの方を見た。

シリウスは確かめるように頷く。

冥もそれを見て頷いた。

「行くぞ!」

シリウス達は素早く飛び出した。


鏡はそれを見た。

「今だ!」

鏡はそれを見てすぐに前に飛び出した。

そして、大きな膜がシリウス達とその周辺を包み込んだ。

「1人見つけた!

竜技…」

シリウスは鏡に近づいて技を打とうとする。

「おっと、怖い怖い。それ以上近づかれると、怖くてたまらんなぁ」

シリウスは後ろに引き寄せられるように飛んでいった。

「…!?」

「シリウス殿!?」

シリウスの方を見て隙を晒した冥の周りに糸が巻き付けられた。

「くっ!」

「驚く程上手くいったわ」

横から千手が出て来た。

「先手を取られたか…、かまいたち!」

冥は糸を風で切り、シリウスの方に飛び去った。

「くそっ、なんだあの能力」

随分遠くにシリウスは飛ばされてしまった。

「シリウス殿!」

冥が駆けつけてきた。

「冥…」

「敵は、少なくとも2人…」

冥がそう言いかけると、シリウス達に吹雪が襲いかかった。

「これは…?」

シリウスが冥に聞いた。

「3人目だ…!」


「敵は、2人?」

かぐやは鏡に聞いた。

「出て来たのは2人さぁ」

「他には…?」

「結界内に動いてる奴はいなさそうだけどなぁ」

「なら、お前達は竜人達を拘束しろ」

「分かったさぁ!」

「承知しました!」


「一旦遠ざかろう!」

冥はそう言った。

「あぁ!」

シリウスもそれに同調した。

シリウス達は敵から離れていったが、とある場所で壁のような物にぶつかった。

「これは…結界?」

「…っ、冥!」

吹雪に紛れて、糸が飛んできた。

「塵旋風!」

凄まじい風が糸を切り裂いた。

すると、急に異様にシリウス達の体が重くなった。

「なんだ、これはっ!?」

体の自由を奪われる。

「羽をもいだ鳥って感じさぁ」

誰かの声が聞こえてくる。

「舐めるなよ、竜技・堕天!」

高エネルギーの物質が放たれた。

高温のそれが周りの雪を溶かした。

しかし、敵には当たらなかった。

「狙いが甘い攻撃なんて、簡単に避けられますわ!」

また別の声が聞こえる。

吹雪がすぐに新しい雪を積もらせる。

「はぁ…ぁ…」

体が震える。

「寒いだろ?体温と視界を奪う吹雪さぁ。あんたらに勝ち目はない、諦めなぁ!」

体の重りがさらに強まる。

「…!」

「終わりね。竜人といえど、こうなってしまってはさほど脅威ではないわ」

千手は2人を見つめてそう言った。

そうして、少しずつ近づき、糸を巻き付けようとする。

…その時、結界が破れた。

「待てっ、千手!」

「!?」

空から何かが降って来た。

千手は咄嗟に後ろに引いた。

しかし、腕を斬られていた。

「刀傷…誰が…?」

鏡は千手の腕を見て、困惑する。

鏡は前を見た。

「お前達が、シリウス殿と兄上を狙う者達か…!」

そこには刀を鏡達に向けて立っている彩の姿があった。


「シリウス殿、敵の思惑が分かった」

冥は二つ目の氷の柱から戻った時、そう言った。

「なんだ?」

「奴らの目的はこちらの位置を特定する事だ。二つの柱からこちらの位置を割り出す」

「所定の位置に俺たちを誘き寄せるためじゃないのか?」

「それならば、数日も時間をおいて考えさせる時間を作るのは不自然だ」

「そうか…」

「やはり、彩を島に残しておいて正解だった。敵はこちらを取り囲んで無力化するつもりだろう。彩をその外側から攻め込ませて逆に挟み撃ちにしてやる」


(挟み撃ちにはならなかったが、窮地は脱した…!)

「彩、来てくれたか!」

「えぇ、兄上の言う通りに!」

その言葉を聞いて、千手は動揺した。

「言う通り…?奴はかぐや様の思惑を予測したのか…?あってはならぬ、かぐや様の策略が敵の掌の中に収まるなどあってはならぬ!」

千手は糸をシリウス達を覆うように、伸ばした。

「やめろ、千手!」

鏡が止めるも間に合わない。

「百花繚乱!」

数多くのかまいたちが襲いかかる糸を切り裂いた。

そして、千手の方に飛んでくる。

「なっ!?」

鏡が千手の前に素早く飛び出し、かまいたちを切り伏せた。

「くそ〜あいつ、やるなぁ」

「ご、ごめん。鏡、平静を欠いた」

「分かったらいいさぁ」

鏡が彩をみると、左腕に聖職者が持ち上げられていた。

(刀で脅して、結界を解かせたのか…)

「苦戦しているようだな」

かぐやが後ろから歩いて来た。

「かぐや!」

「かぐや様!」

鏡と千手がかぐやの名を呼んだ。

シリウスがそれを聞いた。

「かぐや…やはりあいつが間の超越者!」

「竜人よ、ここは一旦やめにしよう」

かぐやはそう言った。

「…?」

「私達の決戦の日は十日後の満月の夜だ。北に城を築いて待っている。もうこんな小細工もない。正真正銘の真剣勝負だ」

「…分かった」

「行くぞ、千手、鏡」

かぐや達は静かに立ち去った。

「逃すかっ!」

彩はかぐや達を追おうとした。

「行くな、彩!」

冥がそれを止めた。

「兄上…」

それを聞いて、彩は留まった。


「よかったんですかい?あの女が出て来ても、こちらの方が有利だったでしょう」

鏡はそう聞いた。

「…月のお望みだ」

かぐやはそう答えた。

「へぇ、お月様ねぇ」


「最悪の事態は避けれたが、してやられたな」

シリウスはそう言った。

「この借りは返さねばな」

冥はそう言った。

「私も、シリウス殿と兄上をここまで傷つけた連中を許してはおけません!」

彩も怒りを露わにする。

「待ってろよ、渡月教…!」

シリウスは決意を堅くする。

刀恐怖症確定!

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