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天来  作者:
超越者達
51/60

夜を超えて

「あれは…竜人か?」

何者かが、ヂェリアとシリウス達の戦いを見ていた。

「竜人ならば、倒さねばならぬ。かつて妾を倒した、奴と同じ竜人を…!」


「そういえば、どうして2人はここに?」

シリウスは彩と冥に聞いた。

「えぇ、久しぶりにシリウス殿にお会いしようと思いまして」

彩はそう言った。

「私は飛べない彩を連れてきたまで」

冥はそう言った。

「そうか。…なぁ、少しの間、俺と組まないか?」

「どういう事だ?」

冥はシリウスにそう聞いた。

「俺は今、渡月教ってのを探っているんだけども、万が一戦闘になった時、多対一はきついからね。仲間が欲しかったんだ」

「なるほど…」

冥は彩の方を一瞬だけ見た。

その一瞬でも、彩の顔はやる気と覚悟に満ち溢れていた。

「…分かった。私達も協力しよう」

冥はそう言った。

「助かるよ」


吹雪の中で孤独と共に建つ、氷の屋敷の中にかぐや達は住んでいる。

「千手、鏡。任務よ」

かぐやは2人にそう言った。

「はい、なんでございましょうか!?」

千手はすぐさま、かぐやの方に向かった。

「へぇーい」

鏡はやる気のない返事をした。

「竜人を倒せ」

「はぁ、竜人?」

鏡は急にそんな事を言われたので困惑している。

「そうだ」

「どうやって?」

「奴も私達の事を探っているようだ。何か事を起こせばそこに寄ってくるのは確実だろう」

「ふーん、そんな上手くいくかなぁ?」

「お前達の仕事ぶりにもかかっているんだぞ」

「私は、当然かぐや様のために働く所存、この気持ち揺らぐ事はございませんわ!」

千手は威勢のいい応えをした。

「千手はやる気のようだ。鏡は…?」

かぐやはゆっくりと視線を鏡に向ける。

「はいはい、俺もあんたの仲間なんだ。やる時はやるさ」

「じゃあ、始めようか」

かぐやはそう言った。

「それで、どうするんだい」

鏡はかぐやに聞いた。

「氷の建造物を二箇所に作ろう。私達の事を探っている奴らなら寄ってくる」

「他の奴を呼ぶのはまずいんじゃないかぁ?」

「これの目的は奴の居住地域を絞る事だ。竜人は空を飛ぶから建造物を立てれば一直線に来る。違う場所に二つの建造物を作れば、来た方向との直線の交点が奴の居住地域だ」

「ふーん、なるほどねぇ」

「そこに、吹雪を起こす。逃げられないように結界術を使って奴を囲う」

「でも私達、結界術なんて使えませんよ?」

千手はそう言った。

「そんなものはどこかの教会から結界術を使える人間を取ってくればいい」

「って事は…!」

千手は期待に満ちた顔をする。

「お前達に任せよう」

「やったー!」

千手は元気にはしゃいでいる。

「しかし、決して殺すなよ」

「なぜ?」

鏡がかぐやに聞いた。

「いらぬ痕跡を残すのも面倒だ。それに…」

「?」

「渡月教を血にまみれた物にしたくない」

(いつか、みんなと一緒に行くのだから)

「…変なの」

鏡はかぐやの意図がよく掴めなかった。

「とにかく、あなた達は早く結界術が使える人間をとっ捕まえてきなさい。私はおびき寄せる餌を作っておくから」

「あいよ〜」

鏡と千手はそう言って、どこかへ行った。

「さぁ、私も始めようか」


「シリウス殿」

冥がシリウスを訪ねてきた。

「冥?」

シリウス達が、協力体制を築いてから数日経った。

その時、ある地点に巨大な氷の柱が出現していた。

「これは、私たちを誘っているのだろうか?」

「分からない。でも、もし渡月教の奴らが俺たちに気づいているなら、間違いなくこれは罠だ」

「えぇ、そうでしょうね。しかし、どうするか…?」

冥はそう尋ねた。

「…行動を起こすべきか、もっと慎重になるべきか」

「…なら、私がそこに向かおう。罠だとしても私の速さなら逃げ切れる可能性が、少なくともあなたよりは高い」

「確かにその方がいいか」

「あと一応、私はあなたのそばにいた方がいいでしょうね」

「あぁ、そうしてくれ」

「では、私はこれで」

そうして、冥はその氷の柱へと飛んでいった。


冥はしばらく飛行し、目的の氷の柱に着いた。

「まさに、氷の柱だ」

氷の柱は明らかに偶然出来たとは思えない程、正確な円柱だった。

加えて、円柱には実際に屋敷などに使われていたと錯覚する程の装飾が施されていた。

「やはり、これは人工物。私達に向けられた物か…?」

冥は空を飛びながらそれを眺めている。

「敵は、何もして来ない?」

冥は不意の攻撃に細心の注意を払っているが、誰も冥に害を及ぼす者はいなかった。

「…」

奇妙に思いながらも冥はシリウスの家に戻っていった。

「…ふふ」

その様子を影で眺め、かぐやは微笑んだ。

やっぱ、冥は敬語じゃない気がする。

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