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天来  作者:
超越者達
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過ぎたお遊び

「エデンは戦闘形態にもなれるんだよ」

そうヂェリアが言うと、エデンは舞台を折り畳むように変形しだした。

「っ!」

舞台の上に立っていた彩は挟まれないようにそこから逃げた。

「天風」

空中に飛び出した彩を冥は下から風を吹き上げる事で空に浮かべた。

「ありがとうございます、兄上」

やがて、エデンは球体状になり、それを幾つもの手が包み込んでいる。

そして、翼が空に飛ぶ力を与え、中心に巨大な目を覗かせる。

「これが、真のエデンだ」

次の瞬間、目から強烈な光線が放たれた。

「避けろ!」

シリウス、冥は自力で避け、彩は冥の風操作で押し出されるようにして避けた。

そして、間髪入れずに球体の表面から無数の光線が放たれた。

「くっ!」

シリウスは彩の方へ飛んでいき、彩を抱えて光線を避ける。

「すまぬ、シリウス殿!」

冥はシリウスにそう言った。

「シリウス殿、私を一度上に投げてください」

「?、わ、分かった」

シリウスは彩を上空に投げ上げた。

「千年晩華!」

百花繚乱よりさらに高密度のかまいたちがエデンに切り掛かる。

「へぇー、中々数が多い。でも、僕の天使様はそんなんじゃ倒れないよ」

光線がいくらかかまいたちを相殺し、残りは全て手が防いだ。

「ちっ、遠距離では分が悪いか」

そう言ってそのまま彩は落ちていった。

「っと、危ない」

シリウスはまたその彩をキャッチした。

「どうにかして、奴に近づかねばなりませんね」

彩はそう言った。

「どうにかってなぁ」

無数の光線の弾幕をすり抜けてエデンに近づくのは、誰が見ても難しいものだ。

「なら、シリウス殿、あなたはエデンの方へ全速力で飛んでいけ!」

冥はそう言った。

「どう言う事だ?」

「私に考えがある。信じてくれ」

「…あぁ!」

シリウスは冥の言う通り、エデンへ一直線に飛んでいった。

「あいつら、何をしてるんだ?死にたいのか?」

ヂェリアは一見、常軌を逸した行動に驚きを見せる。

「まぁ、いい。死なない程度に楽しんでおくれよ」

無数の光線がシリウス達に襲いかかる。

「神風!」

冥がそう唱えると、シリウスの背後から猛烈な追い風が吹きつける。

「何!?」

そうして、風に乗ったシリウスは光線を振り払いエデンに近づく。

「くそ…まだだ!」

シリウス達の目の前に構える巨大な目がまた力を貯め始める。

「シリウス殿、また私をあそこに…」

「大丈夫か?」

「無論でございます!」

「分かった!」

シリウスはそうして彩を目の方に投げた。

追い風とシリウスが投げた力が合わさって、凄まじい速度で目に近づく。

「切り伏せ、消し去る!空花乱墜!」

彩は勢いに身を任せ、そのまま目を粉々に切り刻んだ。

「嘘だろ!?あれを…」

シリウスはエデンの上空に飛び立った。

「竜技・堕天!」

シリウスの技でエデンを守る手の大半が砕かれた。

「っ!」

「トドメだ、

竜技・竜閃乱舞!」

真空波がエデンを粉々に砕いていった。


「…あぁ、もうパレードは終わりか」

粉々になったエデンの残骸の中でヂェリアはそう呟いた。

「あ、見つけた!」

シリウス達はヂェリアの方に駆け寄ってきた。

「ん?」

ヂェリアはそんなシリウス達を見た。

「ったく、過ぎたお遊びだな!」

シリウスはそう叱った。

「…そうだな」

ヂェリアはエデンを活き活きと操っていた姿と対照的に、すっかり無気力になってしまっている。

「…」

そんな様子を見て、シリウスの苛立ちは別の感情に置き換えられてしまった。

「もう、すっかり興が冷めたよ。僕は森に帰る」

そう言ってヂェリアはどこかへ行ってしまう。

「待って…!」

シリウスは彼を止めようとしたが、言葉はヂェリアと共に闇に消えていった、


ヂェリアが暗い森の中を歩いていると、子供が座り込んでいるのに気づいた。

「ひっ…!」

子供は随分と怯えているようだった。

「…坊や、どうしたんだい?」

ヂェリアは少しぎこちない様子で言った。

「…」

子供は黙ってしまっている。

「…僕は、怖くないよ。迷っちゃったの?」

子供はゆっくりと頷いた。

「そうか、じゃあ僕が案内するよ」

「…暗いの怖い」

子供はか細い声でそう言った。

「…少し待ってて」

ヂェリアは足元を探って、石ころを見つけると灯りに変えた。

「これで、怖くないね?」

子供は少し生き生きとして、頷いた。

(この近くで村はあそこかな?)

ヂェリアは子供を連れて記憶を頼りに村の方へ向かった。

「…ここ?」

しばらく歩いて村の明かりが見え始めた所で聞いた。

大人が子供を探している様子だった。

「うん…!」

「じゃあ、行っておいで」

ヂェリアは子供の背中を押した。

子供を大人は見つけた。

大人達は子供の方へ駆け寄った。

しばらくして子供が自分を案内した人を紹介しようと後ろを振り返るけど、そこには誰もいなかった。

ヂェリアはとっくにそこから去り、夜の森を歩いている。

足元の小石を手に取ってそれを灯火に変えた。

「ははは…」

それを見て、ヂェリアは乾いた笑いをあげるのだった。

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