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天来  作者:
光と闇
21/101

まとも?な日常

ここに意気揚々と歩いている人が1人。

彩だ。

彼女は創想からシリウスの家の場所を聞きつけ向かっている。

そして、もう1人、別の方から駆けている人が1人。

アレスだ。

彼はシリウスに戦いを挑みに参上するつもりだ。

同じ目的地に向かう2人が道中会うのは必然。

「!」

「!」

お互いしばらく見つめ合った。

そして、何事もなかったかのように一歩踏み出す。

が、向かう方向は同じ。

「!」

「!」

お互い警戒しながら向かい合う。

「お前は何者だ?」

アレスがそう問う。

「あなたこそ、何者?」

彩は問い返した。

「俺はこれからあいつの元に勝負をしにいく、アレスだ!」

「勝負…?」

彩の目つきが変わる。

「そうだ」

「誰と?」

「誰ってあんたもシリウスに用があるんだろ?わざわざ聞かなくても…」

「シリウス殿に害をもたらすものは何人も許さん!」

彩は刀を振り払い斬撃を飛ばした。

「えっ!?」

アレスはギリギリ避けて頰を掠る程度の傷に留める。

「避けたか、しぶとい奴め」

「よく分かんないけど、あんたも俺と勝負したいみたいだな。いいぜ、受けて立つ!

と、その前に…」

「…?」

「護符ガチャ!今日は何が出るかなっと…おっ再生の護符か今日一日は傷がよーく治る。中々ついてるなぁ…」

彩はまた、斬撃を飛ばした。

アレスは剣で受け切った。

「!」

「あんた鬼だな、しかも少し天狗の血が混じってる。」

「何故それを…!」

「そして、その斬撃はかまいたちか。神速の風、ね」

「っ!」

彩は自分の芯を見つめられる事の気味悪さを掻き消すようにかまいたちを何発も飛ばす。

「甘いね、憑依の札」

アレスは札に魔力を込めた。

すると、斬撃がアレスの右肩、左の二の腕、右足を切り裂く。

しかし、その傷は彩に刻まれる事になる。

「くっ!」

憑依の札は任意の相手にダメージを受け負わせる事が出来る。

「勝負ありかな?」

彩の目はまだ戦意を失っていない。

「負けない!」

彩はアレスとの距離を詰める。

「…まだ、やるか」

彩もただ無策で突っ込んだ訳ではない。

(あの札さえ切れれば…)

狙いはアレスの持つ札。

素早い動きでアレスの手から札を奪い取った。

「早い…!」

彩は札を二つに切り落とした。

「札は魔力を込める器。切り落とせば効果は無くなる」

「ああ、その通りさ」

彩はアレスに切り掛かった。

アレスは剣を構え、迎え撃つ。正面からの攻撃は剣で塞がれてしまう。

「ならば…!」

彩はアレスを飛び越えた。

「!」

「はぁ!」

アレスの背中を彩は切った。

が、血飛沫は彩の背中から飛び出した。

「馬鹿…な…」

彩はそのまま地面に叩きつけられる。

アレスは胸元から札を取り出した。

「負け筋はできるだけ潰しておくものなのさ」

アレスは彩の刀を砕いた。

「!」

彩は絶望の表情を見せた。

「ようやく、戦う気は無くなったか?」

「うぅ…」

彩の目から涙がポロポロと溢れてくる。

「お、おい!泣く事ないだろ?これじゃあ俺が悪者みたいじゃないか」

「っ………」

彩の涙は止まる気配がない。

「だぁーもう、仕方ねえ。こいよ」

「?」

「刀、作り直してやるから」

「え?あ、うん」

彩はそのままアレスの武器屋について行った。


「ほらよ」

アレスは彩に新しい刀をプレゼントした。

「ありがとう」

「特別にダークマターを使って、折れてもしばらくすれば元通りだ」

「そんなものが…!?」

彩は驚きの表情を見せた。

「俺を褒めてもいいんだぜ?」

「お前すごいな!」

「あ、ああ、そう、それほどでも」

アレスはあまりにも正直な返答に困惑した。

「そういえば、あんたシリウスに用があったんだろ?」

「はっ!そうだシリウス殿にお会いしに行くんだった。」

「殿って、俺とはえらい違いだな」

「当然だ、シリウス殿は私の婚約者だ!」

この時の彩は、相当早とちりした事を言っている。

「え、あいつ結婚すんの!?」

そして、それをよりにもよってアレスに言ってしまった。


「ふーん、いいこと聞いたなぁ」

アレスは武器屋の中で誰かに話そうとウキウキしている。

だが、今日は生憎誰も来ない。

「はぁーー、俺の人気のなさはなんなんだぁ?」

アレスは気落ちした様子で外に出た。

「あぁー、やってらんねぇよ。シリウスは面白い事になってんのによー!」

しかし、そこで彼女が来てしまう。

「あなた、なんて言ったの?」

タナだ。

「ん、天使か?」

「そうよ、シリウスの友達なの。」

「そうか」

「で、今なんて?」

タナが興味津々そうな、少し悪そうな顔をして言った。

アレスも面白そうに

「ああ、あいつ結婚するらしいんだよ」

と、言った。

「えぇー!あいつが!?これは大ニュースね、みんなに伝えてくるわ!」

「おう、頼むぜ!」

噂は風のように飛んでいくものである。

タナは一直線にヴェルタナ邸に向かった。


「ヴェルちゃーん!いる!?」

タナは窓を開けて勢いよく入っていった。

しかし、ヴェルタナはいなかった。

「あら?折角面白い話をしようと思ったのに…」

そこで、大きな音を聞きつけ駆け寄ってきた足音が聞こえてきた。

「あっ、誰かいるの?」

しかし、その再会はあまり喜ばしいものではないかもしれない。

クロが駆けつけてきたのだった。

「あ、あんた…」

「あの時の天使さん…?」

タナはクロの方に飛んでいった。

「あ、あんたぁ!あの時の…」

「ご、ごめんなさい!」

「え?」

タナが言葉を言い切る前にクロがそんな事を言うから、非常に戸惑った。

「あ、あの時は…その…」

クロは緊張した様子で喋っている。

「あ、あんた、誰よ…。はぁ、怒りをぶつけようと思ったけど、これじゃあ…ね」

タナはどこか歯痒い感じを抱きながら、その葛藤を諦める事にした。

「…」

「あ、そういえば」

タナは本来の目的を思い出した。

「何?」

「実はね…」

タナはシリアスについての事を言った。

「そうなの?」

「えぇ、どうやらそうらしいのよ」

「これは、中々…。うん、ヴェルタナさんに伝えておくよ」

「ありがとね」

タナは満足そうにヴェルタナ邸を出ていった。


しばらくして、ヴェルタナとケイン、シロが買い物から帰ってきた。

「もうー、みんな遅いよ。待ちくたびれたじゃないか」

クロはそれを見てすぐに駆けつけてきた。

「はいはい、ごめんなさいね」

ヴェルタナは軽くクロを落ち着かせる。

「まあ、いいや。面白い話を聞いたのさ」

「?」

三人はクロの言葉に興味を示した。

「実は…」


「ええ!?」

ヴェルタナ邸に驚きの渦が巻き起こった。

「いやぁー!!あの人が結婚なんて…!!」

一番盛り上がっているのはケインだ。

「そうよ、そうよ!あんな恋なんて知らないみたいな顔して!」

シロもそれに乗っかる。

「やっぱり、大人ってこういう話が好きなんだね」

その様子を見ていたクロはヴェルタナに言った。

「あの子達も年頃だからね…」

ヴェルタナは何か悟っているかのように言った。

「ヴェルタナさんも恋した事あるの?」

「あぁ………あるわよ」

ヴェルタナはどこか含みを持たせるような沈黙を挟んだ。

「?」


噂はどんどん広がっていった。

「…おかしい」

シリウスは疲弊しきっていた。

色んな人から急に祝われたり、くすくすと笑われたり、終いには街に訪れただけで人々からの視線が集まった。

「……おかしい…」

そんな時、

「あーら、結婚記念のシリウスさん!」

タナがからかいに来た。

「タナ、俺が結婚ってどういう事だ?」

シリウスが不思議そうに聞いた。

「え、あんた結婚するんじゃないの?」

「誰が、そんなことを…?」

「アレスって人から聞いたんだけどなぁ」

「アレス…?」

シリウスがその名前に反応した。

「そうよ、彼が私に言ったのよ、シリウスが結婚するぞーって。だからてっきり…」

シリウスは話を遮るように飛び立っていった。

「あ…、なんかヤバいかも」


「ふぅー、今日はもう店じまいだな」

もうすっかり日が暮れようとしている。

アレスは今日一日の頑張りを労うように、外に出て体を伸ばした。

「にしても、今日は面白い日だったなぁー」

「何が、面白い日だって?」

「…!」

アレスの背後から聞き覚えのある声がした。

恐る恐る後ろを振り返る。

そこには恐ろしい形相のシリウスがいた。

「よ、よぉ、な、なんか用かい?」

「よくも、よくも、根も歯もない噂を立ててくれたな!」

「ち、ちょっと待て…」

「問答無用!」

「ぎゃああああああああああああ!」


翌日、リゼアがアレスの店を訪ねた。

「訪ねてきたわよ…フッ」

アレスは額を包帯で覆っていた。

「笑うな」

「だって…ねぇ」

リゼアは笑いを堪えられない様子だ。

「…ほっとけ」

アレスは鬱陶しそうに額の包帯を掻いた。

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