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天来  作者:
2/7

大地に降り立つ

「ここが…大地…!」

心地よい風を受け取りながら、シリウスが声を漏らした。

「…お!そこだ、そこに下ろしてくれ」

アレスが指差した先には森の中にひっそりと佇む小さな家があった。

「あれ?分かった!」

シリウスはその方に向けて一気にスピードを出した。

「っ!シリウス?ゆ、ゆっくりでいいぞ」

しかし、シリウスは聞く耳を持たずスピードを上げ続ける。

「ぎゃーーーーー!」

そして、家の前で着陸した。

「ふー、着いたー」

アレスは地面に倒れ込んでいる。

「お、お前には、二度とパイロットは頼まん」


「さあ、中に入りな」

アレスに案内され中に入ると、色々怪しげな壺や杖などがずらりと並べられていた。

「何これ?」

「ふふーん、何を隠そうこの俺、ここらじゃ名の知れた武器商人なのさ!」

シリウスは色々と商品を見て回っている。

「この杖とか変な形…」

「聞けーーーーー!」

その時ドアがカランと軽快な音を立て、客を出迎えていた。

「おっ!」

その客はこれまたこの店に来そうな怪しげな雰囲気を醸し出す女性だった。

「よっ、リゼアいらっしゃい」

「さっき杖が折れちゃって、前と同じの頼める?」

「はいよー」

シリウスはリゼアと呼ばれた女性をまじまじと見ていた。

その視線に気づくと

「あら、この子は?見ない顔だけど…」

「ああ、こいつはシリウスって言うんだ。竜人だよ」

「へぇ、珍しい。そう、竜人?へぇ…」

リゼアは不敵な笑みを浮かべた。

それを見て、シリウスは唐突に嫌な予感がした。

「ほい、お前のお待ちかねの杖だぞー」

2人の異様な雰囲気を崩すようにアレスが言った。

「ああ、ありがとう。…やはり、あなたの作る物じゃないと駄目ね」

リゼアは杖を手に取って、そう言った。

「そりゃどうも」

「アレスの作る武器ってそんな良いのか?」

シリウスがアレスに聞いた。

「当然さ、何故なら俺の目は特別なんだ。

目を通して、あらゆる対象の情報を視ることができる。例えば、お前の名前とかな」

「あ、そういえばお前に名前教えてなかったや」

「それもこれも全てこの目のおかげさ。」

「さ、あなたの自慢話もこのくらいにして」

リゼアが割って入った。

「この子少し借りてくわよ」

「なんで?」

「だって、竜人を見れるなんてこんな事滅多にないのよ?だったら、ねぇ?」

リゼアはまた不敵な笑みを浮かべた。

それを見てリゼアは色々と察した。

「あー、なるほど。また、お前の趣味か。」

「まあね」

「シリウス、どんまい」

「…?」

シリウスの背筋に嫌な物が走る。

「じゃあね」

リゼアはシリウスの手を掴んだ。

その瞬間に別の場所に飛んでいた。

「???あれ、ここは?」

「私の魔法で飛んだの、やっぱこの杖はいいわね」

飛んできた先は同じく森の中の小さな家だが、アレスのところとは文字通り空気の色が違う。

紫色の奇怪な空気が辺りに充満していて、鼻をつくようなきつい香りもする。

シリウスの不安は加速していくばかりであった。

「私はここで趣味で、薬とか、魔術の開発とか、色々やっててね。」

シリウスが中に入ると、そこの中は同じく奇怪な空気が蔓延している。

「こことかは、薬を作る部屋だからこんなだけど、魔術の研究部屋はまだまともよ。そして、この奥の部屋に入ってもらいたいのだけど…」

「は、、、はい」

その中は手術室のようなところで、本当にさっきまでの異様な雰囲気ではなく、いくらか空気が綺麗なところだ。

「拘束魔法、バインド」

リゼアがそう唱えるとシリウスの周りに鎖のような物が巻き付いた。

「っ!取れない!」

「怖気付かずに部屋に入ってくれたのはいい子ね。まあどっちにしろ縛ってたけど。

私ねコレクターもやっててね、いろんな種族の生物の素材を手に入れたいのよ。

竜人なんて初めて見るのよね。だから鱗をちょっとだけ剥がさせて頂戴?」

「に、ニャーーーーーーー!」


「ただいまー」

「リゼア…帰ってきたか。」

「見てみてー竜の鱗!レア物!」

リゼアに連れて帰られたシリウスは魂が抜けたようになってしまった。

「…御愁傷様」

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