行動
それから三日間ら俺は周りに住んでいる霊達に何とか銭湯を守るのに協力してはくれないかと頭を下げて回った。結果は誰一人として首を縦には振ってはくれなかった。
諦めずにもう一度お願いして回ろうと外に出るとそこには鈴木さんが立っていた。
「おはよう佐藤くん!少しだけお話があるんだけどいいかな?」
話を聞いたところによると鈴木さんの取り巻きの一人にお願しているのを聞かれてしまっていたらしく問い詰めに来たらしい。
「俺もそんなことはないと思ってるんだよ?こいつが聞いたって言うもんだから本当なのか佐藤くんの口から直接聞きたいなって。」
鈴木さんは俺の口から『そんなことは言っていない』と言わせたいのだろう。一度でもその言葉を口にした瞬間、俺は鈴木さんの行いを黙認したことになってしまう。俺は覚悟を決め口を開いた。
「……その人が聞いたことは事実です。鈴木さん!お願いです!もう女湯に入るのを辞めてください!女湯には大人だけではなく子供も入っています。何より三浦さんの奥さんへの思いを汲んであげてください!」
誰にも協力してもらえなかった俺にはこれくらいしかできることはないので俺は何とか辞めてくれないかと土下座をした。
「佐藤くんの言いたいことはよくわかったよ。佐藤くん顔をあげてくれ。」
鈴木さんは土下座をしている俺の前に立つとそう言い放った。
「鈴木さんありが……!」
俺が顔を上げると鈴木さんの前足が俺の顔面を捉えた。