8話 いざエルフの町へその3 (颯太 アセビ)
女神ミラからガチャで職業が決まる世界に召喚された颯太は自分の職業ガチャを引きなんと勇者を引いてしまった。
それにより勇者になった颯太はナビゲーター兼サポート役のアセビと共に世界のクリアを目指すように言われたのであった。
最初のダンジョンのクリア報酬ガチャでなんとミラを引いた事で仲間になったミラ、アセビそして颯太は次の町ルーンタウンへ向かうことにした
ミラとはぐれてしまった俺とアセビはその場に立ち止まりどうするかを話し合っていた。
「いつミラとはぐれたんだ?」
「恐らく颯太様が別の所に行こうとした時だと思われます。」
あの時か…俺はアセビが腕を掴んでくれたから、なんとかなったがミラは後ろにいたので気付かなかった。
「何処に行ったか分かれば良いのですが…」
「気配を探れないのか?」
「『幻惑魔法』の影響で探れないです」
思った以上に厄介な魔法だ、しかしここでずっと立ち止まってる訳にも行かないので取り敢えずミラを探すために歩いて来た道を引き返した。
アセビはまたはぐれないようにと言って、俺に腕を掴ませ並んで歩いていた。
俺はちらっと横を見ると何故かアセビの顔が赤くなっていた、熱いなら腕掴むのを止めようかと聞いたら、アセビはそうしたら俺がはぐれるから駄目ですと腕を離すのを拒んだ。
「信用されてないな~」
「そんなことないですよ、ずっと近くに居て欲しいだけです…」
と小さく呟いたアセビに
「ごめん聞き取れなかったんだけどなんて言ったんだ?」
「なんでも無いですよ、早くミラ様を見つけないと」
「そうだな、アセビもう少し早く歩けるか?」
「はい大丈夫です」
俺とアセビは少し歩く速度を速めた。
暫くするとアセビが立ち止まり少し慌てた様子で話しかけてきた。
「颯太様、どうやら何かがいるみたいです」
アセビがそう言うと目の前に青い毛皮に所々金の毛が混じっていて額に『ᚾ』の傷がある巨大な狼が現れた
「あっあれは、神秘の狼この森の守り神と言われる狼です。ですが…」
アセビが何かを言いかけた瞬間、ルーンウルフが攻撃をしようとしてきたので俺達は後ろに避けた。
そして火炎剣を抜いて戦闘態勢に入ろうとしたらアセビが
「颯太様、ここは私に任せてください」
「大丈夫か?俺も戦うぞ」
「いえ、少々気になる事があるので私1人で大丈夫ですそれに颯太様のレベルでは多分勝てないので後ろに下がっていてください」
勝てないと言われ少し落ち込みながらアセビの戦いを後ろで眺める事にした、俺が離れたのを確認したアセビはルーンウルフに向かって行った。
「澄み渡る波紋より水の精霊を呼び起こし、静謐なる水流を操り、その流れを瞬間的に鋭利な刃と化す。水晶の輝きを纏いし水剣よ、刹那にして鋭き斬撃を放て!」
『アクア・スラッシュ』
水の攻撃魔法を繰り出したがルーンウルフにはダメージが無いようだ、それを確認したアセビは続けて詠唱を始めた。
「稲妻とともに煌めく雷の精霊よその力を持って敵をなぎ払え」
『サンダースピア』
水の魔法で濡れた所に雷の魔法を使い威力を倍増させたのか流石だなと思っていたがどうやら攻撃は効いてないようだ。
「このルーンウルフはそんな攻撃なんて効かないわよ」
何処からともなく声が聞こえてきた。
「やはり、そうですか…颯太様このルーンウルフは魔法で作られた偽物です。このタイプの魔法は作られた生物に攻撃能力は無く敵を威圧する目的で使用され、更に攻撃は効かないので盾としての役割もあるので近くに術者がいると思われます。」
「げっ…バレた」
そう言いながら木の影からエルフの少女が出て来た。
俺は少女から目が離せなかった白髪短髪で右目が黄色、左目が青色のオッドアイのエルフでまさにゲームやアニメのキャラだと思わせる程可愛かったからだ。
「ちょっと~あんたなんで見抜けたのよ~」
「最初に違和感があったのはルーンウルフの額の傷が違っていたことです。そして、攻撃が効かないことで確信しました。」
「やっぱり私の魔法じゃ本物は作れないか~」
少女はがっくりしてルーンウルフを消した。
アセビは少女にどうして魔法をこんなことをしたのかと聞くと少女は俺達に助けを求めた
「私の名前は『ルア』、お願い私と旅をしている『ソル』という子とはぐれてしまって一緒に探して欲しいの」
「私たちもちょうど人を探しているので一緒に行きますか?良いですよね颯太様。」
「そうだな一緒に探すか。俺は颯太よろしく」
「ありがとう」
俺とアセビはミラを、ルアはソルを探す為に一緒に行動をする事にした。
俺は森を歩きながらルアに色々と質問をした
どうやらルアとソルは半妖精族でルアの職業はヒーラー、ソルは魔法使いらしい。
基本はソルが戦闘でルアはサポートをしているようだ、彼女も魔法を使えるがヒーラーなので回復魔法とさっきのルーンウルフを作り出す魔法しか使えないと言い、この森に満ちている幻惑魔法もソルの力だそうだ。
ソルの魔法はルアには影響を及ぼさないらしいので幻惑魔法を使われていても彼女には問題なく森を進めると言っていたが何故なのかはわからないらしい。
今度はルアが俺に質問をしてきたの
「ねぇ、貴方と彼女の職業って何なの?」
「俺は『勇者』でアセビは確か『ナビゲーター』って言ってたかな」
「職業が勇者って珍しいね、それにナビゲーターって職業は初めて聞いたわ…あなた達って何者なの?」
「俺は『異世界』から『召喚』された人間でこの世界に送られる前に女神ミラ様からアセビと旅をするようにって言われたんだよ」
「まさか…異世界人だなんて驚いたよ~本で読んだ事あるけど異世界から来た人って『クリア条件』っていうのがあってそれを達成したら願いが叶うんだよね颯太の条件って何なの?」
「俺のクリア条件は『魔王を4人倒す』事だ、まだまだ無理だけどな」
「ふ~ん、それは難しい条件だけど頑張ってね」
そんなことを言いながら歩いていると目の前に小さな洞穴がありアセビが何かに気付いたようだった。
「颯太様、ルアさんこの中に人の気配が2つあります。」
俺はアセビに幻惑魔法の影響で気配を感じれないのでは?と聞いたら近くにいる人の気配は感じ取れると言った。
「取り敢えず入ってみるか」
俺達3人は洞穴の中に入っていった中はこの前入ったダンジョンより狭かった。
150メートル程歩いた所でアセビがこの奥に
人が居ると言ったので進んだ、奥にいたのはミラとルアにそっくりな子がいた。
「颯太~アセビ~やっと会えた~怖かったよ~」
ミラは泣きながら俺とアセビに抱きついてきたアセビがミラを慰めているとルアが
「ソル何処に行ってたのよ心配したんだから」
「ごめんなさいお姉ちゃん」
「お姉ちゃん?姉妹だったの?」
「言ってなかったわね右目が青色で左目が黄色のこの子は双子の弟のソル私より魔力が大きい魔法使いよ。」
双子だった事も驚いたが誰が見ても女の子の容姿をしていたソルが男の子だということの方が驚いた。
「ソルですご迷惑をおかけしてすみませんでした。ミラさんありがとうございました。」
「気にしないで私も、この人達とはぐれてたから」
ミラは笑いながらソルの肩を叩いた
ルアがソルに幻惑魔法を解いてと言いソルが手を叩くと森に満ちていた魔法が無くなった。
これで大丈夫ですとソルが言ったので俺達は洞穴から出ると森の出口が直ぐそこに見えていた。
「それじゃあ、ソルとルア元気でな」
そう言って俺達は森の出口に向かって歩こうとしたらルアとソルが
「お願い私達も颯太の旅に連れて行って」
「連れて行ってくださいお願いします」
急に言われてどうしようか悩んでいるとミラが連れて行ってあげれば良いじゃんと言ってきた、そして笑いながら小声で
「颯太、ルアみたいな子がタイプでしょ」
何で知ってるんだんよと焦った俺はアセビの方を見ると微笑みながら首を縦に振ったので仕方ないかと思いルアとソルを旅に連れて行くことにした。
「よろしくなルアソル」
そう言うと2人は元気よく返事をした
新たに仲間が2人増えた




