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ご機嫌で帰ろう


__数十日後。

毎日、ジークヴァルト様と一頭の馬に乗り、フェアフィクス王国を目指していた。彼は、ずっと人型のせいかご機嫌だ。


「リリアーネ。もうすぐでフェアフィクス王国に着く。着いたら、すぐに結婚式をしよう」

「結婚式……お義母様たちは間に合いますかね?」

「後日来てもらえばいいではないか。今は、カミルも来られないだろうし……」


そう言えば、カミル様は呪われたせいで、アルディノウス王国にと逃げて帰って来たのだ。


「あの……呪いの犯人は捕まったのですか?」

「捕まっては無いが……呪いは証拠を押さえるのが難しいからな」


形のない呪いは証拠が残りにくい。だから、暗殺に使う人が多いとは聞いたことがある。でも、聖女がいれば何の意味もない。のだけど……。


「帰れば犯人捜しですか? もしかして、それで、フェアフィクス王国に帰らないといけなかったのですか?」

「犯人はわかっている」

「わかっている?」

「ああ、犯人は、フェアフィクス王国の王女だ」

「お、王女様!?」

「そうだ。アルディノウス王国のラッセル殿下の結婚を嫌がり、仕方なく妹のユーディットが嫁ぐことになったが……まぁ、ラッセル殿下とは上手くいっているから、結果的には良かったな」


確かに、ユーディット様は幸せそうだった。カミル様も大事にしているようだったし……。


「帰って大丈夫なのですか? ジークヴァルト様が狙われるんじゃ……」

「もう、狙う理由がないと思うぞ。リリアーネがいるから、呪われても意味がない」


確かに、私は聖女だから呪いも解けるけど。


「そう言えば、フェアフィクス王国は聖女が少なかったですね」

「ほとんどいないな。だから、呪われれば、フェアフィクス王国に留まっていても役に立たん」


フェアフィクス王国は、遥か昔は魔物が支配していたと言われている国だ。何百年も昔に魔王が支配していてそれを、聖女が制したと言われている。おかげで、魔王の世界征服は断念されたと伝わっていたはずだ。そのせいで、聖女がフェアフィクス王国には、ほとんどいないのだろうか。


「それで、アルディノウス王国に逃げて来たのですか……」

「そうだな……カミルも母親に会いたいと不安気だったし……親元に返すのが人の道理というものだろう」

「優しいですね……」

「そうか? だが、アルディノウス王国に逃げたのは僥倖だった。リリアーネに会えたのだから」


そう言って、馬を走らせながらジークヴァルト様が抱き着いてくる。


「結婚式のウェディングドレスはどんなものがいい? 何でも用意する」

「じゃあ、一緒に選んでください」

「ああ、帰るのが楽しみだ。リリアーネなら、何でも似合うな……早く結婚しないと……」


甘い声で囁かれると照れる。


そんな調子で、フェアフィクス王国へと馬は進んで行った。





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