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ネトゲの嫁と離婚したら、クラスのギャルお嬢様がガチギレしていた  作者: 春海たま
99.9+0.1編

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第77話 これよりヒロイン強化週間イベントを始める!

「だーいすき!」 

「俺も!」


〈GoF〉での挙式直後に交わした言葉。


 あの瞬間の『俺たち』にとっては、意味を持たせるのがもったいない思いが詰まっていた。


 しかし、次の日を迎えた俺にとっては重大な問題として残ってしまった。

 告白合戦に似たなにか。

 心の内をぶちまけてしまった。


 変な勘違いをしていないとすれば、まあ……十中八九、きっと間違いない、はずだ。

 でも告白とはいえない。


 宙ぶらりんの状態だ。


 できればこの『だーいすき&俺も』問題はリアルで、顔を合わせて解決したかった。


 どんな顔でレオナさんに学校で会えばいいか考えていたせいで、月曜日はいつもより早く登校してしまった。


 遅れて登校してきたレオナさんの方がめっちゃ死にそうな顔で、そんな悩みも吹き飛んでしまったけど。


 さすがに寝不足で体調が悪そうなレオナさんに、負担をかけたくなかったので後日にしようと決めた。


 それが、よくなかったのかもしれない。


 次の火曜日の朝。

 今日も早めに登校し、レオナさんが教室に入ってきたので声をかける。


「おはよう、レオナさん」

「お、おはよっ!」


 レオナさんがぷいっと顔を背け、自分の席に向かっていく。

 いつもは会話をしてから自分の席に行くのに。


 ビックリしてつい立ち尽くしてしまっていると、スマホが震える。

 チャットアプリのIWSN(イワシン)に連絡が入っていた。


『今週はヒロイン強化週間イベントだから! べ、別に真白君のことが嫌いになったわけじゃないんだからね! 勘違いしないでよね! 顔を見ると恥ずかしくなって照れちゃうだけなんだからっ!』


 なんか新しいイベントが始まっていた。


 ……これはツン、デレ? なのかな? 

 なんかツン度がもう30パーセントくらいな気が。


 でも、恥ずかしいとか照れているとか。

 レオナさんも『だーいすき&俺も』問題を気にしているように思えた。


 じゃあ、つまり、それは――あれだ。

 多分、ヒロイン強化週間イベントもその一つだと思われる。


 さすがにこの状態のレオナさんと、『だーいすき&俺も』問題を話すのはこじれそうな気がする。


 自分の席に戻り、まずはIWSNで様子を見よう。


『俺はなにかすることある?』

『ま、真白君は別になにもしなくてもいいんだからねっ! わ、私の頑張りポイントだから! うーっ! 本当に! 素直になれなくてごめんねっ!』


 もうツン度が消えかかっている。

 これは付き合うべき、なんだろうか。


 そう思いながらその日を過ごすが、妙に避けられて話はできず、かといってIWSNとかのアプリで話しは普通に行える。


 面と向かって話しをするのが本当に恥ずかしく、照れてしまうらしい。

 嬉しい反面、寂しい。


 正直、月曜日の直後が一番話を切り出しやすかったけど、こればかりは仕方がない。


 しばらく付き合うことに決め、次の水曜日。


「真白君、おはよう。今日は風が涼しいね」

 

 朝の挨拶だけはしっかりする方針らしい。


『秋空の、朝日を浴びて、おはようです。真白君の挨拶は私の清涼剤です』


 その後はまたIWSNでお話。


 クーデレ?

 俳句……いや、川柳せんりゅう? しかも字余り……。

 木曜日。


「おっーっほっほっほっ! 真白君、ご機嫌麗しゅうですわ!」

『今日のブレックファーストはフレンチトースト&パンケーキでございましたわっ! 美味しくいただきましたわっ!』


 高飛車お嬢様系。

 朝食の報告……え、W炭水化物?

 まさかここまで続くと思わなかった金曜日。


「真白君、今日はヘブンでレグルスが一段と輝いております」

『ちなみにレグルスとはしし座で最も明るい恒星で、全天21の一つに数えられる一等星だよ』


 不思議……系?

 そのわりには挨拶と文章で語尾の違いが。


 ヒロイン強化週間イベント中、一日ごとにキャラ設定が変わる。


 クラスのみんなも最初こそ戸惑っていたけど、もう慣れたらしい。

 平然と受け入れている。


「レオナの奇行なんて今に始まったことじゃないし」

「うむ。ウサノスケは心苦しいかもしれんが、レオにゃんの生態観察と思ってくれれば。生暖かく見守ってほしい」


 一番付き合いの長い虎雅こがさんと豹堂院ひょうどういんさんはそう言っていた。

 ただ俺のことを避けるのも継続中。


『だーいすき&俺も』問題もあるけど、普通に話したい欲求が強くなってきた。


 まさかこれもヒロイン強化週間イベントの一つで、俺のじらされ忍耐力を強化しようとしている?


 なんて困惑と思考の中、二限目を終えた休み時間。


「レオナさんに尾行されてる?」

「って、白鳥しらとりがな」


 安昼あひる君に呼ばれ、廊下の隅で白鳥さんも交えて話をする。


「うん。最近、視線を感じてね。振り返るといつもレオナちゃんが私のこと見てるの! 私何か悪いことしたかな!?

 購買の数量限定のデラックスマウンテンチョコパンの残り一個買っちゃったからかな!? それを近くでうっかり食べちゃったからかな!?」


 白鳥さんは頭を抱えて続ける。

 俺以外にも戸惑っている人がいた。


「今日の一限目の体育もね! 着替えも、授業中も、終わってからの着替えも! ずっとレオナちゃんにマンツーマン監視状態みたいで!

 昨日とかレオナちゃんが夢にまで出てきて回転寿司で無限におごられちゃったんだよ! もう食べられないのにレオナちゃんシンドロームだよ! あとでお金払った方がいいかな!?」


 白鳥さんは悲痛な叫びを上げた。

 思ったより深刻な悩みだった……。

 反対に安昼君は軽い口調で言う。


「ってことらしい。まあ最近、獅子王さんと変わった遊びをしている兎野なら何か知っているかと思ってな」

「そうなんだ! だから心当たりがあったら知りたいなって! 直接聞くのは怖くて……兎野君! レオナちゃんから何か聞いてないかな!?」


 白鳥さんの悲痛な求めに応じ、頭を悩ませる。

 今週のレオナさんはヒロイン強化週間イベント中。


 つまり、あ。

 答えはすぐに出た。


「なるほど。清楚系幼なじみ」

「え? 誰が清楚系幼なじみ? 白鳥が? いやいや清楚って」

「安昼は余計なこと言わなくていいの!」


 顔を赤くした白鳥さんが安昼君の声をさえぎった。

 仲いいなあ、やっぱり。

 ともかく俺が困るくらいならまだいい。


 しかし、白鳥さんも困っているのなら話しは違う。

 それもまあ――話す機会を作りたい口実だけど。


 とにかくだ。


「じゃあ、二人に協力してほしいんだけど。いいかな?」

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