表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネトゲの嫁と離婚したら、クラスのギャルお嬢様がガチギレしていた  作者: 春海たま
地獄のコミュ力アップブートキャンプ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/108

第18話 お触りもギルティです

 IWSN(イワシン)はロジックコードと同じSNSのチャットアプリだ。


 ロジックコードがゲーマー向けに作られたのであれば、IWSNは大衆向けだ。利用者はIWSNのが多い。


「もしかしてノットIWSN、ロジコオンリー派だった?」

「IWSNも使ってるよ、家族とだけど。そうじゃなくて、今までどおりロジックコードじゃダメなのかなって」


 ロジックコードで獅子王さんとやり取りできるから必要ないと思い、特に触れてこなかったけど……。


「ロジコはウサボンの連絡先じゃん? 私は兎野君とも連絡先を交換したいなーと思ったからさ。ダメ……かな?」


 獅子王さんがスマホで口元を隠す。

 武琉姫璃威ヴァルキリーで撮影をお願いされた時と似ている。


 いつも押せ押せな感じの獅子王さんが時折見せる弱気な態度に、俺は弱いんだと早くも理解してしまった。


「ダメじゃないよ。ちょっと待ってね」

「よかったー。では、ID交換の儀式を開始する。あ、ついでにメアドに電話番号もー」


 俺のスマホのあらゆる連絡先が、流れるように獅子王さんのスマホに登録されてしまった。


 恐るべし陽のパワー。俺のファイアーウォールなんて無力だ。

 IWSNの画面に、レオナ、という名前が表示される。


 アイコンはロジックコードと同じママまんじガオ美、っていうデコられた魔女帽子を被ったライオンだ。


 お気に入りのキャラなんだっけ。自分の名前と親近感があるとか。


「おー……兎野君のアイコン。これ自作ってか……ローリングアンゴラ? モジャモジャウサギだねえ。ロジコにもアップしてない激レアじゃん」


 ……自分のアイコンのことをすっかり忘れてた。


「家族専用だったし、適当に思いついたのを描いたんだよね」

「確かに。ロジコのアイコンの爆走毛玉珍獣ウサボンバー様は、めっちゃ気合入ってるイケメンって私でも分かるし。こっちのローリングアンゴラさんはなんというかー……へにょっとしてるね。それもまたよき」

「あっちが古参だしね。みんなに見られると思って、見栄張ったってのもあるけど」


 アイコンの話に気を取られていると、突然IWSNで怒濤どとうの魚群スタンプ攻勢が発生した。魚群リーチが止まらない。


「出しな、兎野君の最強のスタンプを」


 獅子王さんが決め顔しながらスタンプを押す手を止めない。完全に荒しモードだ。

 最強のスタンプってなんだろ。お気に入りのことかな。


「えっと……じゃあ」


 スタンプを押す。


 ドワーフホトをモチーフにした白いウサギが寝転んでニンジンを頬張っている。その上にOKマークがついたデザインだ。


「マ? 激キャワたんじゃん! 見たことないし……もしかしてこれも自作?」

「そうだね。プリンセスウサ子。……白雪しらゆき。妹のお願いで作って、命名されたんだけど。家族に好評でみんな使うようになっちゃって」

「そっか。妹ちゃんのお願いとあってはお兄ちゃんとしては断れないよねー……え!? 兎野君、妹ちゃんいたの!?」

「まあ、ね。俺と違って父さん似だね」

「そーなんだ? じゃあ、兎野君はママ似な感じ?」

「うん。写真……あるけど、見てみる?」

「マ!? いいの!? もち見る見る!」


 獅子王さんに急かされるようにスマホを操作する。


 理由は分からないけど、旅行の時はだいたい俺のスマホが撮影に使われる傾向にある。

 最新機種ってわけでもないし、理由はあまり分かっていない。


「今年の夏休みに家族で海に行った時のやつなんだけど」


 水着姿の家族の集合写真を見せる。


「兎野君、サングラス似合いすぎ! さらにマゲってウケる!」

「サングラスは自分でかけたけど、マゲは母さんにやられた。妖怪海坊主よりましだろってことで」

「なるほどーでも悪くないよ。ナイスマゲ……ってか、ごつくね? あ、本人がいるんだし、兎野君に聞けばいいじゃん」

「え?」


 獅子王さんがためらいなく俺の腹をさわさわと触ってきた。


「おー……硬い」

「……獅子王さん?」


 触られるがまま俺は硬直してしまった。


「ハッ!? アハハー……めんご、めんご。そーだよね。男子といえど、無許可のお触りはギルティだよね。けーそつだったし。ごめんね、兎野君」


 獅子王さんはが手を離して謝ってくれたけど、あまり悪びれた様子がない。


 いやまあ、俺も別に嫌……というわけじゃなかったわけでもなくて……こんがらがるな、俺。


 変な考えをするのはやめておこう。無の境地で。


「でも、マジで大地を感じたよ。なんかスポーツしてるの?」

「スポーツじゃなくてトレーニングだけだね。……中二の時に〈GoF〉をやる条件に母さんから毎日朝にラジオ体操、ランニング5キロ、腕立て腹筋背筋スクワット50回ずつが条件にされたんだ」


 あの時の俺にとってはイラストを描くこと以外やることもなかったので、素直に条件を飲んで今も続いてる。


「だから、うちは毎日家族揃ってラジオ体操してるんだ。父さんと白雪は体操抜け、母さんはランニングから先は締め切りで変動制だけどね」


 でも、さすがにこの前の〈GoF〉で離婚した次の日は、ラジオ体操をする気力さえ残ってなかった。


 これを言うと獅子王さんに変な気を遣わせるだろうし、黙っておこう。


「VRゲーあるあるだよねー。ゲームで動いた気になってリアルで動かなくなるやつ。私もママに運動しろってランニングマシーンとか走らされてるし。

 すっとこハムちゃんかよ! って感じでノルマ達成するまで出られない部屋に閉じ込められてみたいな! 動かないで脂肪減らせるダイエットマシーンとかいっぱいあるのにさー」


 獅子王さん、隙あらば楽に解決できる方法を選ぶ傾向にある気がしてきた。

 最新の便利グッズとか家電を惜しげもなく利用するタイプとでもいうか。


 決して悪いことじゃないし、すぐに最適な方法を選べることは長所だと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ