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魔導師としてがんばります!  作者: あまみ すすき
断罪パーティ編
5/14

0.5 騎士団長 アルムフェルザ

 バリュエクリナス国騎士団長 アルムフェルザは苦悩していた。 

 それも、周囲の人間どころか、すれちがっただけの者にまで伝わるほどに。

 だが、それも仕方がないのだろうと、事情を知る副団長は言う。

 ついさっき、入団の希望をしてきた少年(?)が来たのだが、それはそれはあの(・・)伯爵令嬢 ルナ・カルテトに似ていらっしゃったとかとかなんとかである。

 もしそうならば大問題だ。

 女性や伯爵以上の上級貴族の入団は禁じられているため、正規の入団はできない立場にいるため、ルールにのっとり拒否することもできる。ましてやあのご令嬢は過激な方で、気に入らないものがいると社会的に潰しに来るのだとか。

 しかも、そんな方が男装して来るとは誰も思わないだろう。  

 だが、それもあくまで推測にすぎない。

 もしかしたら、ただの女性らしい少年かもしれない。 

 そんな仄かな希望を胸に、騎士団長/副団長は、少年(?)自称 ルナリエル・アルテンデールが入団しにやってくる。


 ……………………………………………………………………………

 …………………………………………

 ……………………


 翌日の早朝、ルナは入団届けを提出しに、騎士団本部に向かった。

 王の一族を最優先に守るため、本部は王宮の向かいにあり、少し歩いたらすぐに着く。

 女性の入団は禁止されているため、ルナはカレンに協力をお願いし、男装して入団に挑む。

 

 従者がいると貴族か疑われかねないので、危険と止められたが一人で行くことにした。

 内側のルートを使うと王宮の関係者だと思われるので、一度外に出て正規の入口から入る。


 「あのー、失礼します」


 ノックし、重圧な扉を開ける。

 現代ではこんなところに来たことがなかったからか、若干緊張した。

 扉が開くと、そこには筋肉質な男性が二人、雑談をしていた。

 一人は、筋肉質な細マッチョで、赤毛を肩まで伸ばして結っている爽やかな青年。 

 もう一人は、華奢で小柄な青年。珍しい白い髪が黒い隊服と映え、アルバートより王子様気質だ。


 「おう、どうした。もしかして、入団希望者か?」


 赤毛の青年がそう言うと、今気づいたように白髪の青年もルナをを見る。

 軽く話しかけられ、ルナは緊張が少しずつ解れていくのを感じた。


 「は、はい。」


 戸惑うように返事をすると、白髪の青年が口を挟む。


 「君、女性だろ。なら、入団は諦めたほうがいいと思うけど?」


 「へぅぅぇ!?」


 なぜ見破られたのかが不思議でたまらず、思わず奇声を上げる。

 だが、少しすると思考も冷静になってくる。

 すると、ルナは思い出した。ここは、『異世界』なのだと。

 となると答えは簡単。彼は異能力者なのだ。

 異能力は、簡単に言うと魔法である。だが、少し違うのは、生まれつき持っているという点であり、持っているものと持っていない者がいることだ。

 因みに、物語りでルナは無異能力者である。

 

 「ち、違いますよ。」

 

 「嘘だ。だって声が女だぞ?」


 「声変わり前なんだよ!!」


 「そう……なのか?それでも波長がーーー」


 痛いところをつかれ、ルナがたじろいだところを攻めてくる。

 白髪の青年はルナを女性だと思っているのなら、女性に対する態度というものがあるのではないだろうか。


 「まあまあ、アルウェン意地悪すんなよ。」

 

 仲介してくれたのは、赤毛の青年だった。

 これにより、赤毛の青年への好感度がアップし、白髪の青年の好感度がダウンした。

 白髪の青年は不貞腐れた顔をしていたが、赤毛の青年の言う通り、口を挟むのはやめてくれた。

 

 赤毛の青年は、どこからか入団希望用紙を取り出し、ルナに渡した。

 

 「これにサインしたら、お前も団員だ。」


 ペンをもらい、偽名 ルナリエル・アルテンデールと名を書き入れる。

 書き終えたのを見計らい、赤毛の青年が用紙を取り上げる。


 「よぉし、これでお前も仲間だな!これからよろしく。俺は騎士団長 アルムナイ・カルウェルト!」


 「…………俺、副団長 アルウェン・クリスヴェール。

アルウェン副団長様と呼べ。」


 「はい!わた…………僕の名前はルナリエル・アテンデールです。

よろしくお願いします!」

 

 やっと、第一歩が踏み出せたという喜びが込み上げる。

 

 騎士団には3日後、正式に訓練に参加する事になった。



「おい、絶対あのルナリエルとかなんとかってやつ、女で貴族だぞ?見た目からしたら、俺はあの貴族社会の問題児 ルナ・カルテトだと俺は予想する。」


「えっ!?あれマジだったのかよ。

不味い、あの方の気に触れたらたしか、社会的に潰され………」


 その日から、アルムフェルザの顔色は悪くなってゆき、最後の時を迎えることに…………


「おい、勝手に俺を殺すな!!」

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