0.3 その頃パーティ会場にて
ルナがエステを堪能していたころ〜〜
「ルナ・カルテト!お前との婚約を破棄す……ルナ?
ルナ?おーい、でーてこーい!!
逃げるなよ!!
あ、あれ?これじゃ王子っぽくないな……。
コホン、ルナ・カルテト。前に出てこい!
え、ホントにいないのか?」
と、アルバートが無駄な恥をわざわざ婚約破棄を見せつけようと呼んだ貴族に恥を晒していた。
ルナを退場させたリリスは、ドリンクぶっかけ現場を見ていたものの買収は済んでいる。
もし、ルナがこの場にいたとすると、婚約破棄に驚き、喚いていたのかもしれないと、リリスは思う。
「うふふ、ルナ様ったら、お可哀想ですわね。
いい気味ですわ。オーッホッホッホ!!」
急に口が達者になったリリスに、アルバートは大きな違和感を覚えた。
いつも、リリスはです、ますを語尾とし、お淑やかで内気な印象が魅力で、アルバートはルナをおいて惚れ込んだのだ。
だが、今のアルバートにとって、それがリリスであることに変わらない。
そのことより、今はルナの行方が先だとアルバートは考えた。
「この中に、ルナの姿を見たものはいるかー!!」
よく通る声を張り、アルバートは情報提供を願う意味を兼ね、呼びかける。
その美貌もあってのことか、アルバートの人気は凄まじい。
だが、リリスの賄賂により、それさえも捻じ曲げられる。
「アルバート様、ここは一度手を引いてはいかがでしょうか?まだパーティは始まったばかりですわ。
パーティも終盤に差し掛かったころ、また呼びかけてみましょう。」
「あ、ああ。分かったよ。リリス」
いつも肯定的な態度と一転し、自分の意見をはっきりと言うリリスに、またもやアルバートは戸惑うことになった。
大きな問題が後回しになった今、アルバートはリリスについて気になりだす。
(リリスも成長した………のか?)
だが、「成長」の一言で、全ては自分で言いくるめてしまう。
アルバートは正義感が強い。
だが、その「正義」の形は、周囲の影響を受けてコロコロと変わる。
少し前まではルナを守ることだったが、最近になってそれはルナの嫌がらせの対象であるリリスに変わっていった。
ルナは、パッと見クリクリとした瞳が特徴的な可憐な少女である。ロングの髪はストレートで、下に行くにつれて薄く紫がかっている。
だが、それはルナとリリスの様子を見てすぐに変わってしまった。
それからというもの、いじめられっ子という意味でアルバートはリリスを気にかけるようになり、その優しさに惹かれていった。
その反動で、アルバートはリリスを溺愛するようになったのだ。
リリスも、何かと気にかけてくれるアルバートを気に入っていた。
今日まではーー
だが今までのリリスと今日からのリリスは一味違う。
そう自負しているのだから、そうなのだろう。
パーティ終盤〜〜
「おい!!そろそろルナは見つかったか!?
え、まだ?遅くないか?
もしかして、事件にでも巻き込まれて…?
ああ、心配になってきたぁ!」
またアルバートが声を張っていた。
その様子を見て感心しつつ、リリスは今頃ルナ様はエステを堪能し尽くしているのだろうと予想していた。
〜エステにて
(え、そんな肌ベタベタ触られんの?緊張すんねんやけど)
「そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ…………?」
なにかオーラを感じるエステティシャンの手により、ルナはお肌がツルンツルンのツルンツルンにされたとさ