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魔導師としてがんばります!  作者: あまみ すすき
断罪パーティ編
11/14

11.0君は破壊の対

 地壊龍と向き合うルナは、そこらにあった剣を手に取り、無造作に構える。

 勿論、そんな技術もない。

 たが、知っていた。この世界には、裏ルートで出現する『魔法』が存在すること。そして、その発動条件を。

 

 「破壊VS現代っ子って、なかなかにキッツい展開やな……」


 本ではよく、奇跡だの勇気だのが語られているが、いざ破壊を目にすると、そんなものは吹き飛んでしまう。

 今、ルナの胸にあるのは、もしかしたらこの現場わ見ている人がいたとしてて、ルナが逃げて「カッコ悪」とつぶやくことが怖い、恥ずかしいという考えだけである。


 前世のルナは、頭は平均、運動はまずまずといったところであった。

 小学生でバック転や跳び箱の展開とびはお手の物。おまけに面倒見がよかった。

 ここだけ見ると、結構良い部類の学生だった。だが、ルナには友がいなかった。いじめられこそしなかったが、確実に浮いていた。

 ある時、転機が訪れた。

 それは、中学生になった時。

 イメチェンしようと髪をバッサリ切り、ボブにした。

 まだバラバラのクラスメイトに積極的に話しかけ、陽キャの仲間入りを果たしたのだ。


 そんな矢先だった。死んだのは。

 

 友と歩いていると、車道から車が飛び出し突撃。車道側を歩いていたルナが死亡した。

 

 (あーあ、変な死に方したんよね……)


 自分自身、こんな死に方をするとは少しも思っていなかったのだ。

 だが、この物語の世界で、転生し、可愛らしい従者の少女がいる。憎らしいが、強がりな王子がいる。物語とは違い、生意気なヒロインもいる。

 もう少し、この面白おかしい物語を見ていたい、そう思ったのだ。


 (こんなとこで死んで、中途半端なまま物語終わらせてたまるか!)


 いよいよ、地壊龍も目前に迫り、魔法の発動に取り掛かる。

 その条件―――――それは、誓い。

 立ち止まり、息を吸い、目を閉じる。

 本当は気を鎮めることもしたかったのだが、そんな技術はない。

 

 「―――――我、ルナ・カルテトが、誓う。

世界に希が、溢れ、平和を、日常とする世界を、創ると。」


 途端、手にしていた剣が光る。

 それは、魔を切るものでも、光を与えるものでもない、創造の光。

 その誓いは、必ず叶えると神に伝える、聖約。

 短い一生での、大きなノルマ。

 終えられなかったら、最後、地に墜ちるという。

 

 (あれは・・・・・・!?)


 影で見ていたリリスは、ハラハラとする胸を抑え、驚愕していた。

 それは、魔法がまだ世界には存在しない存在だと知っているからである。

 そうとも知らずに、ルナは言葉を続ける。


 「創造千地(クリエイト・オール)


 破壊があるなら、創造も存在するーー。


 今までの本からの知識をフル活用し、その魔法の本領を発揮する。

 風が頬を撫でる。

 髪が舞い、服が踊り、目は真を見定める。

 前には道ができ、その先にいる地壊龍を差す。

 何かがごっそりとなくなり、その代償として地壊龍が雄叫びをあげる。

 

 『ヴオアアアァァァァーーー‼』


 地壊龍は、まるで光に飲まれるようだった。

 茶黒の巨体が、大きく揺さぶられて崩壊する。

 そこに破壊の跡はなく、ただ元の街並みが並んでいる。

 ルナは、何かを吸い取られても正気を保ち、そこに立っていた。

 

 その後、地壊龍を追っていたアルムフェルザ達と合流し、一連の騒動は収まったかのように思われた。

 だが、ルナには二つ、懸念している点があった。

 一つは、一連の被害者の対応。

 そして、もうひとつはーーー。

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