表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導師としてがんばります!  作者: あまみ すすき
断罪パーティ編
10/14

10 勇気のでる魔法の掛け声

〜時は少し遡る〜


 「ルナ様、こちらもお似合いですぅ!」


 ルナは、カレンの着せ替え人形になっていた。

 カレンも、やはり年頃の少女。

 容姿のいいルナがこうなることは必然なのかもしれない。 

 カレンのメイクの腕前は、前世のデパートのメイクコーナーで働いていたいとこおも凌駕する。

 クローゼットの中にはドレスやらヘッドドレスやらアクセサリーやらでごった返していた。ついでに、カレンから気に入っているドレスが日本円で500万以上だと聞かされ、大変ショック。もう使えないなとていく思っていながらも着用し続けている自分にひやひやしている。

 

 「ひゃっ⁉これは、ちょっと……」


 露出度の高い、生地の薄いドレスで、リリスに似合いそうだ。

 いつの間にか3着、4着と着せ替えられる。

 

 「これも、これも、これも……‼」


 次々と洋服を持ち出すカレンに、ルナは唖然としていた。

 そろそろ切り上げたい、でも邪魔したらどうなるか分からない…。

 どうしようかとおろおろしていると、外で大きな音がした。

 天地が揺れるほどの衝撃に、ルナは思わず身を縮める。

 

 「なに⁉」


 カレンが様子を見にバルコニーに出ると、騎士団本部へ向かう地壊龍の姿が見える。

 カレンは主を守るため、急いで行動に移る。


 「ルナ様、逃げましょう!ここは危険です」


 「なに、何があったん?」


 「地壊龍です!騎士団本部に向かっています。」

 

 血相を変えて叫ぶカレンの言葉で、ルナは気づいた。

 この“物語”の山場がもうすぐそこまで来ているということ。そして、山場の存在が、多くの生命を奪うということに。

 シナリオはこうだ。

 突如地壊龍が都市に現れ、リリスをさらう。

 そこへアルバートが現れ、地壊龍を倒す。だが、リリスとアルバートの再会の瞬間、地壊龍が目覚め、アルバートを襲う。そこでリリスの能力が目覚め、アルバートと共に地壊龍を討伐する。

 とても都合のよい物語だ。

 だが、描かれていないだけで、沢山の死傷者が出ているのだ。

 

 (ヤバいヤバい!!このまんまやったらいっぱい人死ぬ!!)


 非常にまずい状況である。

 だが、もう地壊龍は視野に入る程に近くまで迫っている。

 その時、パンッという音が響いた。

 隣りにある騎士団本部からだ。

 意味することは緊急事態。

 やっと気づいたようだ。

 だが、ホッとしてはいられない。

 騎士団も、物語で多くの死傷者を出しているのだ。

 その中には確か、アルウェンも含まれていた。

 カレンをおき、急いで本部へ向かうルナは、脳内で状況を整理する。


 (地壊龍は、リリス目掛けて進む………。

ということは、リリスは本部にいるのか?

なら、騎士団が迎え撃ったとしても、相手にはしない。リリスしか視野に入れていないはずだから。)


 物語では、リリスは城にいたはずだ。

 どうやら物語とは違うなにかが起こっているようだ。


 階段の手すりを滑り降り、最短で本部へ向かう。

 幸い、きせかえ人形になっていたため、動きやすい服装に着替えることも容易だった。

 騎士団に入団するため、自主的に鍛えていたため、心なしか動きがスムーズに感じられる。

 本部につくと、そこには騎士団の姿はなかった。

 だが、地壊龍が来ているということは、ここにリリスはいるということだ。

 

 中に入ろうと、扉に手をかける。

 だが、その時。

 ―――――――――破壊は唐突に訪れる。

 

 『グウウァァァァァァッ!!』


 「……………きたか。」


 破壊の具現化した姿を見据え、リリスらが見ていることに気づかないルナは、ありったけの力を込めてゆうきを出す魔法の掛け声を叫ぶ。


 「うぉーし、がんばんでー!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ