(蛇足)昼下がりの救護室
「ジュラ、明日って卒業式じゃないですか」
「うん… 何してほしいの?」
ジュラは終日オフを満喫するため、黒い部屋着に黒猫をイメージしたローブを羽織り、ベッドでコーヒーを飲んでいた。
「大講堂のレイアウトを教えてください」
「だい… 何で?」
さすがに二つ返事で承諾してもらえなかった彼は、大まかにシャロットの不在と捜索状況を伝えた。
「彼女か。うーん、緊急事態ならさておき、天網システムも異常ないし、大講堂でジブレーが探してるなら見つかるんじゃない?」
「私も大講堂に行きたいのに、ロウが式の準備でウロウロしてるからいけないんですよ」
「ん?」
「今日は予定があったのに、この件が解決するまで延期になってしまいました。なのに大講堂にも行けないんです。ジュラ… 私さびしいです」
「はぁ」
「ここでジュラに延々くだを巻くのもいいですが、大講堂の仕組みについて考えを深めながら大人しくしていることもできますよ」
「うーん」
ジュラは面倒が嫌いだが、せっかくの休日を邪魔されるのはもっと嫌いだった。
(まぁ校内をうろうろして分かる範囲の情報ならいいか)
渋々ベッドから立ち上がったジュラは、黒い石盤に大講堂の図を描いた。
「今は式典用レイアウトだから、1階と2階があって、ここが式場ね。で、こっちが舞台側で、座席と控室と… これ位だよ」
「うーん。普通ですね」
「まぁね」
「あ、地下とかあるんですか?」
「あぁそうだった、舞台と同じ大きさのリハーサル室があるね」
「なるほど。ありがとうございます、ジュラ」
彼は満足したようなので、ジュラはベッドに戻って本を開いた。
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「♪」
ジュラが機嫌よくベッドでのびのびと過ごしていると、救護室の窓を叩く音に呼ばれた。
「あぁ先生、休みにすまんけどこいつを見てくれないか? 見た感じ怪我はしてないんだが…」
料理長に抱えられたシャロットの姿を見て、ジュラは既視感を覚えた。
(こんなこと最近あったな…)
もしかして:マッチョ




