表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/88

お母様のむなくそな過去

強大な国王の娘には、近隣諸国からの縁談が引く手数多だった。

そして当時、最も力のあった隣国の王に嫁いでいった。



「家柄だけの世間知らずに何ができる?」

「王子さえ産めばそれで良い」


夫は優しい笑顔の裏で、私にだけ見せる顔があった。



死に物狂いでこの国について学んでも、学んでも、夫は認めてくれなかった。

今では外交を任されることはおろか、城から出ることも許されなくなった。



「じゃあ、1人で生きていけるのか?」

「働いたことも無いくせに」


生まれた瞬間から他国に嫁ぐために生きてきた私に、他にどんな生き方があったの?

それに、私なりに、あなたを支えてるつもりだった。


どんな言葉を投げつけられても、何もかも否定されているうちに、逆らう気力も無くなっていった。



「やっと産んだと思ったら女か」

「我が国の血を絶えさせるために遣わされた悪魔なんじゃないか?」



私がうまくできないから、夫は私にだけこんなに怒るんだと思ってた。

恥ずかしくて、申し訳なくて、誰にも言えなかった。

言う相手も、もう私にはいないけれど。



「役に立たないお前は役に立たないものしか産めないんだな」


でも、娘を馬鹿にされて目が覚めた。


この子は私にしか産めないもの。

夫にだってできないわ。


あんな分からない人に傷つけられたりしない。


すっかりお飾りの王妃様には何の力もない代わりに、時間がある。


娘に読み聞かせるために、お姫様と王子様が結ばれる、素敵なお話を描いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ